男性ブランコの「夏のベランダ」が好きすぎるので語らせていただきたい
男性ブランコのコントライブ「おだやかな距離」の中の「夏のベランダ」というコントがもうすごくすごく好きです。ので、ちょっと語らせていただきたい。
ネタバレしまくってるのでご注意ください。まだご覧になってない方は現在よしもと劇場プレミアムで「おだやかな距離」が配信されているのでぜひご覧ください。アマプラ民は初回14日間無料で見られますよ!(追記:配信終了しました。台本は売ってるので話が知りたい方は台本をぜひ!)
以下ネタバレしまくり感想。
圧倒的リアルな気まずさと救いのコント
夏のベランダはとてもリアルなコントだと思います。登場人物の小松くんも牛川くんもリアルにいそうな感じで。
素人目だとコントだとやっぱり少し変わったキャラクターの方がお話作りやすいのかなと思ったりするのですけど、実際男性ブランコのコントでも行動だったり喋り方だったりが少し変わったキャラクターが出ること多いと思うんですけど、牛川くんはちょっとちがうかなって思っていて。
「会話慣れてない」「人との距離感が分からない」子としてすごくリアルなんですよね、牛川くん。そんな牛川くんを優しく受け入れる……わけではなく普通に引いてたりちょっとめんどくさがったりする節がある小松くんもまたリアルです。なんだか噛み合ってなくてお互いに気まずい感じの距離感もリアルで……。初見では、もちろん笑いもあるんですけどちょっと胸がチクチクするような感じで見てました。あるよな、こういう気まずさ……っていう……。
その気まずさのまま終わっちゃうのかな……って思ってたら、転換点がありましたね。「録画してました」がキーポイントだったような気がします。そこから展開して友達になる流れが本当に美しくて大好きです。小松くんが牛川くんのことを「正直な人」というのが好きですね。呆れ半分な気もするんですけどそこがまたいい。たとえば他の人から見たら「変な人」とか「空気読めない人」かもしれない牛川くんのことを「正直な人」って思えるし言える小松くんは良い人だなって思います。
小松くんの「友達になります?」は友達いない牛川くんの寂しさを汲み取ったところもあるのかなと思いました。小松くんにとっては友達になる提案は特別大きなことじゃなかったかもしれないですよね。家に友達呼んで騒いだりするくらいですし。普通に友達がいる生活をしてきていて。
でも牛川くんにとっては本当に救いの奇跡の一言だったように思うんです。牛川くんの戸惑い(目が泳いでくちびる震わせて小声で「ともだっ……」って言うの大好き)からの必死に繰り返す「友達、お願いします!」は笑いつつも泣いてしまいました。牛川くんは友達欲しかったんだなぁ、でも正直さが裏目に出たり距離感が上手くつかめなくて今までは友達ができなかったんだなぁ、それでたぶん本人もすこし諦め気味だったんだろうなぁと思って。友達になってうれしそうにしてる牛川くん見て、牛川くんの心情のような切ないほどに優しい希望を感じる音楽を聴いてまた涙が出ました。牛川くん、良かったね!!!
とんでもない気まずさからのとんでもない救いを圧倒的リアルの中でさりげなくやってのけるこの「夏のベランダ」というコント、素晴らしすぎると思います!
小松くんと牛川くんについて考える
小松くんと牛川くんについてもう少し考えてみたい。
牛川くんは最初から小松くんと打ち解けようとしているんですよね。でもそれをこの場を取り繕うための会話だと思った小松くんは「無理に話題作ろうとしなくていい」って気を遣うの半分、話しかけないでな気持ち半分で言う。牛川くんからしたら突き放された感じ。ここの牛川くんのさりげないけど傷ついたのが分かる感じ好き。
小松くんって自分を持ってる人だと思うんですよね。なんとなく合わせた会話するんじゃなくてはっきり言っちゃう。他人は他人、自分は自分って感じで隣に牛川くんがいても気にせず風に当たりながらビール飲んでる。気まずさは別に感じてなさそう。
対して牛川くんは気まずさMAXに感じてるわけですが。落ち着きなくうろうろしたり気まずそうな表情したりラムネをぎゅっと握って飲むどころじゃなかったり。頭の中いろんなことがぐるぐるぐるぐるしてるんだろうな。で、それをそのまま口に出す正直さ。
このコントの小道具はビールとラムネですがそれが二人をすごく表してていいなと思います。小松くんがビール、牛川くんがラムネで大人と子ども感があって。自分を持っててどっしり構えてる大人な小松くんと自信なくておどおどしててでも正直で純粋な子ども感ある牛川くん。良い。
牛川くんは不器用なだけで正直な人。小松くんが「正直な人」って言うことによって視聴者の私たちも「あ、正直な人なんだ」って思えていいですよね。
バーっとまくし立てる牛川くんの会話慣れてない感が良い。自分の思いでいっぱいいっぱいになっちゃってる感じ。牛川くんが「『ヤベー奴住んでんだよ』『暗そうな奴住んでんだよ』『顔つきもこえーんだよ』とか言ったりしますよね」って言うところあるけどこれは被害妄想なんだけど実際周りからそう言われてきたのかもなぁ。見た目のせいだったり正直さが裏目に出たせいで周りからヤベー奴扱いされて友達が一人もいなくて。つらかったし寂しかったんだろうなって。友達呼んで騒いでる小松くんに壁ドンってしちゃったのも寂しさからきたのかもしれない。「すみません」「ごめんなさい」って牛川くんはすぐ言うけどこの自信のなさも過去にいろいろあったからかもなぁ。
小松くんはこの短い会話の中で牛川くんの本質……会話慣れてなくて距離感が分からないからぎくしゃくしちゃうけどただ正直な人で寂しさを持ってる人、というのに気付いたから友達を提案してくれたんじゃないかな。
戸惑いつつもまっすぐ「お願いします!」と言える牛川くんがいい。救いの手をちゃんと掴んだ。牛川くんの勢いに引きつつも友達やっぱなしでってことにはならずむしろ慣れてない牛川くんのために小松くんがリードしてるの良いですね。名乗ってエア乾杯して。これからも小松くんが牛川くんにいろいろ教えていってあげるんだろうな。たぶん友達のあり方で今後もちょっとぎくしゃくすることもあるだろうけど二人のおだやかな距離を探してその距離感でずっと友達でいるんだろうな。
おだやかな距離
コントライブのタイトルが「おだやかな距離」で小松くんと牛川くんは壁ドンがあった翌日にベランダで会っちゃうっていうめちゃくちゃ気まずい状況、気まずい距離感で上手く喋れなかったところから最後は友達だから無理して喋らなくていいっていうおだやかな距離で終わるの、ほんとに綺麗な話なんですよね。
最後の最後にタメ口になるところ好き。小松くんの声が優しい……。最後暗転間際「これでいいのかな?」って顔してる牛川くんと牛川くん見て微笑む小松くんが良い。隣人が友達になったことで二人のこれからは変わっていくんだろうな。牛川くんが見たいテレビを録画しててほんとに良かった。あそこで帰らなかったおかげで友達になれたから。
友達になるにはまっすぐな想いと言葉があればいいんだなと思ったりしました。それが難しい、だけに二人がとても眩しい。
コロナ禍で無観客でソーシャルディスタンスを保ちながらときにはアクリル板を間に置きながら行われた「おだやかな距離」は相手に触れられないからこそ言葉でまっすぐ想いを伝えようってメッセージがあったのかもしれないなと思いました。竹男が京子を救ったのも、小松くんと牛川くんが友達になったのもまっすぐ想いを伝えたから。(この記事では触れなかったけど竹男と京子のコントも大好きです)
この優しいコントを私はずっと忘れないだろうな。もう何十回と見ていて何度も泣いてるけど全然飽きないし毎回いいなぁってしみじみ思うし見るたびに新しい発見があってほんとにすごい。これからもたくさん見ます。夏になったら夕方ぬるい風に当たりながら見たいな。数年ぶりにラムネを買って飲みながら。きっと今よりもっとリアルに感じられるだろうから。(追記:いい感じに締めたのですが配信終了したので叶いませんでした……あああ……)(円盤を……円盤を……)
「夏のベランダ」今後劇場でやってくれたらめちゃくちゃうれしいけどないかなぁ。地方住みなので劇場には行けないのですが配信絶対買うのでやってくださいお願いします!
ちょっと愛が止まらなくて長い文章になってしまいました。読んでくださった方ありがとうございました!
おまけで好きなシーンイラスト
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