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【霞ヶ関の人の生態⑯】政策ってどうやって作られてんの?未来についてみんなで語ろう。(その2)

前回は、ボトムアップのじっくり育てる政策の作られ方をご紹介しましたが、今回は ザ・トップダウン!方式の政策の作られ方をお話したいと思います!

実は、、、最近そのザ・トップダウン!をいきなり直撃してしまいました。
毎日が救急医療の現場のようになってしまい、かーなーりーやられています。
ただ、このブログでは政策の具体的な内容はお話しないことにしているので(守秘義務がありますからね…)、霞が関の人がこういう案件に当たってしまったらどんな生活になるのか、お話してみたいと思います。

まず、いわゆるボトムアップの通常運転のお仕事と違って、トップダウン方式の政策は、霞ヶ関用語で「マル政」「政治マター」と呼ばれています。
ひそひそ声で
「これ、マル政なんで。」
といえば、鬼に金棒というか、怖いものなし、無理が通れば通りが引っ込むのキラーワードなんです。
このキラーワードの強さとして、
局長マター(基本服従)<大臣マター(かなり強め。服従)<総理マター(最上級の強さ。絶対服従)
です。ヒラにとっては、どれも服従ですけどね…局長マターの案件なら、人が良い人であれば、意見は言えるかも?くらいです。

どれくらい強いかって言うと、この「マル政」案件は、普通にしていたら、予算の都合やタイミングで来年度から始めるものも、「じゃあ今日までに資料作成したら来月からできます」みたいな世界観なんです。お金もどこからか、寄せ集め、かき集め、何とかします。はっきりいって最強です。

ただ、忙しさとスピード感は半端ではなく、フルマラソンだったものが、50mの短距離走になるので、まさに火事場、燃え上がります。
当然、人員は急には増えないので、残業三昧、そして世間で注目も浴びた場合には、マスコミなどの記者からの問い合わせ、国会議員からのレク依頼が雨あられのように降ってきます。
資料を作りながら、電話を耳に挟みながら、同時にメールをチェックしながら、突然レク依頼が来る、、なんて状態です。せめてマスコミ&議員秘書の人には、自分で調べられる基本的なところは調べて、わからない所だけ要領よく質問してほしいなあと思います。ネット社会だし、Wikipediaじゃないんで…

そして、このマル政案件の場合、結果というか目指すところは決まってしまっているので、とっても意義があってやるべしというものなら、スピード感を持って仕事ができるので、政治家も霞が関の人も、お互いwin-winでやっていけるのですが、「え?これ無理筋じゃない?こんな短期間だとちゃんとした検討をする時間がない」とか「これ本当にニーズあるの?」ということがわかった時に、ストップがかけられない、というリスクがあると思います。(まあマスク2枚が代表格ですかね…現場で何があったのかは知りませんが…)

じゃあ、本当のニーズって何なの?ちゃんとして検討って何なの?どこからそういう情報をみんな入手しているの?という疑問がわくと思います。
まず、「ちゃんと検討する」とは、まずはその分野について国内外の調査や研究をして現状や課題を把握すること。そして、その課題についてその分野の有識者や当事者に集まってもらって、検討してもらうこと。さらに、じゃあこうしていこうという案ができたら、世間に見てもらってパブコメして意見をもらい、合意形成するというプロセスを踏むことです。
通常のボトムアップ方式ならこういう手続きを踏んでやるので、めっちゃ尖ったものは出来にくいのですが、逆に「なんじゃこりゃ?」っていうものも出来にくいと思います。
「本当のニーズ」っていうのも、世間の人に見てもらうし、マスコミの反応や、「陳情」というこの分野に意見がある人が色々要望をされるので、見えてきます。
ただ、こういうやり方は時間がかかるので、緊急時にはこのプロセスを踏むのが難しいのが難点ですね…特に今回のコロナのような事態の時には、通常のプロセスが踏めない…だからこそ判断力が問われるんでしょうけどね。

ちょっと蛇足ですが、国会議員でもなく、霞が関の人でもない時に、自分がこうしたらいいのに、と思うことを実現させるにはどうしたらいいのか、についてお話したいと思います。
それは、先ほど少し触れた「陳情」を国会議員や霞が関の人にすることです。
同じ意識を持った者同士で団体を作って要望書を持って面談を申し入れるのです。
そうすると、国会議員や霞が関の人が聞いて
「確かにその通りだな。何とかしないとな」
と思ったら、その意図を汲んだことを考えるようになります。国会議員の場合には、要望を聞けば票に繋がるかどうかも考慮の中に入っていると思いますが…

霞が関の人の仕事にはこの「陳情を聞く」という仕事が結構なウェイトであります。
団体によっては、霞が関の人に対してとても攻撃的に攻めてくる人もいて、説明をしていると「人殺し」と言われたり、「生意気な顔しやがって。」とか外見を攻めてくる言い方をしたりと、個人攻撃をされたりすることがあります。
まあ霞が関の人もただの人なんで、そんな言い方されたら傷つくし、やっぱり前向きに話を聞こうとは思えないし、あんまり得策な陳情方法じゃないなあ、と思います。
逆に、「こうしたらもっと良くなる」と建設的な意見を言ってくれると、とってもありがたいな!と思います。

さて、このトップダウンのマル政案件に戻ります。
霞が関の人は、突然降ってきたお題に対して、一斉に動き出します。
基本的にザックリした指令が来るので、細かい具体的な案をいくつも出して、上に相談するということをとっても短期間でやります。ホント、エイヤ!っていう感じです。それで上の感触を見て、さらに細かく修正していきます。それと同時に関係する分野の他の霞が関の人達を巻き込んでいきます。マル政案件なら誰も拒否できません…
お互いの持っている仕事の利害が反する場合には、本気の大喧嘩になったりします。ヒラ同市で話がまとまらなかったら、大将同士(局長とか課長とか)のバトルです。

ドーンと仕事が突然降ってきたときの仕事の仕方って、まるで救急医療と同じです(っても命には関わらないけど)。
課長「資料今持ってきて!」
部下「ああ…コピーが間に合わない…」「ああファイルがぶっ壊れた!!」
みたいなことや、
課長「レクいくぞ!」
部下「はい!(ってどこに行くんだ?)」
みたいな脊髄反射で動くことや、

課長「想定できた?」
部下「閣議後会見のですか?明日の国会のですか?ニュース用?どれのこと?メールが埋もれてわからない~~」

補佐「これ急いで印刷して!」
係員「ああ~~~A3で印刷してしまった!(巨大な想定用紙が出てくる)」

補佐「ふわ~~~あと5分で資料完成しなきゃ!!」
記者からの電話「あの~~~この〇○ってどういう意味ですか?」
補佐「(ネットで調べりゃわかるのに…泣)あの~これはですね…(爆死…)」

総括「レク依頼です~。資料10部持って、今日の3時に(国会議員)会館へ」
補佐「…(白目)。」

そして、流れ続けるメールの海…

てな、プチパニック状態です。

これを朝から晩までやっている状態です。
ふと気づいて時計を見たら夜の8時…

同僚のつぶやき
「精神と時の部屋みたい…(by ドラゴンボール)」

まあ、意味のあることだな~と思うことは、やりがいもあるので、
頑張らなくっちゃ!とは思えるので、
どうか筋のいい、意義のある指令をして欲しいなと切に思うところです。

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霞いちか@霞が関の国家公務員
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