「変成する写真」をめぐる3つの重要なポイント/一日一微発見295
「現代写真アート」は今、DXやAIによって大きな変化を余儀なくされた社会の、その先端領域であるコンテンポラリーアートの「エッジ」にある。
そのことは、現代写真アートが、最もヒリヒリする場所にいることを意味する。
芸術のある形式の可能性を追求したり、完成させたりするようなクリエイションではなく、積極的なディスラプション(創造的破壊)の作業の場であり、ポジティブに言えばチャレンジング、ネガティブに言えばカオスへ突入することになる。
「写真は変成する POST/PHOTOGRAPHY 2」は、京都芸術大学の写真・映像コースのメンバーをコアにして、卒業生、さらには同世代のゲストアーティスト2名を加えた19名のアーティストから構成された展覧会だ。
この展覧会のために多和田有希と後藤繁雄が自主ゼミを開催し、半年間に渡り、参加者各人と議論を進めてきた。
あらかじめ「現代写真アートとは何か」と言う前提に基づくのではなく、各自が、写真という変成するテクノロジーをツールとして、何を発想し、自らのモチーフを形にできるかをコーチングし続けてきたのである。
キュレーションのタイトルは「Bleeding Edge」とした。
これは出展メンバーの1人であり、現代アート研究者である藤本流位との対話から生まれた。
このタイトルは、今年85才になるアメリカの現代小説家トマス・ピンチョンの小説タイトルから借用することにした。
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