「人類のアートと宇宙のモラル」蔡國強における「アート思考」を考える/一日一微発見389
国立新美術館で開催中の蔡國強の展覧会「宇宙遊 <原初火球〉から始まる」は、近年行なわれたコンテンポラリーアートの屋覧会の中でも、とびぬけて「アートの本質」などについて深く考えさせられる素晴しいものだった。
この展覧会は、コロナ期間中に、蔡が1980年代から90年頭に、日本で活動していた時のノート類を読みかすことによって、自からの初期の作品から現在にいたるまでの活動を再考する、きわめて重要な作業を展覧会化したものだ。
それは「爆発」という初期から現在にいたる蔡の「系図」が展覧会場にマップ化されて、観客は蔡國強とともに、その迷路の中を巡礼、いや遊泳(宇宙遊)するという構成がある。
初期のマッチ箱の絵から始まり、かつての記録映像、屏風状の絵画作品、天井からは光が点滅するアインシュタインなど偉人の立体作品がワンフロアに点在しているのである。
言うまでもなく蔡は「爆発」の作家と言われる。しかし彼は「爆発」を単なるパフォーマティブなエフェクト/イベントと考えているわけではない。1991年にP3で行われたインタビューで蔡はこう答えていた。
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