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俳句で灰になる~手袋
・バス停に片手袋の咲きにけり
指先が冷えるので、手袋は欠かせない。先日前を歩くひとから手袋が片方落ちるのを見かけてゼイゼイ言いながら「お…落ちましたよ!」と手渡した。自転車で駅まで来るのだろう、分厚い手袋だった。
それから駅前のバス停で片方の手袋が挿してあった…赤い毛糸の手袋は花が咲いているようにも持ち主が現れるのを待っているようにも見えた。
かつて向田邦子先生のエッセイに『手袋をさがして』を読んだのを思い出していた。
毎度うろ覚えなのだが、先生が22歳頃のひと冬を手袋無しで過ごされたことがあった、気に入った手袋が無いのが理由のようだったけれど。1929年生まれの先生が20代の頃は戦後ということもあるけど今よりずっと寒いし暖房器具もそう発達していなかったはず。
それでも意固地になる先生に上司の方が「それは手袋だけの問題ではないのではないか?」と言われたそうだ。
手袋ひとつにも拘りがあるように、この先納得のいくまで己を貫き通すのは如何なものか?と上司は見抜いてらしたのだろう。
暖房器具も手袋も今は容易く手に入る。
かくいうわたしも独身時代には革手袋を愛用していてコートの色に合わせて何双か持っていたが、今では100均のスマホ手袋愛用である🤭
しかし…一昨年買ったのが行方不明で新しく買おうとしたけど、気に入ったのがない。あーもぉこれで良いわと買ったのはあるので、それをはめてはいるのだが…。
スマホ触るんやったら、指先開いたのがあるやんかと夫は言うが、それをはめると悠木千帆(樹木希林)の「ジュリー!」をやらなあかんくなるとわかるヒトにはわかるわけわかめな理由を付けていて、最近ようやく「これ!」というのを見つけて買ったらメンズで😐️スマホ触るどころか指がたぷたぷに余っているので夫が使っている。
向田先生の心意気とは全然違う理由でわたしは手袋をさがしている。