ディアナ・ローソン『DEANA LAWSON by Deana Lawson』/目は旅をする047（人間の秘密）

ディアナ・ローソン『DEANA LAWSON by Deana Lawson』（MACK刊）

はっきりと言おう。僕らはかつてない大きな時代の変化の時にいるのだと。今まで習得してきた知識はもう役に立たなくなるだろう。

偶然か必然か、2020年代の初頭に世界中がコロナ禍に襲われ、トランプとバイデンの世界を失望させる泥試合の大統領選があり、中国やロシアは領土拡張や覇権の野暮をむき出しにし、SNSのプラットフォーマーたちはメタバースやMRのイニシアティブを競いあう。世界な富はますます少数のものが独占し、一方で、アナキズム人類学や、分散ドロップアウトが叫ばれる。
これが、アントロポセン末期である。

2021年末の『Art Review』誌の恒例の「Power100」は衝撃的だった。
なぜなら第一位はNFT（ERC-721）であり、10位以内に白人の男性アーティストが1人もいないという結果だった（10位のデビッド・グレーバーはアナキズム人類学を提唱するがアートワールドのプレイヤーではない）。付け加えると白人はアン・イムホフだけであり、他は黒人ないし有色人種で占められていた。

コロナは疫病として猛威を振るっただけでなく、隠蔽されてきた、人間存在のあり方を根本から、人間自身が振り返るトリガーとなった。BLMしかり、 LGBTQしかり、レイシズムしかり。

当然、時代の鏡である写真も大きく変わる。