パンケーキとあの子

分厚く膨らんだ生地。添えられた空気のような生クリームと、ごくごくわずかのシロップ。載せられた食べ物に対して大き過ぎる皿。 私はパンケーキが好きじゃない。 そんな私が今、流行から文化へと定着しつつあるそれを、ウクレレの音を聞きながらゆったり座って食べられる店にいる。ゆったりと言っても、店の外には若い女性を中心に人が列をなしているので、完全にゆったりすることは難しいのだが。 しかし、そういったことを気にするのは私だけのようだ。両隣の先客はお喋りや見つめ合うことに熱中していて