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目は旅をする・後藤繁雄による写真集セレクション

ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をする」は、長く写真家たちと仕事をして、写真…
後藤繁雄おすすめの写真集についての記事を月に2~3本ずつ投稿します。アーカイブも閲覧できるようにな…
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#アートブック

ニック・ワプリントン 『Comprehensive』/目は旅をする082(地図のない旅/行先のない旅)

ニック・ワプリントン 『Comprehensive』(Phaidon Press刊) ニック・ワプリントンの「包括的」を意味するComprehensiveという名の写真集が出た。30年以上にわたる膨大な写真を新たにリエディットした分厚い写真集である。パリのヨーロッパ写真美術館館長でキュレーターであるサイモン・ベーカーの手になるものだ。初めて知るプロジェクトも沢山あり、その軌跡を、見ながら考えさせられることが多かった。 僕がワプリントンに会ってインタビューしたのは1998年

バリー・マッギー『TAR PIT. 2021』『Reproduction (stamped edition)』/目は旅をする058(ストリート)

バリー・マッギー『TAR PIT. 2021』(V1Gallery/Eighteen刊) 『Reproduction (stamped edition)』 (Aperture刊) この間、TABF(トーキョーアートブックフェア)があり、僕も自分が主宰する写真集/アートブックのレーベルG/P+abpで出店していた。アートブックフェアには日本だけじゃなくてパリ、アムス、香港などにも出店してきたが、お客さんとの出会いも楽しいが、世界のアートブックパブリッシャーがどんな「本」を作ろ

ルイス・ボルツ 『COMMON OBJECTS』/目は旅をする036(風景と人間)

Lewis Balts ルイス・ボルツ 『COMMON OBJECTS』STEIDL/LE BAL 刊 ルイス・ボルツは1945年にカリフォルニアで生まれ、2014年にパリで死んでしまった。まだ69歳だった。 彼はキャリアは長かったがまだ若かったし、いつかインタビューするだろうなと漠然と感じていたから残念に思った。 僕は2014年に、パリのLE BALでの個展を偶然見た。でもそれが、彼の生前最後の個展になるとは思わなかったが、今となってはその展覧会を見ることが出来て、縁を強