夜の田舎道は死と隣り合わせだった 〜休学カブ日本一周0.5日目〜
はじめに
お世話になっております。いちきたこと申します。スーパーカブで日本一周をしています。今回はお試しで茨城県内をツーリングしてみた、いわば前日譚のようなものになります。この日は奥久慈こと大子町の袋田の滝に行ってきました。
それから記事の形式なのですが、その日に付けた日記をそのまま載せる形にしようと思います。そもそも自分にとっての記録が本来の目的だし、情報が抜けてしまう部分はあれどこの方が雰囲気が伝わるんじゃないかなと思っています。
日記本文↓
8/18
6時に起きて準備するつもりが8時起き
ぼやぼやしながらダラダラと動き始める。やり出すと意外とやること多い。掃除洗濯、荷物の積み込み。あれもこれも、みたいになっていくのを何とか抑える。前日まで旅ってなんだよ…と後ろ向きだったけど、乗り気になってきた。楽しくなってきた。さすがに。でも携帯コンロのケースを大学の作業部屋まで走って行ってダンボールで即席でつくったのは汗かいたしめんどくさかった。彼女と親に世話になったありがとうと電話して、荷物を詰んだカブをクロッキーして、出発する。まあまあの出来。
とりあえず石岡まで走る。石岡では友人のS家に寄った。めちゃくちゃフレンドリーに接してくれた。家の雰囲気がまんまSの雰囲気になってるような。自転車やらキャンプ道具やら植物やら。美味しい丼を食べた。豚ナス卵ネギ丼。お守りももらって、とりあえず袋田の滝へ。袋田の滝は大迫力。袋田の滝へ行くまでの通路が良かった。周りにある商店も、中で家族が団欒していたり。滝の絵を描いた。パステルは初めて使ったので、濁ってしまったけど、そこまで悪くない滝がかけたと思う。
それから少し店を冷やかして、泊めてくれることになったS家にこんにゃくを買って、帰った。
帰り道はずっと暗い道で、舗装は綺麗だったけど街灯もなく、いつ終わるかも分からず、生きた心地がしなかった。遠くに鍾乳石のような月明かりがおはじきくらいの大きさでうかんでいて、脇にある茂みは墨汁を垂らしたみたいに真っ黒で、話すひとも聴く音楽もなくて、ただゆらゆらと前照灯に白線が照らされて浮かんで、あの世を走っているみたいだった。
セコマによったけどあまり何も食べる気が起きず(Sママがごはんを用意してくれていたし)、少し休んでからまた走った。
S家に着いたあと、お風呂でシャワーを掴む手は少し震えていた。
自転車を漕いでいる時、余程のことがなければ死ぬことは無かった。でも今度は少し間違えれば死ぬのだと思った。その感覚をほんの少し嬉しいと思う自分もいた。
夜ご飯は白米、柔らかめの焼き餃子と多分余ったあんで作った肉団子スープ、冷奴、きゅうりのつけものだった。温かくてとても安心する味だった。醤油の色がやけに濃い黒だったのを覚えている。
ビールをSと半分ずつ飲んで、少し話した。最近できた彼女とは仲良くやってるようだった。Sがいつまでも電話を終わらせる気がなさそうだったので、いや、それはいいことなんだけれど、彼女さんにも仕事があるし、僕は僕で明日またバイクに乗るので、いい所で切りあげた。でもまたどこかでその彼女さんとは面と向かって話せるといいと思った。それから眠った。ベッドとコットがあって、僕はコットで眠ろうとしたけどベッドを譲られた。申し訳ないと思ったけどありがたく使わせてもらった。これから冷たい地面で寝るのだし、今日くらいはいいだろうと思おう。