ichimasa買い物日記 vol.2
毎シーズン、「今回はどんなアイテムをクローゼットに加えようか」と楽しみにしているブランドがあることは、ファッションを楽しむ中でとても重要なことだと思う。
自分も、長年に渡り、様々なアイテム、様々なブランドを買ってきているのだけれども、その中でも「RAF SIMONS」のアイテムは、毎シーズン欠かさず買っているブランドの1つ。
ファッションに興味を持ち始めた青年時代に、ネットもまだ発達していなくて、九州の片田舎に生まれ育った自分は、情報を得るのは雑誌からだった。青年だった自分は、毎日、飽きる事なく、穴が開くほど色んなファッション雑誌を目を輝かせながら読んでいたんだけれど、その中でもある雑誌(確かメンズノンノだったと思う)の中に載っていた、モッズコートに衝撃を受けた。
ミリタリーが由来のモッズコート、ピーターサヴィルのアートワークが大胆にプリントされ、レターが様々なところにプリントされている。これが何のプリントなのかも分からないし、どんな意味かも分からないけれど、単純に格好良い、と目をキラキラさせながら、眺めていた。
それが、RAF SIMONSとの初めての出会いだった。
初めて知ったブランドだったり、もちろん、当時の自分には、値段も天文学的な数字で、ただただ眺める事しか出来なかったが(ご存知の方も多いかも知れないけれど、現在、彼の過去のコレクションは再熱していて、プライスも高騰。何百万で取引される事もあるらしい。。)
そこから、初めて「コレクションブランド」というものを意識するようになったし、コレクション雑誌「GAP PRESS」なんかも見るようになった。それからも、クリスヴァンアッシュ、エディスリマン、アンドゥムルメステール、と色んなブランドに出会っていく訳だけれども、間違いなく、自分がコレクションブランドに興味を持つきっかけになったのは、RAF SIMONSが始まりだった。
「テーラードとユースカルチャー」の融合。
これも、RAF SIMONSが成した数々の偉業を語る上で、外せない一つである。
ファッションの歴史において、かつてテーラードジャケットというのは、クラシックでどちらかと言うと畏まったアイテムであった。今でこそ、若者も普通にお洒落に着るのが、当たり前だけれども、90年代後半までは、間違いなくそうだったと思う。
「ジャケットっておじさんが着る古くさいもの」
そんなイメージを払拭するのに一役買ったデザイナーの1人が、間違いなくRAF SIMONSだった。
当時、ランウェイコレクションと言うと、マッチョで日焼けした健康的なモデルさんが上裸にジャケットを着るイメージ(語弊があるかも知れないが、少なくとも当時、10代後半だった自分には、そう思えた)だったが、RAF SIMONSのランウェイに使われているモデルと言えば、肌も真っ白でガリガリ、不健康そうな若者たちが、テーラードにワイドパンツ、足元はボロボロのコンバースというようなスタイル。そのスタイルは、当時ものすごく斬新で、雷に打たれたような衝撃を受けた。あの時代、自分のような10代20代の若者達が、こぞってコレクションブランドに興味を持つようになったのは、あれ以降だったと思っている。
さて、思い入れが強すぎて、前置きがかなり長くなってしまいましたが。
本日のオススメは、こちらになります。
RAF SIMONS
"BIG FIT BLAZER"
これは確か17AWのコレクションだったと思う。当時、人生で初めてパリコレクションの買い付けに同行させて貰って、実際にRAF SIMONSのショールームにてオーダーした思い入れのあるアイテム。
BIG FITのジャケット自体、その当時、それ程世には出てきておらず、「絶対に着こなしたい」と思い、オーダーから約半年間、商品が届くまで待ち焦がれた。そしてお客さんにも「絶対、次はこれが来るから」と、熱量高めにおすすめして、ほぼ周りのお洒落好きの方達に買って貰ったのも、懐かしいエピソード。
これはRAF本人が、アントワープの実家に帰った時に、家で発見した祖父のジャケットからインスピレーションを受けて作ったアイテムだとか。やり過ぎではないパワーショルダーに、クラシックな3つボタン、そして何よりこのデニムのような表情のコットンギャバジンを使用することにより、ジャケットながら決して上品過ぎる仕上げにしていないところに、すごく惹かれた。
これまで、本当に様々なシーンで活躍し、色んな場所に一緒に出かけたと思う。今見ると、愛用し過ぎて、擦れて所々、表面が白くなっている所もあるし、少しずつクタクタになってきている。でも、自分はそれが良いと思う。そうやってこれからももっと使い込んでいきたいし、もっと色んな場所へ出かけたいと思っている。こうやって沢山の思い出の詰まった「RAF SIMONS ARCHIVE」というのは出来上がっていくのかも知れない。
「10年後も着たいと思えるデザインを作る」
それを言い換えるなら
「今見える価値観だけに捉われず、常に未来を見て新しいデザインに挑戦する」
ただそれを続けて来た結果が、今の異常なまでに高騰するアーカイブの価値を作っているのだと思う。
だから、今後も自分は、オンタイムで彼のコレクションに、そしてデザインに触れていきたいし、買い続けていきたいと思っている。
今後もどんどん載せていきますので、もし気に入って頂けたら、いいねよろしくお願いします。
それではまた!