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清航館通信 2024年12月号原稿 「クラファンと地域課題」
空き家が増えてだんだん寂しくなっている地域は日本中にあります。ボクは自分の住む町が無くなってほしくないので「エリアリノベーション」という地域の空き家再生に積極的に関わる活動を続けています。建物の改修は建築士なので多数手掛けていますが、自分の住む町は特別です。工事が終わったあとも近所付き合いが続きますので、設計料をもらって終りとはなりません。これまでも工事費を削減するためのDIY作業の手ほどきや、建物所有者さんや近隣との関係に配慮した入居者選びもしてきました。もちろん引き渡し後の建物の様々なトラブルにも対応しています。
現在関わっている空き家再生は、ゲストハウスに生まれ変わる予定です。ボクは建物の調査や図面作成を担当していますが、自分の町を変える取り組みに対して依頼された以上の関りを任されてしまいます。もう仕方がないことなのです。今回も資金集めや工事費の交渉など建築のプロとして積極的に関わり工事は始まりましたが、それでも足りない費用はボクの会社が少額ですが出資することにしました。自分の町で何かに挑戦したい方を応援する方法を考えたときに、関係者でリスクを分散する方法が建築の新しい形だと考えたからです。
事業の成否により出資額が戻ってくるかが決まりますので、ゲストハウスの運営にも参加することになるでしょう。このリスクを更に分散する方法が不特定多数の人から寄付や購入といった形態で資金を集める「クラウドファンディング」という仕組みです。建物内に寄付者の名前を記入する約束や、DIY参加券やゲストハウス宿泊券の前売りなどをして資金を集めます。資金調達が難しい「社会的な課題解決」の分野などでこの仕組みが普及していて、今回のゲストハウス整備でも活用予定です。