
『虎に翼』第17週感想 涼子様と玉ちゃんと優未から学ぶ「対等」な関係
■対等な関係、対等でない関係
『虎に翼』、第17週のテーマは「対等」である。それは金曜日放送の第85話でも、寅子のセリフによって示されている。
心の拠り所が一つだと、関係が対等から特別になって、歪つになっていく。
この週では複数の登場人物を通じて、「対等」な関係と、「対等でない」関係が描かれる。
1つ目のあるべき「対等」として描かれたのは、優未のそのクラスメートとの接し方だ。優未は、「友達になろう」と持ちかけてきたクラスメートが先生に命じられていることを見抜く。
対等な関係とは、お互いに自律していることが前提で築かれるものだろう。依存しあわず、一緒にいたいときには、一緒にいて、そうでない場合はそうしない。
そういう関係にならないことをわかっている優未は、「無理して一緒にいても、誰も幸せにならないよ」と伝える。優未がクラスメートに取った言動は、この「対等」な関係を築くうえでの模範になるようなスタンスと言えるだろう。
一方、「対等でない」関係の例として描かれたのは、森口美佐江のそれだ。彼女は身の回りの人間に対して「私にとって特別」と伝え、同い年ぐらいの青年を犯罪にそそのかしたりしていた。「特別」という言葉で相手を縛り、振り回していたのである。
■涼子様と玉ちゃんが辿り着いた場所
そして、この週のメインイベント、涼子様と玉ちゃんの関係である。
玉ちゃんは寅子に「私は勘違いしていた。対等であると」と伝える。ここでもキーワードは「対等」である。二人はもともと華族の令嬢と、その召使の関係だ。しかし、憲法14条第2項により、涼子はその身分を奪われていた。
互いの本当の胸の内を明かす二人。言葉を躊躇う玉に対し、寅子は叱咤する。「玉ちゃん!私はせめて二人には対等でいてほしいの!」。
涼子様と対等であろうとした玉は、涼子に英語で「私と親友になってくれますか」と英語で語りかける。日本語の敬語ではなく、英語というのもポイントだ。玉は得意の英語で話して、涼子様と対等な関係になろうとしたのだ。英語で「あなたはすでに親友よ」と答える涼子。
憲法第14条は、涼子から身分を奪った。しかし、そのお陰で二人は対等な関係になることができたのだ。なお、筆者はこのくだりで号泣した。
■涼子様のセリフの切れ味
それにしても、満を持しての涼子様の再登場。悦んだファンは私だけではないはずだ。久しぶりの涼子様のお嬢様口調のセリフの数々と言ったら!
「苦労なら星の数ほどございましたよ」
「皆様のご無事と幸せをずっとお祈りしておりましたの」
「おぞましいことをおっしゃらないで!」
この涼子様節、聞けば聞くほどファンになってしまう。