仲條正義『絵の中に入る』を編集している/一日一微発見289
本を作っている。
仲條さんの本だ。彼の誕生日の5月4日に出る。この本は仲條さんの「絵」の本であって、デザインの本ではない。
彼が雑誌『暮らしの手帖』の表紙のために12年にわたって描いた絵だけを75枚集めて1冊の本にした。
当時、表紙の「絵」に仲條正義をキャスティングしたのは、『暮らしの手帖』のアートディレクターだった林修三であり(今はもう離れているが)、僕は彼と長く一緒に仕事しているので、相談を受け、出版の企画と編集を担当することになったのである。
出版社はリトルモアにお願いした。
この本の企画は、仲條さんの生前からあり、ゆっくりと進めていたが、コロナになり仲條さんと直接ミーティングが困難になったり、仲條さんの病状が急進行したので、生前に出版することがかなわなかった。
僕は今までずっと仲條さんと顔をあわせて侃侃諤諤やりながら仕事をしていたから、手紙と電話で打ち合わせするのはもどかしかった。
僕は仲條さんの呼吸というか、反応が好きだった。仲條さんは優しいようで厳しく、僕は動物が飼い主にかまってほしくて戯れるようにして仕事をしていたのだと思う。
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