長い一日を終えたその時に
その日はお互い食欲はわかず、コンビニで少し食糧を調達して来ましたが夫は殆ど口にしませんでした。ちょこちょこと二人で話しながら時間は経ち、夫は私との約束通り、相手女性へ「不倫がバレた事、話し合いをする日程」以外は連絡をしませんでした。
夫は「もう携帯は全部見られてるものだと思ってる」と言ってました。全部は見てませんけどね。まぁそう思ってくれるのなら都合が良いですので、否定も肯定もしませんでした。
その後夫と話している中で、再び義両親の話になりました。
夫は私との話し合いが終わったら話す、と言っていたので「もう話ししたの?」と聞くと
夫「まだ言ってない・・・・」
私「そう・・・んー・・・あのさ私思うんだけど」
夫「なに?」
私「私、義両親には言う必要ないんじゃないかって思うんだよね。だってこんな事を自分の息子がしてましたって知ったら・・・悲しむと思う。特にお義母さんはショック受けて泣くと思う」
夫「・・・」
私「・・・私はここで話が収まるなら・・・そんな悲しい想いをわざわざお義母さんにさせる事ないと思う」
私「こんな辛くて悲しい想いするのは私だけで十分だよ。」
そういうと夫はボロボロ泣きだしました。
自分がしてきた事の浅はかさ、その行動によって親を悲しませて泣かせてしまう。そんな事を自分がしてきたんだ、と多分この時やっと本当の意味で自覚した様にも思えました。私としては離婚理由を夫の都合良く伝えてるだろうなって思いはあったし、私の名誉を傷つけるような事を言ってるならば、それは訂正して欲しいと思ってました。でも離婚するならともかく、そうではないなら、ここで義両親に伝えても誰の為にもならないかな、と。
夫は両親にベタベタはしてませんし、割と淡泊に接してる方だと思います。それでも両親の事は好きだし、大切には思ってるはず。この私の言葉がどう響いたかは分かりませんが、きっと夫にとってはある種の救いになったと思います。
前にブログにも書きましたが「逃げ道」を作ってあげる、というのはこういう事でもあると思います。義家族を巻き込んでしまうと再構築へのハードルは高くなる気がします。夫は自ら両親に話す、と言いましたが、本音で言えば言う事はとても怖かったと思います。だからそこを「しなくて良い」と私が言う事で彼の心は「逃げる」事が出来ています。
私は実は最初からこの逃げ道は用意してました。相手女性への慰謝料等は私は譲れなかったので、義両親への報告は逃げ道としてしない方向で考えてました。実の親に不貞行為を知られるって本当に嫌だと思ったので。でも夫が自分から言う、と言ってきたのでそこは尊重してあげようかな、と思ってましたが即座に報告してない辺り、やっぱり嫌なんだなってのが分かったので、私から逃げ道を提供しました。
でもこれはある意味私にとっては義両親への報告という「切り札」がまだ残る、というメリットがあります。ここからまだどうなるのか分からない状態だったので、ここで切り札を残しておく、というのも安全策になります。自分の心も納得できるし、今後の自分の為に、という意味では、実は逃げ道の様でそっちに安心感を持てる様に私が誘導してるのです。
そして夫から不倫相手についても色々聞きました。元々不倫関係になったのは2020年8月に夫から誘った、というのは前回の記事にも書きましたが
夫「俺は彼女に嘘をついてた。8月頃にはもう夫婦関係は破綻してる、会話もない、一緒にも寝ないし食事もしない、そうやって嘘をついてた」
私「へー・・・」
夫「元々俺から誘って一回断れてるんだ。友達以上に思えないって。」
私「でも二回目にはOKしたんだ」
夫「そうだね・・・でも俺が嘘をついてたってのもあって・・」
だから考慮して欲しい、なんて事は言いませんでしたが、きっとそういう事なんだろうなぁと聞いてました。しかし、不倫する人って不倫相手にこういう嘘をつくってテンプレですよね。本当にうちの夫はテンプレ通り。不倫するのに「嫁と上手く行ってるんだよね~」っていうバカいないでしょうよ。それを何で相手も信じちゃうのか分かりませんし、嘘をつかれてたとしても、既婚者と知っているのに関係を持つ事自体が悪だと気づけって感じ。
私の女への殺意はこの時も当然ありましたが、夫から不倫相手の事を聞いていると今までは存在を人として認識してないただのゴミという感覚だったのが、ゴミだけど「そこにいるのも人間なんだな」という想いも芽生えました。殺意はありました。でも私は私の筋を通してやる事はやるけど、それ以上執拗に追い込んだりしてはいけないな、とも思いました。
そこにいるのは紛れもなく「人間」であると言う事実
相手の出方次第では私は人間として対応してやろうと思いました。それまでは本当に殺意しかなかったし、ゴミとしか思ってませんでしたが。元々相手の出方次第で対応は臨機応変に変えるつもりではありましたけど。でも慰謝料だけは私は譲る気はありません。
私「まぁそうだとしても慰謝料はキチンと払って貰うよ」
夫は慰謝料を請求されるのを一番嫌がっていたのですが、私はそこだけは本当に譲れなかったのでそこに「逃げ道」を用意はしませんでした。
私「慰謝料って私の精神的苦痛への代償でもあるけど、お互いの為でもあるんだよ。罪を償う為のモノでもあり、罪を背負う為のモノでもある。彼女がここで慰謝料を払う事は、彼女も自分の罪をキチンと背負って清算出来るって事。慰謝料も払わず罪を背負いも償いもせず、終わりのない苦痛が続くより区切りをつけられる、って意味では彼女にとっても必要な事だよ。した事は変わらないし消えないけど、慰謝料って形で区切りをつける、つけない、だと彼女の今後も変わって来ると思う。だから私は慰謝料は請求する。これはお互いの為だから」
夫「そうか・・・そうだよね。分かった」
ずっと慰謝料に対して抵抗していた夫ですが、私のこの言葉を聞いて納得してくれました。
慰謝料を払う事が彼女の為でもある、この一言が一番効いたかな、と。私の為じゃなく相手の為でもある、そう思わせるのポイントな気がします(^^)/
夜もふけてきて、そろそろ今日は寝ようか、となり、私は当然寝れないので睡眠薬を飲んで寝る事に。そして当然寝室は別々。
長い長い一日が終わろうとしてました。今日この日を迎える為に本当に頑張った自分。心から褒めてあげたかった。まだ何も進んでないし、ここからが勝負だったりもしましたが、ここまでの自分の頑張りと夫が素直に不倫を認めた事、それだけでこの時は十分心が満たされました。それ位この日までの私は疲弊しきっていたのだと思います。
睡眠薬を飲んで三時間後、ふっと目が覚めました。
時間はおそらく朝の4時頃。
睡眠薬を飲んでも三時間程度で起きてしまうのはこの時デフォだったので、ぼんやりとした頭で夢うつつ状態に陥ってました。するとリビングの方から夫の変な声が・・・・
え、なになに((((;´・ω・))))
「ああ~あ~うう~」
そんなうめき声でした
怖っ!!と思ってリビングに行くとソワソワ落ち着きなく座ったり立ったり、しゃがんだり歩いたりしてる夫が( ゚Д゚)
私「え、なになになに、どうしたの!?」
夫「く、薬・・・睡眠薬飲んだら・・・効かなくてすぐ起きちゃって・・」
私「え、あ、(私の)飲んだの?」
夫「だからもう一回飲んだら、効きすぎてヤバイ。これヤバイ」
どうやら私が持ってた睡眠薬を飲んでこんな状態になってしまった模様(;^_^A私の持ってた睡眠薬は弱いタイプだったので、飲んでも問題はないのですが、連続して飲みすぎてしまった模様・・・
夫「これやばい!意識飛ぶ!!怖い!!怖い!!」
とパニックに陥る夫
睡眠薬を殆ど飲んだ事ない夫なので余計に怖かったかも知れませんね。私も初めて睡眠薬を飲んだ時、意識ガクンっと持っていかれる感じ怖かったので気持ちが分かりました。
私「大丈夫、大丈夫。そのまま落ちる様に寝ればちゃんと寝れるよ」
夫「怖い。何か本当に意識が落ちる感覚がして怖い。怖くて横になれない」
私「大丈夫だよ、死にはしないから。落ちる感覚がするのは寝れる証拠だよ」
夫「怖い、怖い。やばいやばい」
とにかく尋常じゃない怯え具合でした。まぁただでさえ私と色んな話をして頭も混乱整理がついてない状態で、精神も不安定だったのもあったのでしょう。怖かったのは「落ちそうな意識」じゃなくて「これからどうなるのか」という事への方が強かったかも知れません。
とにかく夫を落ち着かせて寝せなければ、と思ったので
私「分かった、分かった。とりあえず横になりなよ。私すぐ横にいるから何かあったらすぐ起こすから。安心して寝なよ。大丈夫だから」
夫はとにかくソワソワしてて、私に促されるがままベットに行き横になりました。最初は「あ~」とか「う~」とか言ってましたが、横になる夫の手に触れて「大丈夫だよ」と声をかけ続けてたら割とすぐ寝ました(笑)
夫の手に触れる・・・それは実に二か月ぶりの事でした・・・
ここまでずっと拒絶され続けて触れるのも嫌だと言われてたので、この時も触れるのは躊躇しましたが、夫が嫌がらなかったので(嫌がる気力がなかっただけかも知れませんが)触る事が出来ました。
ちょっと軽く感動しましたよ
ああ、ここまでは来れたんだなぁ・・・って
私も睡眠薬が抜けきってないし、実際そんなに睡眠取ってる状態じゃなかったので、夫が深く眠りに入ったのを見て自分も寝室に戻り寝る事にしました。私もこの後割とすんなり入眠できたのは、夫に二か月振りに触れる事が出来た安心感も強かったのかも知れません。
深く眠りに入って次に目を覚ました時は、朝の7時頃でした。
ふと目を開けると、目の前の椅子に夫が座ってました。
(マジでビックリした。何してんの。怖いわ。ビビるわ)
私「・・・・え、なにしてんの・・・?」
寝ぼけながらそこに黙って座っている夫に声をかけました。
夫「・・・」
何だかションボリした様にうな垂れている夫。
私「どうしたの?」
そう声をかけると夫はポロポロと涙を零し始め
夫「・・・今まで本当にichikoに辛い想いさせて・・・本当に辛かったよね・・・本当にごめん」
夫が初めて謝罪した瞬間でした。
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