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尹晶煥体制を振り返る。

皆さんこんにちは、いちはらいおんです。今日は先日今シーズン限りでの退任が発表された尹晶煥監督の率いた3年間を振り返っていきたいと思います。

波乱の幕開けの1年目

第28節 vs金沢 2-0

2019年11月24日、ジェフ公式から尹晶煥監督の就任内定がリリースされた。降格が心配されるほど成績の落ち込んだ2019シーズン、第4節の水戸戦までを2分2敗としたフアン・エスナイデル監督を解任し、ヘッドコーチを務めていたOBの江尻篤彦が就任したものの調子は上向かず17位でのフィニッシュとなった。
そんな2019シーズンが終わり、経験と実績を持つ韓国人指揮官を招聘したジェフ、サポーターたちも0からのスタート、新しくなったジェフを大いに待ち望んだに違いない。
シーズンオフにはセンターラインの強化を掲げ、GK新井章大、MF田口泰士、FW川又堅碁といったJ1で名のしれた選手たちを獲得、昇格への期待はますます高まる。
練習試合では浦和に勝利するなど、昇格候補の一角に数えられることもあるほどの期待値を持ってシーズンに突入した。
プレシーズンマッチのちばぎんカップを落としたものの、開幕戦の琉球戦を1-0で勝利する。しかし2月25日、Jリーグは第2,3,4節の延期を発表。しかし延期中の練習試合でも甲府に5-1で勝利するなどチームとして仕上がっていることを伺わせたが、ついに4月8日からのチームの活動の休止を発表、最終的に5月29日までトップチームは活動を休止、約2ヶ月間チーム練習を行えなくなってしまった。もちろん他のクラブも同じ状況に置かれたが、開幕戦時点での完成度から落ちてしまったことは否めませんでした。
そしてついに6月27日にホーム大宮戦でJ2リーグは再開。しかし初戦を落としてしまいます。
4-4-2の守備ブロックを組み、前線からはあまり追わずに待ち構えるスタイルで戦いますが、相手がボールを持たないタイプのチームだとビルドアップがうまくいかなかったりする、または押し込まれすぎてボールを奪ってもカウンターの距離が長すぎてシュートまで持ち込めないなど、様々な課題が見つかったシーズンでもありました。
夏に3連勝して一時は5位まで順位を上げましたが調子が上がりきらず、ホームで二度も1-5の大敗を喫するなどの敗戦もあり、最終的には14位でフィニッシュ、シーズン終了に際して、DF増嶋竜也、MF田坂祐介、FW佐藤寿人が現役を引退、主力として活躍したDF鳥海晃司、MF為田大貴、FWクレーベが退団した。

躍進の2年目

第13節 vs岡山 4-2

1年目で苦いスタートを切った尹晶煥体制、2年目に尹監督が掲げたのは「攻撃的な守備」。世間の下馬評は1年目よりも低く、オフシーズンの成績もそこまで高いものではなかった。
選手補強では目玉となったのはDF鈴木大輔の加入だった。
しかし開幕戦を引き分け、なかなか調子が上がらずホーム初勝利は5月9日の岡山戦(4-2)まで持ち越しとなった。しかしこの試合から始まったのが皆さんも覚えているであろう見木友哉の覚醒、4戦連続ゴール。
しかし彼の奮闘も空しくなかなか勝ち星を積み上げることができなかった。
もう一つ話しておかなくてはいけないのがシステムの変更です。
第8節で栃木の矢野貴章対策として採用した3-4-2-1のシステムでした。しかしこれがうまくハマり、苦手としていた栃木から失点を0で抑えることに成功した。
この変更により4-4-2採用時よりもパスが巡るようになり、ビルドアップが少しずつ整備されつつあった、しかしそれも付け焼き刃に過ぎず、やはり調子は上がらずに後半戦を迎える。
天皇杯では2回戦を大宮に対し1-0で勝利し、3回戦で昨年のJ1王者川崎と激突することになる。ホームフクアリに川崎を迎えての試合では、終始川崎にボールを握られながらも集中を切らすことなく守り続け、53分には見木のゴールで先制することに成功する。しかし王者の壁は厚くPK戦にもつれ込んだ末に3回戦で敗退した。
それでも第29節のホーム磐田戦に敗れてからシーズン終了までの13試合負けなしという意地を見せることに成功、8勝5分の勝ち点29を積み上げ、最終的にはPO圏には届かなかったものの、29節時点での12位から8位まで順位を上げてフィニッシュ、3年目の「ホップ・ステップ・"ジャンプ"」の年への期待を望ませた。
しかしオフには16年から在籍し、崔龍洙に並ぶクラブ通算最多得点タイの54ゴールを生み出した船山貴之が退団、サポーターは悲しい別れに涙を飲んだことだろう。

飛躍を誓った3年目。

第7節 vs新潟 1-0

昨シーズン終盤に昇格への確かな希望を覗かせた尹体制は3年目に突入する。オフにはJ3で活躍したDF佐々木翔悟、ジェフキラーとも呼ばれたMF風間宏矢、FW高木俊幸などを獲得、昨年の戦力との融合で昇格を目指す。
2年ぶりの開催となったちばぎんカップでは0-1で惜しくも敗れたものの、内容としては主導権を握り続け、
しかしどうしてもシーズン立ち上がりは調子が上がらず、開幕戦で昇格組の盛岡に0-1で敗れる、2節で琉球に勝利したものの、連勝できずになかなか順位を上げることができなかった。3節の山形戦の前には新型コロナウイルスの感染者が出てしまい、健康状態に問題のなかった若手が多くチャンスを掴んだ。その中でも目立ったのが三菱養和ユースから加入したDF西久保駿介でしょう。178cmとは思えないヘディングの高さ、強さ、さらにロングスローと堂々の初先発を飾った。そんな若手の台頭もありながらもチームの調子はなかなか上向かない、19節から21節まで3連勝があったものの、順位は7位とPO圏内に食い込めるかという位置につくことになる。その後も8位-12位の中位を維持、なんとかPO圏を射程圏内にとどめておくことができた。
しかし9月9日、シーズンを残り8試合残して尹晶煥監督の今季限りでの退任をリリース、サポーターからはリリースのタイミングに対しての疑問の声が上がった。もちろんまだPOに出場する可能性は残されていますから、尹監督と選手たち、スタッフ方々は全力でそれへ向かって尽力してくれるはずでしょう。

尹監督の遺産

フアン・エスナイデル監督の元でハイラインハイプレスサッカーに取り組んでいた選手たちには組織的な守備をこなすのは相当な無理難題だったはずです。それでも2年目の昨年はシーズンを通して36失点でリーグ2位タイの数値を叩き出し、今シーズンもここまで34失点と一試合平均で1を下回る数値になっており、組織的に守ることの基本から、ジェフに落とし込んてくれた尹監督の功績は称賛に値すると確信していますし、尹監督のもとでプレーした選手たちにはここからの現役生活にも大きな糧になるものではないかと思っていますし、そうなるだろうと信じています。
だからこそフロントには後任にこの尹監督が作り上げた守備の礎の上に、さらに上を目指すための能力、技術、戦術を+αできるような監督を連れてきてほしいと切に願っているのです。
そして尹監督の指揮した3年間、これはJリーグ始まって以来故イビチャ・オシム監督に次ぐジェフ史上2番目の長期政権だったのです。
最後にはなりましたが、まだ少し早いですが、これからの尹晶煥監督のキャリアがより輝かしく、素晴らしいものとなることをい心からお祈りしております。3年間本当にありがとうございました。あなたの笑顔が大好きでした。

-最後までお読みいただきありがとうございました。-

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