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逸脱する編集③レイ&チャールズ・イームズ/一日一微発見358

逸脱の編集の3回目はレイ(1912-88) &チャールズ・イームズ(1907-78)を取り上げる。
彼らはカップルで活動した。
しかし大抵は建築家、デザイナーとして扱われ、なかでも家具があまりにも有名なので、彼らがやろうとした全容についての評価は、実はあまされてこなかった(特に日本では)と僕は思う。

だが僕にとって彼らは、世界を情報の塊として捉え、自分たちの「生」もその実践でとらえようとした万能人だったし、編集の発明家だったと思う。

例えば、彼らが教育用に作った映画、『コミュニケーション入門』がある。それを見ると、彼らが考えていたことが、図式的な狭いものではなく「革新的」だということがよくわかる。

情報を発信するトランスミッターと、情報を受け取るレシ ーバー。その間で情報がどのように伝わるか。しかし情報にはコトバもあるし、ビジュアルもある。つまりは曖昧さ、「冗長性(リダンダンシー)」が発生する。
さらに彼らが『コミュニケーション入門』 の中で何度も強調して言うのは「ノイズ」だ。

つまり、彼らがユニークなのは、情報を考える時に、リダンダンシー、曖昧さ、ノイズというものこそが、情報を伝える時に、不可欠なものだとすることだ。

本や雑誌、webを構築する時にも、紙のテクスチャーや文字、色彩、レイアウトなどが発生する。それによって情報は異なる回路で豊かに伝わる。イームズたちの指摘は、編集にとり極めて重要だ。

さて、彼らが逸脱した編集能力を持っていたことの事例を4つあげたい。

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