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市民活動をサポートしてくれる強い味方!いちはら市民活動協議会とは

ICHIHARAISE(イチハライズ)では2024年7月から6回にわたり、「孤独・孤立支援に取り組む市原市の福祉団体」特集を組むこととなりました。
(詳しい参考資料は、【「生活の困りごと」の頼みの綱!市原市社会福祉協議会とは】の記事をご覧ください。)

とはいっても、記事を担当するライターたちも「福祉」に縁遠い一般人。
「福祉って何だろう?自分が○○で困ったとき、どんなところに頼れるんだろう?」という素朴な疑問をもとに取材していきます。

第5回目となる11月は、ウエルシア・コミュニケーションセンターいちはら(以下、ウエルコミ)にお邪魔しました。
ウエルコミは、ドラッグストアのウエルシア市原国分寺台店の2階にあります。

今回そちらで取材させていただいたのは、特定非営利活動法人 いちはら市民活動協議会(以下、いちはら市民活動協議会)の理事をされている峯川 大(みねがわ ひろし)さん
多方面で活躍されている峯川さんから活動への熱い想いを伺いました。



いちはら市民活動協議会って何をしているの?

――まず、「いちはら市民活動協議会」がどのような団体なのか、簡単に教えてください。

峯川さん(以下、敬称略):いちはら市民活動協議会は、市原市における市民活動の中間支援組織です。
前身となる団体はその前からありましたが、2020年に、市内で活動する様々なNPOや市民活動団体等が集まり、設立されました。

地域のハブ、つまり個人や団体の間に入って、つなぐ役割をしています。
連携・協働を生み出すことで、社会課題解決や地域の発展を目指している団体なんですよ。

――そうなんですね!
「市民活動の中間支援組織」というワードが少し難しいのですが、具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?

峯川:例えば、NPOや市民活動団体の立ち上げの支援や、活動のサポートをしています。
そして、そのような市民団体の活動を軸に、多世代がつながるキッカケとなるように誕生したのがここ、ウエルコミです。
私たちは、ウエルコミの管理・運営も、市原市より業務を受託し、行っているんですよ。

その他には、子どもの居場所事業である「ウエルキャン」、市民活動フェア「グランパ・フェスタ in いちはら」の開催、子どもにまつわるシンポジウムの開催などがあります。
私たちがある意味オピニオンリーダーにもなり、地域の課題解決と発展に向けて、取り組んでいるのです。


ウエルシア薬局の2階にある「ウエルコミ」ってどんな場所?

――本日の取材場所である、こちらのウエルコミが市民活動団体の拠点となっているのですね。
ウエルコミがどのような場所なのか、もう少し詳しく教えていただけますか。

峯川:ウエルコミは、市原市とウエルシア薬局株式会社が、新たな公民連携のまちづくりのモデルを構築するため、2021年10月に協働でオープンした施設です。
市民団体の活動や連携を活性化させ、学び・健康増進・世代間交流が生まれる場を目指しています。

――今日もヨガマットを持った方がいたり、長期休暇中の小学生がいたり、様々な人がいますね。

峯川:そうなんです。
誰でも利用できる場所なんですよ。
ウエルコミには、3つのスペースがあって、目的に合わせて利用することができます。

①ラウンジ

1つ目は「ラウンジ」
こちらは予約不要、無料で誰でも利用ができます。
友達とのお喋り、読書、PC作業、打合せなどで利用されている方が多いですかね。
貸切りで利用することもできます。
ちなみに、貸切利用時は予約が必要ですが、利用料は無料です。

②多目的室

2つ目は「多目的室」です。
定員60人の多目的室が2部屋あります。
2部屋をつなげて、最大120人収容の大部屋としてご利用いただくことも可能です。
今日はヨガサークルの皆さんが利用されていらっしゃいますね。
多目的室は、1部屋1時間200円での予約制です。

③会議室

3つ目は定員12人「会議室」
こちらは、少人数での会議や打合せなどで利用されることが多いですね。
会議室も1時間200円での予約制です。

――誰でも利用することができる場所なんですね!

峯川:そうなんです。
ぜひ多くの人に足を運んでもらいたいですね。

参考:ウエルシア・コミュニケーションセンターいちはら(通称:ウエルコミ)HP


新たな居場所を生み出す!子ども第三の居場所「ウエルキャン」とは?

子ども第三の居場所「ウエルキャン」開所式

――先ほど、活動のひとつとして「ウエルキャン」のお話がありました。
「ウエルキャン」とは何か、詳しくお話を聞かせてください。

峯川:「ウエルキャン」とは、ウエルコミのラウンジを開放して実施されている“子どもの居場所事業”です。
週3日、時間は11時から17時まで実施しています。
(2024年9月からは曜日が変わり、毎週水・金・土曜日に開催されています)

「well-beingなみんなのキャンパス」をコンセプトとしており、子どもを中心に大人も市民活動団体もみんなが幸せになれる場を目指しています。
学校でも家庭でもない、新しい居場所として、地域の子どもたちが気軽に立ち寄れる場であり続けてほしいですね。

――「学校でも家庭でもない、新しい居場所」だから、「子ども第三の居場所」なんですね。

峯川:「子ども第三の居場所」事業は、公益財団法人日本財団(以下、日本財団)によるプロジェクトのひとつなんです。
将来の自立に向けて生き抜く力を育むことを目的に、日本財団では「子ども第三の居場所」を全国各地に展開しています。

「ウエルキャン」は、市原市内では初めて「子ども第三の居場所」に採択され、日本財団から助成を受けて運営しています。

参考:日本財団「子ども第三の居場所」事業

――子どもの居場所事業を始める何かキッカケや理由があったのですか?

峯川:いちはら市民活動協議会に加盟している市民団体の中に、子どもに対する活動をしている団体がいくつかあったので、その知見があったということがまず理由の1つに挙げられます。
そして、ディスカッションしていく中で、課題も浮き彫りになりました。

子どもが置かれている環境、例えば不登校だったり、遊ぶ場所も今は限られていることだったり、そういったいろんな問題意識が出てきました。
そこに対して「何か自分たちで手を打てないか」という事で、この居場所事業の取り組みが始まったのです。

――まさに地域の課題解決のための取り組みですね。
ちなみに、「ウエルキャン」の対象者はどんな子どもたちですか?

峯川:主な対象者として、2パターンあります。

1つは、不登校など、様々な事情により学校に行けない、もしくは行かない選択をしている子どもたち
主に日中、保護者の方と一緒にご利用いただいており、現時点では約15名の利用があります。
年齢層は、小学校1年生から高学年までいますね。

ご利用を希望の方には、事前のお問い合せをお願いしています。
その後、見学や面談などを行ったうえで、ご利用スタートとなります。
様々な「居場所」のカタチがある中で、ミスマッチを防ぐために、そのようにお願いしています。

もう1つは、放課後、学校帰りの子どもたちです。
近所の子どもたちの利用が多いですね。
今年度は小学2〜3年生の利用が多いです。
昨年度は5〜6年生が多かったので、年によってもまちまちですね。

放課後の利用者数は、1日だいたい10人から、多いと30人くらいになる日もあります。
こちらは、ご利用に際して、事前問い合わせや面談等は不要ですので、実施日に直接お越しいただければと思います。

――そうなんですね。
それでは順番に教えていただきたいのですが、まず日中利用の不登校などの子どもたちは、どういった活動をしているんでしょうか?

峯川:実は「ウエルキャン」には、決まったカリキュラムはありません。
何をして過ごしたいか考えて、自分たちで決めて過ごしています。
でも1人で考えるわけではなく、やってみたいことにスタッフが寄り添い、一緒に考えているんですよ。

ここに通う子どもたちの中には、大人数が苦手だったり、大きな声や音が苦手だったり、感覚過敏な子もいます。
私たちは、そういった子どもたちも、そして保護者の方も、皆が過ごしやすい空間になるよう心がけています。
みんなが自由に集まり、自由に時間を過ごす居場所ですね。

――子どもも大人も安心できる場所ですね。

峯川:はい、そういう場を目指しています。

また、市民活動団体の皆さんと協働し、イベントなどを実施する日もあるんですよ。
定例のイベントのひとつとして、「ハピシェアランチ」があります。
「ハピシェアランチ」は、市内飲食店等と協働した給食スタイルの昼食会です。
その他には、親子で参加できるヨガレッスン「母ヨガ」なども行っています。

――利用している方からは、どういったご感想がありますか?

峯川:保護者の方から、「ここのスタッフが熱心に話を聞いてくれるのが嬉しい」とよく言われますね。
モヤモヤしているけれど、わざわざ自治体等へ相談に行くのはハードルが高い、だからと言ってママ友に話すにはヘビーかな、とため込んでしまう方も多いようです。
ウエルキャン利用時に、気軽に話ができる関係性の人がいる、というのが良いようですね。
ただし、私たちに出来ることは「話を聞くこと」だけです。
個別の相談は様々な専門機関等をご紹介したりもしています。

ウエルキャンでのハピシェアランチの様子

――放課後利用については、毎回メンバーや人数も違いますよね。

峯川:そうなんです、放課後利用の子どもたちは毎回全然違いますね。

――滞在する時間もそれぞれ個人の自由なんですか?

峯川:自由です。
今日も子どもたちが午前中から過ごしていますね。
(取材日は市内の小中学校が夏期休暇中の7月末)
10分で帰ってもいいし、夏休み中はこのように午前中から来て、お昼ごはんを外で買ってここで食べて、夕方までいる、という子も多いですよ。

——長期休暇中は、普段の日中とはまた雰囲気も変わりそうですね。
普段日中利用の不登校などの子どもたちと、放課後利用の子どもたちが交わることもあるのではないですか?

峯川:全くないわけではありません。
昨年度は、初めは距離があった子どもたちが少しずつ打ち解けていき、年度末あたりには、一緒にLEGOで遊ぶ様子も見られました。
ごく稀ですが、そうしたケースもあります。

――それはすごいですね!

峯川:不登校の子どもたちを学校に戻すために私たちは活動しているわけではありません。
けれども、ここで一緒に時間を過ごすことによって、結果的にコミュニケーション能力の向上につながっているのではないかと思います。

――放課後の子どもの居場所として、「学童」もあるかと思います。
「学童」との違い、強みは何でしょうか?

峯川:「何をしてもいい、何もしなくてもいい」という点でしょうか。
基本的に、子どもたちのやりたいことを大切にしています。
最低限のルールやマナーはありますが、それ以外は何をしてもいいし、逆に、何もしなくてもいい。

ここに来たからといって、勉強しないといけないわけではないし、ずっとゲームをしていてもいい。
それこそ1階のウエルシア薬局でジュースやお菓子を買って、2階のこのラウンジで過ごす、なんていう子もいますね。
子どもたちの主体性を大事にしているところが特徴です。

あとは、「いろんな人達と交流ができる」という点も、ウエルコミ内にある子どもの居場所ならではだと感じます。
ウエルコミを利用している人たちもそうだし、市民団体の方が講師となりイベントを企画・開催いただくこともあります。

例えば、昔の遊び体験や、理科の実験教室のようなことをやったこともありました。
こうした、学校や家庭ではできない体験、多世代交流ができる場でもあるのが強みだと思います。

――こうしたイベントは参加費が必要ですか?

峯川:今は日本財団からの助成があるため、基本的には費用はいただいておりません。

「子どもの居場所フェスタ in いちはら」開催時の様子

――市内で「ウエルキャン」と同じような、“子どもの居場所づくり”に取り組む市民活動団体が集結した活動もあるのですね。

峯川:はい。
私たちは、市内で“子どもの居場所づくり”に取り組む団体の皆さんと一緒に「子どもの学び・居場所ネットワークいちはら」という団体を立ち上げました。
団体同士が連携し、子どもの居場所に関する情報の発信や、行政の皆さんとの情報交換をしています。

そこで皆さんと一緒に開催したのが、「子どもの居場所フェスタ in いちはら」です。
市内の15団体が集まり、活動を紹介したり、参加者同士が自由に交流したり、つながるキッカケとなるイベントでした。

また、8月には「子どもの居場所夏まつり」という、縁日形式のイベントも実施しました。

自分たちで「ウエルキャン」という居場所づくりに取り組むだけではなく、市内の様々な団体をつなぎ、各活動をサポートしていくという取り組みは、私たちが中間支援組織だからこそ行なえていることだと思っています。


子どもだけじゃない!「グランパ」が大活躍のイベントも!

「グランパ・フェスタ in いちはら」開催時の様子

――主に65歳以上の男性(=グランパ)を対象とした市民活動フェアの開催もされているんですね!

峯川:そうなんです。
「グランパ・フェスタ in いちはら」ですね。

主に65歳以上の男性の方を「グランパ」と言うようです。
その「グランパ」の方々に、会社をリタイアした後「新しい活動場所・居場所として、市民活動を始めてみませんか」とご提案をするイベントとなっています。
市内で活動する市民活動団体が一堂に会し、ブース出展や活動紹介をしました。

毎年これを機に、ボランティア団体などに加入してくださる方もいらっしゃいますよ。

――それはすごいですね!次回の開催はいつですか?

峯川:3年目を迎える2024年度のグランパ・フェスタは12月1日(日)に開催予定です。
ぜひ多くの方にご参加いただきたいです。
「地域で活動していけばいいのか!」という気付き、発見ができる場所になったらいいなと思っています。

なお、今回は初の試みとして、市民活動団体対抗のボッチャ大会、その名も「グランパ・カップ」が開催されます。
パラリンピックでも話題になったボッチャを一緒に楽しみながら、団体同士の交流を促進させることが目的です。
ボッチャ大会の観戦も可能ですので、詳細は下記ページをご覧ください。

参考:グランパ・フェスタ参加申込フォーム

グランパ・フェスタに出展している団体の中には、ウエルコミの利用団体や、子どもの居場所「ウエルキャン」で活動している団体もあります。
加えて、ウエルシアさんをはじめとする企業の方々にもご協力をいただいています。

——こうしたつながりが、どんどん広がっていくのですね。

峯川:そうですね。
時代や社会状況に合わせて、立場を越えた新しいつながりをつくっていくことが、私たちのできることであり、強みでもあると感じています。


まとめ

取材を受けてくださった「いちはら市民活動協議会」理事の峯川大さん

「ボランティア」や「市民活動」と聞くと、「自分には関係のない世界」と感じる人も少なくないと思います。
今回の取材で、個人や団体の想いを取り持つ団体(中間支援組織)があることを、私は初めて知りました。

いちはら市民活動協議会は、市民で集まり、困っている人の声を聞いて、そのためにできることを企画し活動しています。
峯川さんに、今後の展望を尋ねたところ、「子どもとグランパの2軸はあるので、それ以外の世代にも広げていきたい」と話していました。

市民活動の活性化は、この地域で暮らす私たちにとっても、住みよい街へと続く道。
全ての人の生きやすさにつながっていくと感じます。

市民活動で悩んだら相談に行くも良し、イベントに遊びに行ってみるも良し。
誰でもウエルカムなウエルコミに足を踏み入れるところから、まずは始めてみませんか?


特定非営利活動法人 いちはら市民活動協議会
所在地:市原市能満1020-1
メールアドレス:ichihara.csc@gmail.com

ウエルシア・コミュニケーションセンターいちはら
所在地:市原市南国分寺台4-1-1(ウエルシア市原国分寺台店2階)
開館時間:火~日 9:00~18:00
電話番号:0436-20-1090
メールアドレス:welcommu.ichihara@gmail.com

子ども第三の居場所「ウエルキャン」
受付時間:水・金・土 11時~17時
電話番号:0436-20-1090(電話受付時間:水・金・土 9:00~17:00)
メールアドレス:welcampus@gmail.com


取材日:2024年7月26日

※記事の情報は取材当時の情報のため、最新の情報とは異なる場合があります。
ご了承ください。

ライター:ナガシママ

カメラマン、Webデザイン、カフェ店長などを経た後、助産院にて調理補助・広報を担当。現在は、執筆・デザインの他、千葉の郷土料理「太巻き寿司」、体に優しい「助産院ごはん」をベースとした食に関する活動もしています。

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