政治を知り、自分を知るための入門書 西田亮介『ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください』書評
政治とメディアへの素朴な疑問に答えてくれる
この本は、社会学者西田亮介さんが、政治に対してどう関わればいいか、その基本的なスタンスについての問いに応えてくれる本だ。
例えば、「政治なんて難しいし、面倒だし、関わらなくてはいいのでは?」という問いに対しては、
→「政治に参加するのはコストだが、政治家がきちんと政治を行っているか見張っていないと、なにかあったときの対価は自分に返ってくる」という立場を取る。一方、メディアとは「その政治を監視するための情報を我々国民に届けてくれるもの」と、その役割を解説してくれる。
自分の政治的スタンスを知るために他者と比較する
では、具体的にどう政治に関わればいいのか。選挙でどの候補者に投票したらいいのかという問題が出てくる。著者はそのために、自信の政治的スタンスを、てらいなく表明していく。
日本の政治教育では「中立」が重視され、価値の表明がなされることが少ない。しかし、自分がどんな政治的信条を持っているかは、そもそもどんな政治的立場が世の中にあるのかわからなければ理解できないし、他者と自分を比較しなければ、自分の立ち位置も把握できない。
この本では、著者が自分の立ち位置を表明することで、自分がどんな政治的価値観を持っているかを考えるきっかけを与えてくれている。
政治への関心は、政治の役割や意義を知るとともに、そもそも世の中にどんな政治的スタンスがあるのか知ることが必要だ。そして、それは他者との考えの違いを比較することによって、認識することができる。政治を知り、自分の思想を知る。この本はそのプロセスにおいて、あなたの背中を押す一助となってくれるだろう。