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硝子の塔の殺人 知念実希人
あらすじ
科学者の神津島太郎は生命科学の分野でいくつもの功績を残し、そのなかでもドラッグデリバリーシステムという技術を利用したトライデントの開発で莫大な財産を築いた。この財産でトライデントを模した硝子館を建て、世界中からミステリコレクションを集めている。この神津島がある発表をするために硝子館に人々を招集した。その中の一条遊馬はこの神津島の専属医を務めているがある決意を秘めてこの会に参加していた。
ここからネタバレ含む感想
この会に参加しているのは、神津島、刑事、料理人、医師、名探偵、超能力者、小説家、編集者そして、執事とメイドの10名、そしてお約束のようにこの館の主の神津島が毒殺されることから事件がはじまる。
いつもの知念さんの作品とは少し作風が違っていて、本格ミステリ仕立てになっています。館に集められた人々はいかにもクローズドサークルの中で起こる殺人事件を呼び起こすような面々で何か起こりそうな気配が漂っている。
通常の本格ミステリと異なるのは、神津島を殺害した犯人は最初から読者に示されていて、そこからさらに殺人事件が起きるが神津島を殺した犯人目線で語られる。
真相は最後の最後までわからずですが作中通して本格ミステリを中心としたミステリについてのリスペクトが話の端々に感じられるお話でした。これまで読んだあの人、この人の作品のオマージュがところどころに入っているのでそれを見つけながら読むのも面白いと思います。
そしてラストは、あの人のオマージュか…と本を投げたくなります(笑)