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不倫相手との対峙⑥

ようやく相手女性と夫の物理的な関係が絶たれました。繋がろうと思えば正直ここで消しても繋がる事は出来ます。それでもここで過去に繋がっていたルートは根絶できました。これは私にとっては大きな飛躍でもありました。

そして話題は慰謝料の話題へ

私「根本的な事を聞きますけど、慰謝料は払えます?経済的に」

女「・・・払う気持ちはあります・・・ただその金額が・・・(100万の場合)年収の半分になってしまうので・・・・生活費は彼氏と折半してて・・・」

私「貯金は別にしてないの?」

女「・・・別ですけど・・・今は・・・あんまり」

私「月々どのくらい収入あるの?」

女「手取りで・・・12,3万くらいです・・・」

正直少ないと思いました。少なからずコロナ禍の影響もあったかも知れませんが、30歳を迎えた女性が手取り12.3万。いくら彼氏と同棲してて全て折半だとしてもあまりにも自立出来ていない月収に感じました。この辺りがやっぱり今の彼氏とは未来が見えないから、寄生先をうちの夫に変えようとしていただけではないのか?と思ってしまう所ではありました。

とはいえ収入がこれだけ少ない相手に求められる金額は、そう多くはない事は私は分かってました。勿論気持ちの上では探偵費用100万払って欲しかったですけど、現実的にそれは無理なのは分かっていたし、仮に法的に見ても100万は無理なのは分かってました。

私「まぁその辺の状況は加味して金額は決めたいと思うけど・・・とりあえず慰謝料自体はキチンと払って貰いたいんですよね。それ以外で罪の償い方があるから私も知りたい。それ以外の方法があるなら逆に教えて欲しい位です。でも正直ないんですよ。それ以外の方法って」

女「・・・・」

私「じゃあ例えば月に1万とか払えます?」

そういうと女性は困った顔をしてどちらとも答えれませんでした。

夫「それは・・・いつまで続くのかって話でもあるよね」

私「それは金額によるよね」

夫「まぁそうか・・・でもまぁあの一括で終わらせた方が本当は良いよね」

私「それはそうだね。一回で区切りつけられるし。」

女「・・・・」

私「なんか今決められない感じになってるからどうしようかな・・・。とりあえず私の気持ち的には100万円請求したい気持ちではあります。けど、夫の嘘が多かった部分や経済状況を考えると・・・・貴女30万払えますか?」

これはかなり気持ち的には妥協した金額です。でも妥当な金額でもあります。お金なんていくら積まれたって私が受けた傷は塞がりませんし、100万という経費がかかった分取りたいって思ってましたけど、法的観点、経済状況からすれば30万が妥当で限界だと思ってました。最初に大きく100万と言ったのは、正直に自分の心情を伝える為でもありました。100万という額は大きいです。それを払わなくてはいけない程の事を自分がしたんだ、という罪の大きさを知って欲しかったから。

最初から100万とれるとは思ってませんでしたし、減額する気ではいました。でも最初から安い値段を言うのはあまりにも私の気持ちが可哀想です。また高額な金額から減らす事で、100万よりは30万なら払えるかも、という錯覚を起こさせるためでもありました。それくらい打算的な事をしても良いですよねw『減額してくれた』と思わせるのもまた私に対して更に頭を上がらなくさせますし。

私「分割でも一括でも良いですよ。もうそれで今回の話を終わりにしましょう。恨みも後悔も自責の念も全部終わらせましょう。そうしないと貴方も前に進めないんじゃないかな。ここで終わりにして次に皆で違う道だけど、進んでいったら良いんじゃないかなって思う」

女性は泣きながら黙ってうなずいていました。

私「夫君もこうやって慰謝料請求されるのは辛いかも知れないけど、これはやっぱり必要な事だから我慢して貰って・・・まぁ色々考慮したらその金額が妥当かなって思います」

女「・・・・分かりました」

女性は声を振り絞ってその金額に合意をしました。その様子を夫は何とも言えない顔をしながら見ていたので

私「何か言いたい事あるの?」

夫「まぁ・・・なんて言うか・・・気持ち的には俺も半分払いたいって思いがあるんだけど・・・ただまぁ・・・本人がそれで良いと言うのであれば・・」

私「私は100万でも良いんだよ。」

夫「いやまぁそれは・・・うん」

私「それでも彼女の気持ちを汲んで、夫君の気持ちを汲んで最低額の30万って言ったんだよ。残りの分は夫君の(人生の)時間で補填して貰うから」

夫「・・・分かった」

私「それ以上の事で貴女を私は追い付ける事はないので・・・ここでキチンと区切りつけて代償させ支払って貰えればこれ以上の怨恨は私は持ちません。」

私「あとは一括で払うか、分割で払うかって所で・・・例えば分割だったらいくらとかも決めて貰って良いし」

女性はとても迷っていました。それは慰謝料を払う事に対してではなく、どうやって払うか、で迷ってる感じでした。実際30万が手元にあったのかどうかは知りませんし、用意できる算段があったのか無かったのかも知りません。でもどう払うのか、という部分で大きく迷ってる印象でした。

私「・・・今決められない?」

女は困惑した表情で返事が出来ない様でした。

私「少し・・・考える時間欲しいですか?」

女性は何とも言えないのか中々返事が出来ませんでした。

私「もし今決められないから時間が欲しいって言うなら差し上げますよ。逃げないと思うしそこは信用して待ちます」

女「そう・・・ですね。分割で払うか・・・一括でどうにか払うか・・・決めかねてます・・・」

私「分かりました。じゃあ慰謝料に関しては後ほど連絡を貰うと言う事で・・・その他に関しては納得して理解して貰えましたか?」

女「分かりました」

その後私と彼女で連絡先を交換し、後日改めて支払い方法について決断したのちに示談書にサインする、という形になりました。時間にしておおよそに時間余りの不倫相手との対峙はこうして幕を閉じました。

話し合いが終わりお店を三人で出て、ホテルの前で彼女とはお別れをしました。深々と最後まで頭を下げる女性。「本当に申し訳ございませんでした。そして今日この様な時間を作って頂きありがとうございました」と言い「必ずご連絡します」と言い去っていきました。

ようやく終わりました。

まだ全てが終わった訳ではなかったけれど、ようやく彼女との関係を清算する事が出来ました。どっと疲れの様なものを感じながら駅に向かって夫と歩きだしました。

すると夫はギュっと私の手を握って

「本当にありがとう。本当にここまでしてくれるとは思わなかった。俺がichikoの立場だったらこんな対応絶対出来ない。本当にichikoは凄いと思う。本当に感謝と尊敬しかない。本当にありがとう」

そう言って涙を流しました。

それを見て本当にやっとここまで来て、やっとやっと夫の心がこちらに向いたのを実感しました。

夫と手を繋いで歩く

それもまた二か月以上ぶりの事でした。

夫からそう言われ私は

「私は・・・今こうして夫君と手を繋いで歩けてる事が十分幸せだよ」

と言うと夫は泣きながら「ありがとう」とその手を強く握ってくれました。この日本当に私は幸せでした。本当にここまで頑張った自分を褒め讃えたかった。本当に頑張った。本当に良くやった。そう思うと私も涙がボロボロ零れてきました。

日が沈みかけ夕日に照らされ生まれた繋がれた二つの影は、私が望んでいた未来を表してくれていたかの様。まだまだここからやる事もあったし、ここからが大変なのは分かっていたけど、今日この日この瞬間だけは、何も考えずに幸せに浸る事が出来ました。

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