「二つの重なる世代」とか言われても納得いかんのよ……の話
母とはずっと同居なので、つまり、“JWとも、ずっと同居”だが、JWのことは「見ない、聞かない、うっかり触れるようなことがあっても脳内スルー」に徹してきた。
だから、自分が離れた後のJWのことは、あまり知らなかった。
ところが、
2022年の安倍元首相銃撃事件がきっかけで元JWや宗教二世の界隈を覗くようになり、最近のJWの様子を少しずつ知るようになった。さらに、コロナ禍以降は集会がオンラインになって、その音声が漏れ聞こえてくることや、母の様子なども考え合わせると、JWの動向はうっすら見えてくる。
積極的に知りたいわけでは全然ないが、まあ、なんとなくはわかってくる。
「1914年を知る世代が過ぎ去る前に」って教えてたじゃん?
この界隈を覗くようになってから、最近のJWについて驚いたことはいくつかあるが、いちばん驚いたのが「二つの重なる世代」のことだった。
私がJWの集会に連れて行かれていたのは1973年頃~1987年頃(3歳頃~17歳頃)なのだが、当時、「1914年の“しるし”を知る世代がいなくなるまでには終わりが来る」と教えられていた。
しかも、「1914年に0歳の子ではさすがに“しるし”はわからないので、1914年に少なくとも5歳とか10歳とかの世代が生きているうちのはず」という解釈も付け加わっていて、
ってことは、その当時で80歳前後を指す、とされていた。
80歳前後の世代が生きているうちに、ってんだから、「今は本当に最後の最後」と言われていた。
「今こそ、ますます信仰を強める時です!」ってね。
JWを擁護するつもりはないが、いちおう付け足しておくと、
当時は「ノストラダムスの大予言」ってのがあり、「1999年7の月に恐怖の大王が来る」ってやつだが、JWに関係なく世間一般に、「世界の終わりっていうのが、近いうちに来ないともかぎらないのかも……」みたいな空気感はあったと思う。
「ハルマゲドンが来ます!」って言ったりするのも、現在よりアタオカ度がだいぶ低くとらえられていたと思う。言うほうも、聞くほうも。
だからまあ、当時の空気感の中で生きていた者のひとりとして、「そうかもしれない」と本気で信じてJWになってしまった人の気持ちも、わからないではない。
少し話が逸れるが、本気で信じた人たちは、もともと純粋な、いい人なのだろうなと思う。
「1914年を知る世代がもうすぐ死に絶えるから、ハルマゲドンは本当にもうすぐ!!」って言われてる時期に、親に逆らってJWを離れた人(私でーす)のほうが、疑い深くて始末悪いんじゃないだろうか 笑。
ともあれ、もちろんその後もハルマゲドンは来ていないので、たまーに「そういえばあの宗教、1914年がどうたらっていう話は、今はどう説明つけてんのかなあ」と思ったりもしたが、うっかり思い出しても、「私にはもうどうでもいいことだ」と、すぐ忘れるようにしていた。
「二つの重なる世代」って言い出してたとは……
そして、一昨年だったか昨年だったかに初めて、JWが「二つの重なる世代」なる解釈を言い出していたことを知ったわけだが、最初に見たときは、いわゆる「ネタ」かと思った。そのくらい、「え?」「は?」って思った。
つまり、「そのうち『1914年を知る世代……を知る世代が生きてるうちに』とか言い出すんじゃないの? わははー」みたいな、元JW2世の笑い話的なもの?と思った、ってことだ。
そのくらい、すぐには信じられなかったし、驚いたし、あきれた。
なさけない……も思ったっけな。
私が知らなかっただけで、2009年とかにはそんなことを打ち出してたそうで、「1914年の“しるし”を知る世代が生きているうちに」とか言ってたことは、既に、“なかったこと”扱いになっているらしい。
「1914年に“油注がれた”世代が生きているうちに」
ではなくて、
「1914年に“油注がれた”人たちを知る世代が生きているうちに」
だそうで、
この論法をもってすれば、永遠に繰り延べもできるじゃないか。
繰り延べ繰り延べしてれば、いつか世界の終わりは来るかもね。それはたぶんエホバに関係なくたまたま、だと思うけど。
組織は「もうすぐ終わりが来るから」と教え、世間で正社員として働くことや進学することを否定し、時間もお金も奉仕活動に捧げることを推奨。多く捧げた人ほど組織内ではほめたたえられた。
でも、それに従ったために、今になって苦しい生活をせざるを得ない人も少なくない。組織内に留まっている人ならまだしも、まともな職も学歴ももてずに組織を離れた元宗教2世は、一般社会の中で本当に苦しんでいる。
スルッと解釈を変更して、口をぬぐって、知らん顔。
JWはそういう宗教だ。