
Bar シェリル⑥
すっかりキレイになったわね🎵
ヒカリちゃんにお手伝い頼んで良かったわ。たくちゃんが奥の掃除をしながら声を掛ける。
私がしなくても、十分きれいにしてますよ。
そう?マメにはしてるつもりだけどやっぱり細かい所はヒカリが気がついてくれたから、助かったわ。だけど良かったの?実家に帰らなくて。
そう聞かれて、曖昧な笑顔になるヒカリに何か事情があるのだろうとたくちゃんは黙る。
まぁね、そういうアタシもさ、こんなだからね。お年玉だけ送ってオシマイ!なのよ。
何年も帰ってないんですか?
そうよ、帰ってくれるなってとこかしらね。ところでヨリコちゃんは?
あ、ヨリコは実家帰ってますよ、同窓会があるって言ってました。
へぇ…そんなの興味ないって思ってたわ。…さてと掃除はこれくらいにしてと。お腹空いたわね、何か食べに行かない?とママが声をかけると、ヒカリが嬉しそうに
行きたい!こないだのラーメン屋さんですか?と前に出前をとった店の名前を上げると
あそこはね、今日はお休みなの。だからちょっとお出かけになるけどお寿司屋さんに行きましょう。
あ、じゃあ私一回帰って着替えなきゃ!と手を洗いながら答えるヒカリにママがいつものウィンクをしながら「ちょっと待ってて」と2階に上がるとブティックの紙袋を抱えて降りてきた。
ハイ!これ今日のお駄賃とミチルちゃんが大変だった時のお礼。と差し出す袋には淡いパープルのニットワンピースが入っていた。
わ!ステキ!だけどこんなのいただけません。それでなくてもたくちゃんママには良くしてもらってるのにと押し返すが、返されてもアタシにはサイズ合わないのよ!とりあえず2階で着替えて来てよ。きっと良く似合うわ。
そう言われたら着るしかないが、こんな色なんて着たことない、ましてワンピースなんて似合うはずないよ…ため息をつきながら着替えて降りるとたくちゃんが満面の笑顔で「良く似合ってるわ!こんな色着たことないでしょ?いつも同じ色、同じ服装。まだ若いのよ。挑戦なさい!お化粧も始めるから顔洗ってきてね」
掃除と違ってテキパキ指示出しするママに圧倒されながら、これじゃどっちが女だかわかりゃしないわと鏡の中の素顔に向かって呟いた。
「はい!これで完璧!元々顔立ちがいいんだからいつかヒカリちゃんをお化粧してみたかったのよ」「まるで人形ごっこしてるみたいですね」とちょっと膨れてみせると「ま、そうとも言うかもね。アタシの可愛いお人形さん!なんてね、拗ねない拗ねない。さてアタシも着替えてくるわ、ちょっと待っててね」今度はたくちゃんが2階に上がった。その隙に鏡を見てすっかり変わった自分に驚いて「やっぱりたくちゃんスゴいわ」とため息ついたが降りてきたたくちゃんを見て腰を抜かしそうになった!
そこには初めて見るたくちゃんがいた。
「たくちゃんママ?」「フフ、驚いた?キレイにお化粧して変わったヒカリちゃんに素っぴんのアタシ。一度こんなことしてみたかったのよ、さぁ出かけましょ。ひとつだけ、ここを出たらママって言うのは今日はナシよ」
こうして、傍目には普通のカップルにしか見えないふたりのデートが始まった。
~たくちゃんママからご挨拶~
さて、そんなこんなで今年も終りに近づいてきたわね。
アナタにとってどんな一年だったかしら?HAPPYだった人もいればやっちまった!って人もいるわよね。だけど日はまた登る、来年がアナタととってサイコーな一年になるように祈っているわ。
シェリルにいらしてくださった大事なアナタのことは特にそうお祈りしておくわね!
じゃあまた!