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デイビッド・ホックニー『photographs』/目は旅をする037(もうひとつの人生)

デイビッド・ホックニー『photographs』
Pertersburg Press刊

この写真集は、デイビッド・ホックニーが1982年にパリのポンピドゥーセンターで写真展をやった時(45歳の時)に出版されたもので、この企画のために、キュレーターが彼の家を訪ね写真を整理したら、すでに3万枚に達していたという。
初期からホックニーほど、写真と深い関係をもってきた現代画家はいないし、写真がデジタルにより拡張してしまった現在において、彼の写真の思考こそを再検討すべきだと僕には思われる。

さてホックニーの歩んだ道を、復習しておこう。
彼は1937年7月9日にイギリスのブラッドフォードで生まれた。その後、ロサンゼルスに移り、ポップアートと共有する時代の中で世に出た。
その彼も、もう84歳で、存命するアーティストとしてオークションで最高値で売買されるポジションに達した。
アメリカから故郷のヨークシャーに戻ってからも精力的に作品を描き続け、一昨年からはノルマンディーにスタジオを構え、愛犬とともに毎日戸外に出て、絵を描き続ける。
古今東西の絵画に精通し、著書も多い。
彼こそ、具象画という、ある意味で最も「クラシック」な立場にありながら、「コンテンポラリーアート」の前線を拓き続ける「巨匠」なのである。

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