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この場で考え、即行すること(ヴェニスで考えていること)/一日一微発見336

よく「計画がない」と怒られたりする。まぁ、計画はないことはないし、極論すればずっと考えて(シミュレーションしていて)いるので、そう言われてもなぁと思う。

直感そして即行。
最近ますますそう思うようになった。

坂本龍一さんとも仕事を長くしてきたが、彼は「即興嫌い」を公言していた。
確かにインプロビゼーションといっても、どこかに自己模倣はあるわけで、いきなり、今までにないことができるわけではない。
だからジャズや実験音楽で安易に「即興」なんて言うなよ、というのは当然だと思う。

前回、ゴダールについて書いたが、ゴダールの即興はカサヴェテスの即興とも違って、自分を追い込む度合いがもっと高い。
つまり失敗であれそれを作品にしてしまう度量が凄い。
生まれてくる事態をまるごと生捕にして映画にすること。

だからいつも「今ここ」は、土壇場だ。
そこに自分を追い込んで、計算を超えた見事なものが作れるか。これこそがクリエイションでなくて何だろうか。

90年代の頭にチェルノブイリに取材に行ったことがある(写真家は大森克己君)。この時に通訳やコーディネートを依頼したのがロシア外務省の人やモスクワ大学の人たちだった。全員、日本語堪能。

今でも覚えているが、ロシアとウクライナの国境で夜を迎えた。その時に月が出ていて、彼らは「さあ、ここで俳句を読みましょうよ」と言うのだ。なにせモスクワ大学で日本文学の研究をしているベテランばかりだ。

さあ、日本人としては困った。なにせ、グッドタイミングで即興で俳句を読むなどのトレーニングをしていない。
あちゃー、これは脇が甘い。

同じ体験はアフガニスタンに行った時にも思った。彼らは宴会といってもアルコールなしだからお茶である。その時に皆で詩を読みあうのである。

スターはいらない。自分たちが歌う。
分散系。
そう考えるとカラオケは革命的な道具なのだ。

そんな時に、いかに我々がかつて持っていた「即決力」というか「直感」やひいては「連想力」を失っているかが実感されるのである。

その場で、その場にふさわしい判断や表現ができるのか。
即位当妙力を身につけよ!

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