7日後に新刊を出す植本一子(2024/11/24)
午前中に一件撮影。昨日秋刀魚のことを書いたあとに「下北沢 秋刀魚」で調べたところ、今日も11時から焼き秋刀魚の配布があることが発覚。撮影の納品を終えてから貰いに行こうと目論むも、そんな時間はなくなりあえなく今日も秋刀魚ゲットならず。撮影したご家族が帰り際に「お腹すいた〜」と言い出したので、すぐそこで秋刀魚を配ってるらしいので是非!と伝えたところ、納品作業中に「食べられました〜!」と写真付きで報告がきたので、私の分もN家が食べてくれたのだと思えば、気持ちも落ち着くような。
午後、三軒茶屋の生活工房で信田さよ子先生の講演会へ。78歳とは思えない、凄まじい頭の回転で、同じ場にいるだけでエネルギーがもらえるよう。先生が開設された原宿カウンセリングセンターには数年通っていて、担当は違う先生なので、昔はセンターでたまにいらっしゃるのを見かけると、信田先生だ……と幻を見たような心持ちになっていたけれど、数年前に雑誌で対談させてもらったり、今日のような講演会に足を運んだりで、なんとなく覚えてくださっているかな、と思っていた。事件に巻き込まれた今年の春にカウンセリングに行き、ぼんやり待合室に座っていると、先生が「元気?」と受付から声をかけてくれた時は嬉しかった。何も事情は知らないはずだけど、ちゃんと覚えられていた、とそれだけで元気が出たのだ。夏に青山ブックセンターで三宅香帆さんとのトークイベントに行った時は、サインに並んだ私と目が合うと、あら!と気づいてくださり、名前を名乗らなくとも「植本一子様」とあの達筆でさらさらと書かれたことに驚いた。今日は終わって声をかけると「まあ!来てたの?!」と。先生も講演会の中で何度かセンターの宣伝をされていたけれど、またカウンセリングに通うことにしたので、と伝える。本当に原宿カウンセリングセンターがこの世にあってよかった、と強く思う。
講演会帰りに前さんときのしーとジョリーパスタでおしゃべり。最近の仕事のことから来週の文フリの話題までベラベラと3人で話し、最初は行こうかどうか迷っていた前さんが、最後の方には「よし!行くよ、文フリ!」と盛り上がっていたのがよかった。三茶から電車で帰る前さんとは店の前で解散し、下北まで歩くと言うきのしーと帰ることに。途中ファミマに寄って案の定缶チューハイを買ったきのしーと、またおしゃべりしながら歩く。茶沢通りをまっすぐ歩けば早いけれど、ゆっくり話したくて、ほんの少し遠回りの裏道を通ったことを、多分彼女は気づいていないだろう。久々に2人で話せていい時間だった。
というわけで文フリまで1週間を切りました。ここらへんで一度情報をおさらいします。
1週間後の12月1日(日)12時〜17時まで、東京ビッグサイトにて文学フリマ東京が行われます。私はその中のQ-35「植本一子」ブースで、新作エッセイ集『それはただの偶然』を販売します。この日は10円の端数はサービス!なるべく現金を持ってきて欲しいですが、どうしてもという人にはPayPayで対応できればと思います。過去作もいくつか持っていく予定です。一緒に、エッセイとノンフィクションの書評集を出したYamadaさんの『乱読の地層』も販売。おすすめの友人たちのブースも来週どこかでお知らせしたいです。
いつか別れる日のために
どこまでも一緒に歩いた
わたしたち
自費出版で初めてエッセイ集を作りました。
今年の春に事件に巻き込まれてしまい、かなり苦しい日々を過ごしてきました。
生きることさえ諦めそうになったけれど、書くことはそんな自分を助けてくれました。
夏から秋にかけて書いた7篇と併せて『文學界』『ベストエッセイ2024』に掲載された1篇、少しの詩を載せています。
また、今回「わたしの現在地」というシリーズ名をつけたので、気長に作り続けていけたらと思っています。
ーーー失われてしまったものや、残されたひとたちのことが、ここにはちゃんと書かれているように思います。
(柴山浩紀・編集者)
わたしの現在地(1)
『それはただの偶然』
もくじ
一緒に生きていこうぜ
春
小森さんと私
タトゥーを入れる
それは愛と呼ばれる何か
新しい友達
高橋さんのこと
お葬式のメンバー
ねこのきもち
私たちの本当の終わり
あとがき
植本一子 出版年表
2024年12月1日 初版 第一刷発行
著者 植本一子
装丁 六月
校正 藤本徹
協力 柴山浩紀
印刷 株式会社イニュニック
発行者 植本一子