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#小説
異星人とペティナイフ #月刊撚り糸
まさか押し倒す側になるとは思わなかったが、見下ろした佐竹の白いおでこが意外にも優越感を刺激して。
「ちょっと、可愛く嫌がってみて」
「突然の無理難題だね。そんな高等テク持ってないよ」
いつも笑顔を崩さない佐竹の呆れたような、困ったような表情に征服欲まで掻き立てられる。これは癖になるな、と思いながら何気なく髪に触れると、佐竹が私の肩を押して上半身を起こした。
「なんだ、嫌なの」
「好きな子に
枯れない花を抱いて歩く
緑の細い茎を水中に浸し、ハサミを持つ手に力を入れる。わずかな抵抗は一瞬で崩れ先端からニセンチほどが皿の底に落ちた。声を出さずに三秒数える間、斜めの切り口が水を吸い上げる様を想像する。
茎から花びらのように見える青色のガクへ。手まりのようなアジサイの、花だと思っていた部分は装飾花と呼ぶのだといつもの花屋さんが教えてくれた。本物よりもお飾りのほうが華やかだなんて。やがて水は、ガクの中心に慎ましやか
夕焼けに煙る【短編小説】#月刊撚り糸
涙が出そうになった。ヤマさんが吐き出す煙草の煙が目に染みる。煙の中にいるのは嫌いじゃないけれど、閉め切られた車内は暖房が効きすぎて、すこし息が詰まる。横目で覗き見てみると、吸っている銘柄がセブンスターで、昔から変わっていないことに驚いた。一途さはこういうところにも表れるものなのかもしれない。
「窓、開けてもいい?」わたしが尋ねると、
「ごめん、煙たかった?」そう言って、ヤマさんは視線を前に向けた
凍えるほどにあなたをください
【カクヨムの『同題異話SR』という自主企画のために、指定されたタイトルに沿って書かれた作品です】
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どこでもいいから、ふたりで寒いところへ行こうと思った。
たまたま入った駅前の古い食堂のテレビは、未だにブラウン管で画面の色がところどころおかしかった。そこから流れるニュースは、今年一番の寒波がやってくると告げていた。
幸先がいいと思った。順くんは暑いのが苦手で寒いのが