○「そういう」対象?
こんばんは、いちかです。
恋愛感情も性的欲求も抱かない……アセクシャルと認めてから少し経ったある日、私が大学生の時の出来事です。
「飲み会するんだけど、参加しない?」
と、アルバイト先で仲良くなった知人が食事に誘ってくれることがありました。
友達が少なくインドア派の私は、アルバイトメンバーとの食事会だと勝手に解釈して行くことを伝えたのです。
少し楽しみにしていた私は指定されたお店に入ってから、ショックを受けました。
知らない男性が5人、女性も自分を含めて5人。
「これ合コンの頭数に入れられてるやつ!」
こんな漫画みたいな展開って本当にあるんですね…。
私は知らない人、まして大勢での会食が苦手ですが、帰ると言いづらい状況だったので席につきました。
経験の1つとして……もしかしたら楽しいかもしれない、そう思いこみました。
合コンが始まり、はやいテンポで進む雑談に参加できずにいると1人の男性(A)が声をかけてくれました。
彼もお酒を飲んでいましたが、そこまで泥酔しておらず色んな話題を持ちかけてくれました。
恐らく、盛り上げようとしてくれたのでしょう。
「多分いい人なんだろうな」
と思いながら、話を聞いていました。
ふとAがトイレに席を立った際に、Aの知人(B)が側にきて
・Aは優しい
・筋肉もあって頼れる
・お金持ち
とAのことを持ち上げるような発言をしてきました。
この時すこし嫌な予感がしていました。
時間が進み、コンパの一次会終了の空気が流れた時……
「いちかちゃんは、この後どうするん?」
とAが切り出してきました。
やっぱりそうなるよね、それが普通だもんね。
予感が的中しました。
その時の彼の姿を今でも忘れることができません。
低くねっとりとした声。
アルコールのせいで真っ赤になった顔。
なにより「色」を孕んだ瞳を向けてくる姿を見て、ぞわりと鳥肌が立ちました。
結局「そういう」ことか。
気持ち悪いな。
慣れない環境で疲れていましたし、なによりこの人から離れたかったので、帰ると告げてから帰宅しました。
(帰りの電車で不快感が爆発して、ちょっと泣きました。今思い返せば、滑稽な絵面ですよね。)
この体験が引き金となり、私は余計に色恋の話が苦手になりました。
理由も分かっています。
烏滸がましいことこの上ないですが、誰かに自分を「そういう対象」と認識されることが耐えられないのです。
全員がそうとは限りませんが、「好き」という感情には必ずと言っていいほど性欲が絡んできます。
その暴力的な欲望をぶつけられることが怖くて仕方がありません。
恋愛感情も性欲も持たない私は、「そういう」ことへの当事者には絶対なりたくないのです。
勘違いされそうですが…
恋愛至上主義の方が悪いとか、気持ち悪いとかそういうことを言いたいわけではありません。
ただ自分が性的対象になる事が怖い、ただそれだけです。
そして嫌悪感を抱いてしまう自分をどうにかしたいだけなのです。