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村雨
今朝の俳句幼稚園で、紫乃先生が詠まれた
風が来て群雨のごと紅葉散る
(むらさめ)
句の素晴らしさは、知るところなのだが、わたしは『むらさめ』に遠い日の和菓子を思い出した。
鹿児島に引っ越すまで住んでいた泉州に『村雨』という蒸し菓子あり大好物でした。
今も在るのかわからないが、近所の和菓子屋さんに行くと、美しい練り切りと共に並んでいた『村雨』。食べるとほろりと口の中でとろけてこしあんの甘さがほどよく残る。普段は駄菓子屋のカラフルな飴やちっちゃいカップのヨーグルトのおやつだが、来客があったりした時の特別なおやつが村雨でした。
大阪を離れても懐かしくその味を思い出していたのだが就職して子供の頃、父が懇意にしていたおっちゃん宅へ挨拶に行った折り、お祝いと共に「ラベちゃん、好きやったやろ?」と『村雨』をいただいて何より嬉しかった。 そういえば、引っ越す前に家で父とお酒を飲んでいて急に父が号泣したっけな。父が泣くのを見たのは初めてで次はわたしが結婚したいと夫を連れて行った夜に仏壇の前で泣いてた2回だけ。
村雨はそれ以来食べていない。通販で買えるけれど子供の頃に行った店と違う味だったらという思いもあれば、そのまま思い出として残しておこうかという気持ちがない交ぜかなっている。
おっちゃんもずいぶん前に旅立った。共働きだった両親に代わって幼いわたしを育ててくれた酒屋のばあちゃんもいない。かつて住んでいた町にはもう知る人もいないけれど、今日の紫乃さんの句で鮮やかに思い出が甦った。風景よりお菓子を思い出す辺りがわたしらしいといえばわたしらしい(笑)
懐かしいな…やっぱり食べたいな。
次に大阪に行ったら…買って帰るかもな。
そんな夜の思い出話にお付き合いありがとうございました。