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短編小説

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・料理 × ショートストーリー ・『星の約束』シリーズ など短編小説をまとめています。
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2019年7月の記事一覧

オムライスの卵

「俺は、薄焼き卵が好きなわけ」 山崎は向かいに座る斎藤に詰め寄った。 「分かった。でも、俺に言ったってしょうがないだろ。千和ちゃんに直接言えよ」 斎藤は大学の食堂で大声を上げる山崎と距離を取るべく、素早く残りの食事を平らげた。 しかし席を立とうとした瞬間、その腕はがっちりと山崎に掴まれる。 「直接なんて言えるわけないだろ!千和は怒ると怖いんだ。それに千和とはもう別れたから言えない」 「だったら、その話もうどうでもいいじゃんか」 「良くない!俺は世の女子に言いたい