「月になった妖精」
第294話 2015年7月31日 新潟県十日町
広い広い田んぼの中に木がありました。
その木はカラスが芽を落としていって、生えてきたものでした。
木には髭の生えた妖精がいて、
周りの人たちはいつも何の妖精なんだろうと考えていました。
妖精は鳥の妖精で、木にできた卵から生まれていました。
妖精が卵を温めていると、そこから人間の赤ん坊が生まれました。
赤ん坊が育ってゆくと、髭が生えてきて脱皮をして月になって、
その月の光を浴びた土から、また木が生えてきました。
その木にまた別の鳥が飛んできて、また卵を産んで行きました。
木がどんどん生えてきて、森のようになっていって、芸術祭が開かれ、
誰もいなかった町に人が溢れるようになり、とても幸せな村になりました。