清航館通信 2020年8月号 「防災マップと地域コミュニティ」
これほど太陽が恋しい夏は久しぶりです。7月に入って3週間過ぎましたが5時間以上の日照時間があった日はたったの3日です。数日前に今年初めて蝉の声を聴きましたが「ヒグラシ」でした。梅雨前線の長期停滞中に夏の終わりを告げる虫の声が重なると、異常気象なのだと実感できます。もしもに備えて非常持ち出し袋などの準備や点検をしておきましょう。
いわき市のホームページで新しい「河川洪水ハザードマップ」が発表されました。洪水浸水想定の基準が1,000年に1回程度の大雨(想定し得る最大規模)に見直されてありますので、自分の住む地域にどのようなリスクがあるのかを先ずは確認するべきです。中之作・折戸地区には大きな川がありませんので河川洪水の心配は少ないのですが、地区の広い範囲が「土砂災害警戒区域」になっています。こちらも是非確認してください。
生まれ育った町で安心して暮らし続けるには、自然災害に対する備えだけでは不十分です。先ほどの「防災マップ」はパソコンやスマホがあればすぐに検索できますが、それらの使い方に不慣れな方との間に情報格差が生まれます。また、防災情報や避難場所は分かっていても移動が困難な方などはどうすればいいでしょう。私たち中之作プロジェクトでは、これらの課題は個人の問題ではなく地域の問題として捉えることにしています。自分たちもいずれ年を取るので、その時にこの地域で豊かに暮らすための対策を考えておくことは未来の自分のためでもあります。
私たちは地域の風景保存を目指すNPO法人ですので、風景の最小単位である「住まい」とそこに暮らす「ひと」が減ることは港町の美しい風景存続の危機です。地域防災対策の延長で「ひと」を守る取り組みも風景保存と拡大解釈し、地域医療を支える中山医院さんと一緒に地域包括ケアプランをつくることになりました。豊かで住みよい町を持続させるには、人口増加ではなく様々な世代が住んでいることがポイントとなります。安心して住み続けることができる地域づくりには、地域医療と良好な地域コミュニティの継承などが重要です。健康的でともに支えあうための地域包括ケアプラン作成に向けて、この地域にお住まいの高齢の方にアンケートをお願いする予定です。ご協力をお願いします。
(この原稿は地域の回覧板向けに2020年8月に書いたものです)