連載イチロー部屋のイッピン90. イチローメジャーデビューのサインボールとチケット
開幕戦は2001年4月2日7時5分試合開始。シアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックス戦。
ピッチャーは、前年20勝で最多勝利のタイトルを獲得しているティム・ハドソン。イチローの第1打席は、やや高めの92マイルのストレートを打って2ゴロ。第2打席は、膝元82マイルのチェンジアップに1ゴロ。第3打席は、インローのシンカーに空振り三振。
イチローは試合後、「あれだけ低めにコントロールを持っている、高めのストライクゾーンに浮いてこないピッチャーというのは僕は見たことないですね。腕の振りは真っすぐに近いのに、まっすぐより7~8マイル落としたボールが来る。ストレートと変化球を見分けるのがとても難しいピッチャーだと思いました」と、ハドソンのピッチングに完敗したことを認めた。
「一番緊張した打席だった」という第4打席。6回から交代したT.J.マシューズの1-2からの4球目、やや外寄りの89マイルのストレートを叩いた打球は、グランドに痕跡を残して高く弾み、センター前に抜けていった。
ハドソンが“100球制限”で交代しなかったら…‥‥。新人王も、MVPも、262安打も、10年連続の数々も、3089安打もなかったかもしれない。
2025年1月21日(日本時間22日)に、イチローのアメリカ野球殿堂入りが発表される。