『必見!!ドラゴンボールに隠された秘密』
もはや、社会現象である。ドラゴンボールという漫画は全世界、全世代を網羅する勢いで常に躍進し続けている。
現在もVジャンプにてドラゴンボール超(スーパー)が連載中。カードゲームは子供たちの間で流行しており、レアカードで高い物は数万で取り引きされている。
老人ホームで職員が毎日何十時間もドラゴンボールのDVDを流し続けたところ(食事時間も)、アンケートで「心の支えは悟空だ」というお年寄りが増えたというデータがある。
有識者は、“それを洗脳という”と言っていたらしいが、わたしは毎日何時間も“お母さんといっしょ”などを視ているが心の支えはお母さんではなくおもちゃであるからにして、その見識は間違っている事になる。
きっとあの世でも流行っているのだろうと思い、お盆の時に祖母の家にある仏壇の棚にドラゴンボールのフィギュアとかをたくさん置いたら、親戚の叔父さんにそっと片付けられた事がある。
わたしにはわかる。きっと、持って帰って遊ぶつもりなのだ。
そのドラゴンボールには、隠された秘密がある。
かめはめ波という、手から光線のようなものを出す技があるのだが、あれは訓練により実際出せるようになるのだ。
あのような高熱と思わしきエネルギーが手から出たら両手が焦げると思っていたわたしは、その行為をする事はなかった。
普段、よく歩きながらやってるのはプリキュアの必殺技である。
しかし、ある日、公園で小学6年生の人から「大丈夫だよ。手、焦げないよ」と習ったのである。
“6年生の言う事は聞きなさい”、と小学1年生の時に担任の先生に言われて以来、わたしは大人になってからもそれを遵守している。
「かめはめ波~!」
わたしは、早朝の自宅や電車の中、駅前の広場やトイザらスの駐車場と、至る所でかめはめ波を出す訓練をした。
ある時だ、コンビニでチュッパチャップスを一個買って店を出た時、駐車場でたむろしている青年たちが目に入った。
コンビニの駐車場でバイクをたくさん停めてお喋りをしている悪そうなにいちゃんたち。たぶん、悪い人だ。暴走族というと昔の漫画で読んだ事がある。
わたしは、チュッパチャップスを口にくわえ、勇気を振り絞りかめはめ波を出す所作をしながら渾身の力を込めて叫んだ。にいちゃんたちに向かって。
「か・め・は・め・波~!!」
わたしの両手からは光線どころか汗も出てない。出たものといえば少しの屁だけである。
再度、にいちゃんたちに向かって叫びながら両手を突きだした。
「か・め・は・め・波~!!」
両手からは光線は出ない。
半泣きだが、もう一度、技を繰り出す。
「か・め・は・め・波~!!」
すると、暴走族のにいちゃんの一人が言ったのだ。
「お前、痛いなあ」
確かに言ったのだ!痛い、と。
痛いという事は当たっているのだ、かめはめ波が!
光線こそは出てないが、なんらかのエネルギー波が発生していたのである。
実際、出せるのである。かめはめ波という技は。
力みすぎてパンツを汚してしまってたので、またコンビニに入った。
わたしは先にレジ袋を3円で買ってからトイレへ向かった。
社会の常識として下着は洋式の貯水タンクなどに捨てず、
持って帰らないといけないからだ。