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石岡瑛子には死はない/一日一微発見172

さて前回の続きである。
東京都現代美術館での石岡展のことについて書きたいと思う。

僕は石岡さんと、インタビューや取材ではご一緒したけれど、直接的に編集や映画や舞台の仕事をしたことはないので、あまり勝手なことを言える立場ではない。
だからこう書くことは、勝手な話になってしまうかもしれない。

前回、展覧会を見てまず思ったのは、石岡さんは死んでいない、ということだった。

それを正確に言うと、石岡さんの展覧会を、石岡さんでない人が構成しているということ。
そんなのは、当たり前のことでわかっているのだが、石岡さんが生きていたらどうだったろうということも考えてしまうということだった。

石岡瑛子展は、心から素晴らしいキュレーションであり、見事なものだった。
と同時に、しかし、もし石岡さんが生きていたらどうしたろう、との思いも湧き上がってくる。その想念を抑えられないことも事実だった。

展覧会場には、石岡瑛子の目が漂い、僕らを観ているのだ。

だから、その意味で、石岡さんは死んでいないと思ったのである。

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