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連載イチロー部屋のイッピン61. 仰木彬監督&イチローサインボール

イチローと、「僕の唯一の師匠」仰木彬監督(故人)のサインボール。

日本のプロ野球関係者の功績を讃える「野球殿堂」の仰木監督のレリーフには、[平成6年にオリックスの監督に就任すると、二軍から鈴木一朗を登用、登録名を「イチロー」に変更し、開幕から起用した。]と刻まれている。

イチローと仰木監督のエピソード。試合に敗れてホテルに向かうバスの中で、仰木監督がイチローに声をかける。「イチローよ。なぜそんなに沈んでいるんだ。オマエは今日、二塁打を打っただろう。だったら、喜べばいいんだ。チームの勝敗は、オマエが悩むことではない。敗戦を悩むのは、オレの仕事だ」。イチローは、「すげぇな、このオッサン!」と驚き、本気でリスペクトするようになったという。  

仰木監督は、「個」を尊重しながら勝利に向かって最善の手を打つ。野茂英雄の「トルネード投法」に対して、コーチ陣に「触れるな」と厳命。イチローの「振り子打法」に対しても、フォームの矯正や手を加えることは一切しなかった。

仰木監督は病床でイチローに、「地のままの自分を見せたらいい。そのほうが楽や」と話したという。‛06WBCで感情表現が旺盛になったと問われ、イチローは、「変わったわけではありません。表現するようになったのです。ほんとうの自分の内面を出してもいい、と思えたのは、それだけの自信をつかんだからです」と答えている。

イチローは、大リーグ3000本安打達成の会見で、「このきっかけを作ってくれた、仰木監督の決断がなかったら、何も始まらなかった」と話している。

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