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fhána "where you are Tour 2019" FINAL感想~神様がくれた、僕らが見つけたTrue Route~

表題の通り、4ピース音楽ユニットfhánaの2019年ツアーのファイナル、東京公演2日目の振り返りになります。
ライブレポートというよりは、セトリを振り返りながら「今の僕への聴こえ方」を確かめるような、だいぶ長めの文ですね。

セトリは勿論、佐藤さんの言うところの「ツアーに仕掛けた謎」にも言及しているので、気にする方はご注意を。

遡ること5ヶ月。自主企画ライブ"Sound of Scene #01 curated by fhána" にて、FC発表と共に開催が発表されたツアーです。

「こういうのあるから現場来たくなっちゃうでしょ?」
と再確認するような一夜でしたね。

しかし今回のツアーは、これまでの fhánaツアーとは随分と違っていて。
東名阪で4公演、それぞれに"fade" "illuminate" "narrative" "divine" という別のテーマが据えられていたり。バンドメンバーも変わったり。アルバムではなく「where you are」という曲リードだったり……

何より。京アニさんの事件を受けて、メンバーもファンも常に「別れ」を意識しながらの公演だったと思います。アニサマでも顕著でしたが。

今回のこの4テーマ、キモはイニシャルをつなげると"find"が浮かびあがるという仕掛けのようで(打ち上げで聞いて初めて気づいた)
「見つけた」ことを、「ここにいる」「離れても孤独じゃない」ことを再確認する、そんなツアーだったのかなと思います。

ちなみに会場にファン有志から贈られたフラスタでは

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※写真へたくそ選手権で申し訳ないですが


企画者のゆとりふぁなみりーの皆さんによる回答編に、

舌を巻く出題者でした。過去のライブでも、愛とセンスに溢れたお花が何度も。世界に花束を溢れさせてくれたあなたに花束を。

勿論、各公演でテーマを感じさせる選曲や演出はあった(少なくとも 今回の"divine"はそうでした)でしょうし、そもそも我々は公式が意図していないところに勝手に文脈を見出して盛り上がるという営みをしがちなのですが。
4つをつなげて初めて浮かび上がる、そんなストーリー性がコアだったように思います。

……という前置きはここまで。ここからはライブ本編についてです。
なおセットリストは親愛なるふぁなみりー、ルークくんによるレポに沿っています。
(編集中の彼に「ここどの順だっけ?」と聞かれて「忘れました!」と即答する僕でしたが。Thanks, may the force be with you)

会場は舞浜アンフィシアター。半円状のステージが特徴的で、客席の勾配が工夫されておりかなり近く感じました。そして曲でも触れますが、照明やスモークの演出が非常に繊細。以前に訪れて気に入っていたという声も多かった印象です。
いつも通り、青い光に包まれるステージに、SEと共に現れるメンバーたち。そしてtowanaさんが歩み出て、スクリーンに"divine"の文字が現れた……ような(曖昧)

1. divine intervention

「テーマ的にやるでしょ」と思っていたら初手でした。fhánaを代表するアッパーチューン。ときには、「ここでdivineを演奏しないのがfhánaらしさ」みたいな語られ方もしますが。

今回はアニサマでも行われたという、towanaさんによるアカペラから。towanaさんの声が静寂の中で響き渡る、まさに神聖さに満ちたひととき、からのエネルギーの爆発。否応なしにぶち上がるイントロです……そういえば、以前はここでケビンくんがサンプラーを持ち上げて連打していたと思うんですが、最近は変わってきたような?
divineのライブver. だと、ラスサビ入りでの佐藤さんのグリッサンドが特に好きです。音源聴いててもストリングスに重なって浮かぶんですよね。

静寂、といえば。(他のアニソン現場はあまり行かないんですが)メンバーが静寂を意図しているタイミングではオーディエンスも静寂を保つ、という空気がかなり定着しているのも、fhána現場のひとつの特徴なのかもしれません。ブレイクで家虎しちゃう人とか、相当に少ないと思いますし。

そして舞浜公演では参戦していたストリングスカルテット from STAND UP! CLASSICが、和賀さんがぶちかましているアウトロと共に登場です。この登場の仕方もほんとに格好よくて。まさにアニメのオープニングの集合カットのような。

からの。

2. The Color to Gray World

こんなん泣くぞ!?!?

ふぁなみりーの間でも屈指の「刺さる」曲で、特に歌詞が好きな曲として挙げられがちですし、ライブで演奏されるときまって誰かが「救われた」「ありがとう」「また頑張れます」と語る曲であり。

それぞれのパーソナルな「救われた」思い出と結びつく曲だと思うんですよね。僕にとっては、サークルと試験と実習の忙しさと「向いてなさ」が重なって心がグレーになっていた2016年の秋ですし。ストレートな恋の歌のようで、諦めかけていた世界を、人を信じようという普遍的な歌でもあり。

今回のライブでは、「灰色の世界」を体現するような白い照明が印象的で。そしてストリングスが入ることで、さらに優しさが際立ったように思います。間奏の3-4小節目のフレーズ、低音からソロをつないでからユニゾンになるというパートは視覚的にも見ごたえがありました。

3. 星屑のインターリュード

またもや必殺曲。fhánaのシングルにはストリングスが入ることが多いんですけど、この曲では幻想的な和音と共に、サビでの跳ねるような(客も跳ねてますが)弦がすごく好きなんですよね。今回は初めて生で堪能出来て最高でした。

そして星屑といえば。

ポリープ発覚直後の、WWWL追加公演の回想。towanaさんが歌えなくなっていたかもしれない、そんなルートを想起せずにはいられなくて。
だからこそ余計に今の歌声が愛しくて尊くてたまらなくなる曲でもあります。「いつか来る別れ」を描いている歌詞も相まって……それでいて、物悲しくなるんじゃなく、全力で楽しんでしまえるのもfhánaブレンドだなと。

4. It's a Popular Song

曲前に佐藤さんのMCがあって。
「なくしてしまったものを思いながら、それでも進んでいくという曲」
……だったかな、かなり朧げにしか思い出せないんですが。一瞬、「僕を見つけて」が来るかなと思ったら、こちらでした。

リリースは1年半前の3rd ALですし、歌の温度や距離感はだいぶ違うんですけど、最近のfhánaのテーマともやっぱり通じているように思いました。

喪失と不可逆の先にある未来。そしてfhánaなりの「Popular Song」の提唱。
リリース当時に3rd ALの感想を書いたときには、まだこの曲を掴み切れていない感覚が強くて。けどそれからWorld Atlas Tourに訪れて、パンフレットを読んで、色々あってからまたライブに来て。

時と場所を問わず、同じ歌と共にあることの強さ。WAツアーパンフで佐藤さんが語る所の「カルチャーの力」が、痛切に眩しく響くんですよね……少し脱線ですが、「天気の子」でRADが歌っていた「愛にできることはまだあるかい」も、あの時期だからこそ響いて仕方なかったんですよ。

今回のライブでは、生音のグルーヴの心地よさがすごかったです。音作りに余白が多いぶん、それぞれの音を拾いやすくて。今回は「バンドとしての強さ」を随所に感じたんですけど、セッション感ではこの曲が強かった。

5. 虹を編めたら

虹編めは人生。fhánaの、というよりあらゆる音楽の中でもベスト級です。

ライブで聴ける率は高めなんですけど毎回泣けるんですよね。思い入れについては前の記事でも書きましたが、やりだすとキリがないもので。
この曲ではタイトルに合わせてステージの照明がカラフルになることが多いのですが、今回も非常に心躍る虹色でした。

佐藤さんのコーラス、ライブでは音源よりも少なめになる曲も多いのですが、今回の虹編めは多めに入っていたのも嬉しかったです。ツアーパンフでも語られていますが、towanaさん+佐藤さんのハーモニーをfhána好きのきっかけとして挙げる声も割と聞くんですよね。僕も、(2014年のアニサマの放送での)「いつかの、いくつかのきみとのせかい」で一目惚れでしたし。

そして音源でも大好きなストリングス! 虹編めはタイアップがハルチカ、吹奏楽部作品ということで、ここでも生楽器の文脈をひしひしと。

6. Unplugged

MCでストリングスが一旦捌けて、佐藤さんから「fhánaの歴史はkevinくんプロデュースの歴史」みたいな話があって(towanaさんに対する雑な振りもあったような?)
サンプラーしかやっていなかったはずが、グロッケン、蝶ネクタイ、ダンス……とアイコンが次々と増えていって、そしてラップに至る。

という訳でtowana × kevin という2MCのこの曲。去年あたりから「reaching for the cities」「今夜はブギーバック」でラップやりだして、「えっ普通にめっちゃ上手くない!?」と話題になっていましたが、今回はボーカルとステップの両面でビートを乗りこなしていて痺れましたね……ラスト、towanaさんと背中合わせになるという構図も、そこでちょっとぎごちなくなる温度感も超キュート。

kevinくんはふぁならじでヒプマイを流したり、□□□やマボロシについてツイートしていたりと、ヒップホップに馴染んでいる様子は見受けられていたんですけど、こうやってガッツリと足を突っ込んでいるのは嬉しいですね、僕もここ最近はどんどん来ているので。ふぁなみりー文芸部押韻同好会は随時部員を募集しています、あとTLで韻を踏んだら僕がアンサーしにいくのでみんな覚悟してねっ。

7. lyrical sentence

1st収録、最近だとレア曲……と思いきや、このツアーだと全会場で歌われていたようで。僕は初めてかな、イントロで興奮しましたとも。

fhánaも6年目になって、なかなか会場で聴けない曲が増えてきた分、こういう選曲が一部ファンへのクリティカルになっていくんですよね……だからこそFC限定ライブをという話が頻発するのですが。


この曲、fhánaには珍しい小説タイアップですし、MVでのタイポグラフィも「惜日のアリス」本編も好きなので、その意味でも思い入れある曲ですし、まあ、このマガジンのタイトルがね、うん。

8. ユーレカ

3rdとベストALが間にありますけど、13thシングルのc/wで「ユーレカ」=見つけたことを謳う、あるいは見つけてほしいと願う歌を入れてからの14thで「僕を見つけて」であり、このツアーの"find"ですよ。
メンバーが意図していたかはともかく、fhánaの「文脈力」をひしひしと感じます。

ライブだとtowanaさんの振り付けがすごく好きで。「僕の名前を~」の、宙にtowanaサイン→指鳴らし(聴こえないけど聴こえると評判)だったり。
「ぴかぴかスニーカー」で靴を示す振りもあるんですけど、今回はヒールについたお星さま(みたいなの)がキラッとなっていたのも印象的でした。

この曲を聴き返していてふと思ったんですけど、towanaさんの詞には「空」がよく出てくるんですよね。今のところ全曲かな、インスタでも空ショットが多いですし。それにつられてか元からなのか、ふぁなみりーには空の色を気にかける人が多い印象があります。

9. 真っ白

佐藤さんがギターに持ち替えたら、Rockなfhánaの始まりです。
和賀さん主導の「真っ白」はfhánaの中でも特にシンプルで生っぽい音作りで、これはライブで化ける曲だとは思っていたんですけど、ですけれど!

想像以上に熱と圧で激熱でしたよ脳が真っ白でしたよ!?

ライブを思い返していて「あのとき脳で何が起きていたんだ?」となる瞬間ってあるんですけど、このときもそうで。なんなら、この日全体で一番脳がドーパミンでドパドパしていた曲かもしれないです。

パンフでの和賀さんインタビューでは「バンドシーンでやってきたタフなバンドとの真っ向勝負は難しいけど、fhánaにも独自に積んできた経験がある」みたいな話が出ていて。確かにfhánaのボルテージの上げ方はロキノン系とは違う回路が多いと思うんですけど、今回の「真っ白」はロックバンドど真ん中でパワー全開、という空気だったように思います。

そして曲名を表すかのような照明、ここでも。

10. Do you realize?

高まったボルテージをさらに燃やすようなコンボ。朧気なんですけど、この曲でも照明の変化が格好よかった……

fhána麺は勿論なんですけど、今回はサポートの皆さんのエネルギーも猛烈だったんですよ。特にドラムスの河村吉広(よっち)さん、音源からのアレンジもプレイのキレも、攻めに攻めていて。この曲は元からドラムパートが大好きなんですけど、今回も痺れまくりでした。

そしてrealizeといえば、和賀さんによるラスサビ入りでのギター振り下ろし。「ムーンリバー」でのサビ入りガガッと並んで、ふぁなみりーの和賀さん瞬間最大エモ速なんですけど、今回も最高でした。

さっきはkevinくんのパフォーマンスの話でしたが、和賀さんのギターヒーローとしての進化も、fhánaの歴史と密接に絡んでいますよね。元々はあんまり見られ方を意識していなかったらしいですし……まあ最大の転換点は「楽器を下ろして踊る」なんでしょうけど。

11. Code "Genius" ? (English ver.)

ナカゲノ曲からのセルフカバーであり、話題を呼んだ「撮影OK」曲でもあります。この撮影OKシステム、イベント的な楽しさの他にも気づきが多くて。

上がっている写真を見ると、ステージの見え方がかなり多彩で。舞浜アンフィのデザインがすごく活きてると思ったんですよ。後、公式から提供される写真にはない、「自分に見えていた角度」が残せるんですよね。ふぁなみりー間で「今日はこの辺だった」みたいな話が出ることもあるのですが、それが記録として残せる。

後、佐藤さんがSNSへの掲載を推奨していて。TwitterだとRTしていましたし、インスタだとストーリーズでリプしていたかな。
参戦報告に画像が付くことによる華、ファンと一緒にライブを作っているという実感の強まり、みたいな効果はあったように思います。反応してくれて嬉しいって声も多かったですし。
アニソンとかオタクカルチャーだと、演者はともかくファンのメインスペースはTwitterで、インスタは馴染みないどころかネガティブに思っている人も多いという印象はあるんですが。
その中でもインスタでファンとのコミュニケーションを図ろうっていう姿勢は、「新しいコミュニケーションの形」だったTwitterでつながったfhánaらしいなと思います。

加えて。曲前で「写真はOK、ムービーはダメ」というアナウンスがありましたが、実際に動画を上げちゃっている人って見当たらないんですよね。
これも他アーティストとの比較はできないんですが、少なくとも今回のfhánaに関しては「ルール守ってくれるはずだし、ここまではOK」に対して誠実に答えたという信頼関係が生まれていたように思えます。

後はこんなファンアートも。

音楽に写真に、独自のセンスで創作に取り組んでいるeucお兄さんですが、「この手があったか!」と膝を打ちました。それぞれの物語、別々の景色、まさに。

写真の話が長すぎましたが、勿論曲も楽しかった!
曲調と共に変わる照明に、英詞を格好よく歌いこなしながらビシッとポーズを決めるtowanaさんに。佐藤さんによる、ほぼRelief専用機になっていた赤シンセでのソロもぶち上がりました。

12. 光舞う冬の日に

今回は少し長めのイントロでした。以前はイベントでの登場SEにもなっていたと思うんですけど、琴線に触れる大好きなイントロです。
確かfhánaが最初に世に送り出した曲だったかな(作ったのは「kotonoha breakdown」が先だったはず)
fhánaのルーツともいえるKeyを感じさせつつ、メロと音の絡み合いに溢れるfhánaの空気感。

サビが五拍子という変則的な構成で、それでいてスッと耳に馴染むメロディで。こういうことを最初期にやっちゃうのがfhánaの「浮き」感の現れなようにも思います。そしてこの構成が、ライブで恒例となっている△↓↑の振り(towanaさんに合わせて手を五拍子で動かす)になって、一体感が加速して……というのも不思議な巡りに思えます。

観ているのがフロアの後ろの方からだったら△↑↓が壮観ですし、前の方だったら脇に視線を向けるのも楽しいです。♪突然に せ・か・い・が、の辺りの感覚が特に好き。

そしてここでも照明が、「光舞うだな~!」となったのは覚えています(なお細部は思い出せず)

13. where you are

このツアーのリード曲。歌詞の考察はナカゲノアルバム感想記事でもやって、「ライブで聴かないと分からないけど」みたいなスタンスで。

今回はまずMCでtowanaさんが、特設サイトにあった

あなたはどこにいるのだろう。わたしの居場所はどこなのだろう。それでもわたしはこの場所から、あなたのことを想っている。 

というフレーズを語っていました。そのときのtowanaさんの声色、間の置き方が、声を詰まらせているように感じられて、見ていてすごく緊張したのを覚えています。2017年のAAA仙台(FLOWさんとの共演)でもあったんですよね、歌っているtowanaさんに覚える緊張感。

この曲では照明が特に凝っていて。というのも、(少なくとも僕の位置からは)towanaさんの顔は見えるけど、他のメンバーはハッキリとは見えなかったんです。
これまでのfhánaにはない、叫ぶようなボーカルで紡がれる、自身で手掛けた言葉たち。そして曲の終わりで、towanaさんのみ一旦退場。

……という流れから。「towanaさん自身が主人公」という構図をより鮮明に感じました。最近の、フラットな4人の一部ではなくフロントなんだ、という意識の転換の表れのひとつ。
ここから感じたのは、「合流の場から離れたくない」という切実な感情と、「お互いに戻るべき旅路がある」という現実の受容、でした。

そして。また戻らなくちゃいけないから、その間もお互いの支えになれるように、今ここにいる喜びを全力で分かち合おう、という決意にもつながるように思います。

14. 願い事(instrumental)

towanaさん不在、楽器チームだけでの演奏です。
ナカゲノアルバムではアコースティックな音作りでしたが、今回は熱いバンドサウンドとストリングスによる圧巻のセッションでした。

「where you are」と対になっているような、towana成分の多い曲だったので、それをtowanaさん不在で演奏するというのが、なんとも象徴的で……この2曲で、離別とその先の孤独という流れを表しているようにも思えます。

15. STORIES

イントロと共にtowanaさん再登場、安心感……!
ベスト盤に収録されたマイルストーン曲で、ムードが一気に変わります。

この曲、fhánaとふぁなみりーの歩みや関係性の歌われ方も、それぞれの人生の後押しという意味でも大好きで。小説書いているときによく浮かぶんですよね、「STORIESっぽいフレーズ!」という衝動。思いっきりオマージュした短編もありますし。

ライブだと心地いいリズムに揺られたり、コーラスで声をそろえたり。
サビと間奏にある「Wow-wow」と「Foo!」なんですけど、wowはみんなで歌うけどfooはスルー、という傾向になっている気がしますね……まあfooは出すのもタイミングも難しめなので。けど僕の場合、fooのタイミングで手を挙げてはいますね。

16. Relief


公式から「アンセム」と紹介されていますが、fhánaライブの魅力の象徴といえばこの曲だと思うんですよね。元からfhána、というより佐藤さんの音の好みが全開ですし、精巧に構築された音源と生のセッション感もいいバランスですし。そしてアウトロを延長しての楽器陣の大暴れ。
fhánaは元はサウンドプロデューサーの集まり、という一面を強く感じる曲だと思います。僕が初めてfhánaのライブを観たのって2017年のリスアニなんですけど、そこでも一番感動したのはReliefでした(……やったよね?)

それで今回。Cメロをtowanaさんが歌いあげて、同期のリフだけになって、佐藤さんの手振りと共にまた刻みだして……という所で、よっちさんのドラムスがビシビシに来ていて。いつもよりパワフルなラスサビ突入だった気がします。

そしてアウトロ。エモ散らかすメンバーと、その間を楽しそうに巡っていくtowanaさん。ぶち上がりつつも、これがfhánaだよなあって愛しさも爆発していたのを覚えています。

17. 青空のラプソディ

Reliefの残響が消えないうちにtowanaさんの掛け声。
「このコンボ!?」という驚愕と興奮でした。最近のfhána、連続技も強烈になってきている気がするんですよね(5周年ライブほどのはそうそう無いと思いますが)

「小林さんちのメイドラゴン」も京アニさんだったので、その意味で喪失と切り離せない曲ではある……という一面もありますが。
それ以上に、継承の曲だと思うのです。作品を通してもらってきた勇気を、ときめきを、翼を、志を、この曲を通してずっと繋いでいく。

……というのは後付けで。曲中はやっぱり、憂鬱も追憶も忘れてしまうくらい楽しすぎたんですよね。
ライブでの切り札であり定番であり、どこに行っても欠かさず演奏しているので、そろそろ食傷が来るかなと思いきや、何度聴いても楽しくて幸せでたまらなくて。

公開されたMVに、みんなして「え? ダンス? な、可愛い!?」と激震してから、もう3年近く。この曲を翼に、高く高く飛び上がっていくfhánaが見せてくれる景色に驚きながら。fhánaがつないでくれた友人たちと、直接は知らないなりに同じ気持ちの仲間たちと、一緒にはしゃいで踊ってきた、あるいはその様子を見聞きしてきた思い出が詰まっている曲で。

あんなことがあった後だからこそ、全力で楽しんでいる会場の空気が、fhána麺の表情が、愛しくて幸せでたまらなかったです。

……それはそうとケビンくん、出張先(フロント)と職場(機材ブース)の間の移動が激しすぎて、ダンスだけじゃなくダッシュもキレッキレになってきている気がします。転んで「あぁなんてことだ!」となりませぬよう……なったらなったで、ケガしなければオイシイかもですが。

18. Outside of Melancholy~憂鬱の向こう側~

この間にMCがあった気もするんですが(少なくともストリングスの再合流はここでした)
パフォーマンスにおける「ゾーンに入る」話が佐藤さんからあったの、ここだったかな……曖昧なので割愛です。

さて、OoM。fhánaといえばこの曲……というのは人それぞれだと思うのですが、僕はそんなイメージです。
ライブは「合流」だという公式解釈の前に、ライブは「憂鬱の向こう側」であるという合言葉がふぁなみりー間で定着していたように思います(曲テーマとはズレている気がしなくもないですが)

ノベルゲーム的な世界観の歌詞なんですけど、現実に置き換えるとしたら「出会えた今」を肯定する曲だと、他にあった幾千のifじゃない、ここがトゥルールートなんだという曲だと思うのです。

ループもない、ロードもできない不可逆の世界で、それぞれに憂鬱を抱えた主人公たちを、この曲は何度も、何度も救ってきたはずで。

そんな僕らだからこそ、涙腺は緩むし、サビでのケビンジャンプには力が籠る。歌詞もそうですけど、やっぱりこの歌と音が好きだよ~fhánaなんだよ~っ!とエモジャンプしてしまうの曲です。たまに肩組んで跳んでいる人もいますし。

19. 僕を見つけて

リリース時点での感想はこちら

今回は、つい先日に逝去されたドラマーの山内"masshoi"優さんのことと取れるような佐藤さんのMCに続いてでした。

曲ができた時点では、曲に乗っている「別れの文脈」は、佐藤さんの愛猫であるポンちゃんの旅立ちだけだったと思うんです。

こんなにたくさんの痛みが乗るはずじゃなかったし、信じたくないことばかりです。けど、だからこそ、fhánaの音楽にはまだこんなに、痛みに寄り添ってくれる優しさがあるんだと気づけました。

「kotonoha breakdown」も、
「犠牲や諦めたユメ」も、
「僕らを試す言葉や悲しみに向かう」も、
「世界が夢の中にそのままいられないならば」も。

fhánaが悲しみや孤独と向き合い続けてきたのは、それが起こってしまう世界であるからで。
永訣という、一番深い悲しみに寄り添う、共に立ち上がろうと手を差し伸べてくれる曲を届けてくれたことに。改めて、fhánaを見つけられて、fhánaが見つけてくれて、良かった。

この曲が本編ラスト。アウトロではまずtowanaさんが、続いてメンバーとサポートバンドが。そして最後に佐藤さんが、鍵盤に倒れ込むようにピアノを響かせてから退場、暗転したステージに和賀さんのギター(フィードバックノイズ?)が轟き続ける、という終わり方でした。

EN1. きみは帰る場所

この曲のイントロを基に作ったと思しきSEの中でメンバーが再登場して、そのままアンコール開始。

Gothic×Luck(ゴクラクちゃん)に提供した「きみは帰る場所」は、タイアップ的にはとんでもない逆境だったとはいえ、佐藤さん×林さんの良さが詰まりに詰まった曲で、歌うふたりの初々しさや懸命さとも合わさって、生で聴いたSoSでは非常に楽しかったです。

しかしふぁなみりー、というより僕は、こういう提供曲を聴くと「やはり佐藤さん曲はtowanaさんでも聴きたい」と思ってしまうんですよね。そういうワガママを叶えてくれるのは嬉しいです。

今回のtowanaさん、Aメロの折り返しで歌い方を変えていた気がしたり。
サビで一緒にワイプするの楽しかったです、ただ3-4拍目は同じ向き(→←→→、←→←←)だった気がしていたのでちょっと混乱しました。

そしてタイトルも、今回のツアーにぴったりだなと……「fhánaは帰る場所」という言葉が浮かびます。FCも"home"ですし。

EN2. World Atlas

佐藤さんによるメンバー紹介MCがこの辺りだったかな……位置は怪しいけど 内容は、「AさんはBな人です、Bだってよく言われますか?……言われるそうです」の天丼。周りが呆れていそうなのにやり通しちゃう佐藤さんらしさ。

そしてtowanaさんがフラッグを携えてのこの曲。World Atlasツアーのテーマ、「それぞれの旅とライブでの合流」には励まされましたし、MVでの演出やダンスも思い出深い、大好きな曲。そういえばこの曲だとライブでは踊らないですね、リリース当時は振り付け覚えた人はそれなりにいると思うのですが。

「World Atlas」と「where you are」は表裏の関係に思えるんですよね。同じくそれぞれの旅路を描きつつ、強調されているのは出会いと別れで。
だからCメロ、towanaさんの「僕の声聞こえる?」という呼びかけも、また違った意味合いに聴こえました。

ラストのクワイア調のコーラスはkevinくんと共に全体で。そういえば昔は、kevinくんがこんなにガッツリと歌うとかは考えていなかったような……

EN3. 星をあつめて

前日、劇場版SHIROBAKOの主題歌をfhánaが担当するという告知があって(僕は大学で報せを見て、テンションが上がりすぎて爆笑していました)

その曲を、ピアノとボーカルだけでワンコーラス。この日はCメロからラスサビまでだったんですが、前日の披露は前半だったのかな?

曲調はミディアムテンポ、「It's a Popular Song」を想起するという感想は聞きました。
歌詞はかなり朧げなんですが、「僕を見つけて」以降の流れ、離別の先での創作への決意、みたいな要素はあった気がします。
あと、「魔法のランプ」とか、(曲調を含め)おとぎ話を感じさせる言葉選びもあったような。その曲を舞浜で初披露したというのも、面白い巡り合わせだなと。

なおSIROBAKOは気になっていたんですが手付かずでした。お仕事モノ、チーム創作モノが好きな自分には刺さらないはずがない、TV版を見て劇場に備えます。

後、SHIROBAKOに加えて告知が二つ。
まず、このライブの模様がMUSIC ON! TVで放送されるということ。3月だったかな。

そしてもう一つ、告知というよりは宣言だったのですが、
佐藤「新曲の後は。World Atlasに続く、4枚目のアルバムをね、作ろうと思います」
ファン「うおおおおおおお」
メンバー(マジで?という顔)
佐藤「作ろうね!」

まだシングルが少ないのでアルバムは先だろうと話していたはずが、ここで。
World Atlas以降なので、シングルだと「僕を見つけて」「星をあつめて」と、プラス1曲が入るかどうか……でしょうか。近い流れにあるシングルたちなので、fhánaの中でもかなりコンセプチュアルな1枚になる予感です。

冒頭の佐藤さんツイートにもあった、「みんな繋がっています」というメッセージを経て、ラストナンバー。

EN4. white light

前日の公演はこの曲から始まったそうで。参戦した人から「もう二時間が終わったかと思った」という声は聞きましたが、そう思わせるほどの圧倒的なエンディング力です。舞浜はwhite lightサンドイッチでした、こういう構成いいですよね。WAツアーファイナル(の本編?)がcallingで終わって、5周年ライブがcallingで始まった、という流れもありましたし。

照明と(恐らくは)スモークによって、シルエットだけが浮かぶという見え方になっていました。「白い光」という曲のムードにも合いますし、非日常がゆっくりと終わっていく、現実へと戻っていくような感覚にも重なったと思います。

この曲で歌われている、出会った後の変容。fhánaに出会って変わった僕らの内心に重なるように思えて。今、ここ、「この僕」を祝福し励ます歌に聴こえます。

……そして改めて全曲終了。記念撮影し、まずはサポートメンバーも含めた全員で、その後に4人でカーテンコール。

という訳で超濃密な23曲、メンバーならびに関係者の皆様、本当にお疲れ様でした!
そしてここまで12k文字、読んでくださったあなたにも感謝を。

もう少し続きます。

おわりに

さてさて。「where you are」「find」「divine」について、改めて考えてみます。
前も書いたんですが、「見つける」というのは発見、認知よりも数段深いレイヤーの行為。

理解を深めること、承認すること、時間と労力をかけること、共有すること、それらを「選ぶ」こと。そんな概念だと思うのです。

それはライブ会場に足を運ぶことでもあり、それ以外の日常の中で、音楽と、思い出と共に過ごすことであり。
離れている中で、お互いの存在が遠く感じたら、どんな心でいるか不安になったら。その瞬間だって共にあると信じて、再会を信じてまた歩き出す……そう信じるためにも、強く、深く、幸せな思い出を作るためのライブであり。
そうやって日々を送る相手としてお互いを選んだことに感謝を伝え合うためのライブでもある、そんなふうに思えました。

とはいえ。そんな営みのためには、同じ時代に生きていることは必須じゃないですか。
生まれるタイミングと、命のリミット。
自分では選べない必要条件に、感謝や願いを向けるのは、それこそ神様の領域、divineな感覚だと思うのです。
「祈り」「神様」は、昔からfhánaの大事な曲で歌われ続けていましたし。

同じ時代にいさせてくれる、神様に。
音楽を届け続けてくれる、受け取り続けてくれる、お互いに。
最大の感謝を交わしながら、「これが最高の選択、トゥルー・ルートだったよね」と確かめ合う、そんな旅だったのかなと思います。

そして、ファン側の心理をもう少し掘り下げるんですが。
「自分に必要なの、聴きたかったの、まさにfhánaの音楽だった」という感覚を持っている人は少なくないと思っていて。

fhánaは自分のそんな気持ちを見つけて、音楽にしてくれたという見方もできそうじゃないですか。

……という感覚になったのは、上記で紹介している「小説の神様 あなたを読む物語」で、読者と本の出会いがそんな風に描かれていたからでした。実写映画化も決まったり、ミステリランキングを席巻したりと絶好調な相沢先生を宜しくお願いします。

という訳で今度こそ締めです。

fhánaと一緒なら、大丈夫。
いつか来るお別れの先も、一緒だったから大丈夫。

あなたの瞳に映る空の色がどんなでも、そう思えますように。

「星をあつめて」楽しみにしています。


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