開幕直前!劇団壱劇屋東京支部「九十九のがたり」番外編 vol.1
こんにちは!劇団壱劇屋東京支部 準劇団員の深井です。
いよいよ7月18日(木)に開幕するワードレス殺陣芝居『九十九 -つくも-』。稽古も佳境に迫るなか、主演の黒田ひとみさんと淡海優さんに、作品への想いや本番に向けてのお話を伺いました!
作品について
ーー最初に配役を知って、主演に決まった時の気持ちを教えてください。
黒田 事務所にいた時、急に竹村さん(竹村晋太朗)から「7月公演、黒田主演で」と言われて(笑)。最初はびっくり!少し後に、大体の役柄と、夫婦役がべーたなさん(淡海)と聞いて、なるほどそういう感じかと……。
淡海 最初に自分の配役を聞いた時、自分の役の内容より黒ちゃん(黒田)が主演というところの驚きが強かった!今まで黒ちゃんが演じてきたのは主役っぽくないキャラクターだったから、竹村さんの作品のヒロインをどう演じるんだろうと。今までの作品で役としてはあまり絡むことがなくて、稽古中は基本的にふざけ合ってるから、「どうなるんだろう、ちゃんと真面目にできるかな」って(笑)
黒田 ほんとに、稽古中も小声でふざけてくるんですよ!そういう面では、リラックスできるし、やりやすいです。
今回はワードレス作品なので、主演が頑張る、主人公の物語という面が強くて。今まで、ストーリーの主軸を担ってきたわけではないので、ちょっと震えました。自分が物語を進めていって成立させなきゃいけない責任感に気が引き締まるというか。同時に、台本を読んでめっちゃいい作品だなと思って。
淡海 台本を読んだ感想としては、同じ劇団員の藤島さん(藤島望)が「『独鬼』みたいな話だね」って言ってて。『独鬼』は好きな作品だから嬉しい気持ちもあり、確かに似てるなと思った印象が大きいかな。もちろんストーリーとか設定は違うんだけど……観劇後の印象は似ているのかなと勝手に思っています。
ーーご自身の役や、作品についての印象を教えてください。
淡海 春は……僕じゃん?(笑)
黒田 (笑)
淡海 理解しやすいというか、極端な人というか。そういう意味では、バンコウはちょっと難しいかも。観ている方の解釈によっても印象が変わりそうな、不思議な立ち位置です。台詞がないなかで、どうやったらその繊細さをちゃんと伝えられるのか、みたいなところはずっと考えています。
黒田 でも、春とバンコウの演じ分けはすごいんです。自分が菜花を演じていて、「あ、いま春だな」とちゃんと分かる。
淡海 それはよかった!初めて聞いたから嬉しい(笑)
黒田 べーたなさんの役が入れ替わるなかで、私も演じるのが楽しいです。菜花はひたすらまっすぐな子だなと思います。芯が強いというか。
淡海 竹村さんらしいキャラクターだよね。弱い立場の人だけど、でも中身は強いというか……黒ちゃんじゃん!
黒田 お、私か?(笑)
淡海 でも、他の劇団員も今までにない新鮮な役や、珍しい組み合わせが多い感じ。
黒田 みんな稽古でちゃんと悩んで、向き合ってる感じがあるよね。ゲストさんからは新しい風を感じます。壱劇屋にはじめましての方もいらっしゃるので、どんな風に殺陣が仕上がっていくのか楽しみ。みなさん、かっこいいです!
実は……同期のふたり!
ーー息ぴったりなおふたりですが、壱劇屋に同時に入団した同期ですよね。初めて会った時から印象は変わりましたか?
黒田 昔も今も、だいたい同じ印象かも……?
淡海 あんまり変わらないかもしれない。出会ったのは、2019年の『猩獣』のアクションモブだよね。当時はロン毛だったよね?
黒田 ロングでした(笑)。その時は髪がすごく長くて。べーたなさんは……爽やか青年だなって感じ?
淡海 嘘つけ!(笑)。だとしたら今と印象は変わってるやろ(笑)
黒田 (笑)
『猩獣』で私は初めて舞台に立ったので、色々お手本にしてました。同じアクションモブで近い存在だったので、一番参考にしてた。
淡海 それは前にも伝えてもらったことがあるよね。『猩獣』のとき、全ては話せないんですけど……黒ちゃんには印象的なエピソードがあって。
黒田 有名なね(笑)。
淡海 当時19歳で、初めての舞台で、経験豊富な人に囲まれた状況で……。自分が納得いかないことや違うと思ったことを、ちゃんと伝えられるのってすごいなと。ずっとそれは失わないでほしいなとその時からなんとなく思っていて、今も変わらず自分の意見をちゃんと言える人だなと思っています。
黒田 あれは忘れられないエピソード(笑)。一緒に劇団員になると知った時は、まさかと思いました。
淡海 確かに、同じタイミングで劇団員になるとは思ってなかったかな。『猩獣』、『二ツ巴』(2021年)のアクションモブの共演を経てだよね。
黒田 私たちの代ってあんまり同期っぽくないというか……。いま聞かれて「あ、そういえば同期か」と思ったくらい(笑)
淡海 みんな個性豊かだよね(笑)。『猩獣』の時に俺は壱劇屋に一度出演したことがあったし、役者も何年かやっているような状況だったから、背景もそれぞれ。そういえば、『猩獣』の時は石川くん(石川耀大、注:黒田と淡海の同期)も一緒だったと思うと不思議だよね。……というくらい、同期だということをあんまり普段意識していないかも!(笑)
黒田 今回も、特に同期だからという感慨もあまりなく……。ただ、先輩後輩より、演じるうえではやりやすいのかなとは思います!
本番に向けて
ーーいよいよ開幕が迫ってきましたが、改めて意気込みを教えてください。
淡海 『九十九』は、久しぶりに上演するワードレス作品。壱劇屋にとってワードレス作品はとても大切なものなので、多くの人に観ていただきたいですね。
黒田 ワードレス作品は壱劇屋の真骨頂だよね。昨年の3作品、『BLACK SMITH』と台詞のある作品を観てくださった方に、新たな一面を知ってもらって、また違う壱劇屋東京支部の魅力を伝えたいです。
淡海 自分のなかでは、実はワードレスは苦手な意識があって。東京で上演したなかで、役のあったワードレス作品は“五彩の神楽”の『賊義賊』(2022年)が最後だったけど、その時は表現したいものが明確になりきらず、正直少し悔いが残ってしまった作品です。今回の『九十九』では、春とバンコウという異なる2役を演じるので、「ちゃんと表現しきれたな」と思って終わりたいですね。
黒田 私は、“五彩の神楽”の『憫笑姫』(2022年)がワードレス作品で初めての役。そこから、台詞のある作品で役付きを演じたことは何度かあったけど、その次が今回の主演です。
いま、ワードレスのお芝居に向き合って、ひとつひとつ悩んでいるんですが、目の動きから手の少しの動きまで、意識しないとちゃんと伝わらないなと。この公演で、しっかりお客さまに伝えられるようになりたいです。今後の役者人生としての武器にもなると思うので、ちゃんと身に付けて次のステップに進めるようにしたいな、なんて思っています。
ーー最後に、劇場に来てくださるお客さまに一言お願いします!
黒田 竹村さんが作る作品では、人間が頑張る姿が描かれます。大切なもの、大切な人を想って守ろうとしている人の姿を、そのまま受け取って欲しいです。人間の熱くなる部分を感じていただけると思います!
淡海 台詞がないからこそ、シンプルで研ぎ澄まされていると思います。ちょっと不思議な感じもありつつ、すごくワードレスらしい、壱劇屋らしいアツい展開が待っているので、そのまま楽しんで欲しいです。
[おまけ]
Q.いわゆる“付喪神”のような存在が現れる今作。自分の持ち物の中で、神様を召喚したい持ち物はありますか?
淡海 ゲーム!(即答)
自分の持ち物のなかで一番大切にしているものだから。能力で考えると……料理をするのでフライパンとか?
黒田 腕時計かな。中学の時からずっと使っているもので、変えたことがないんです。
淡海 ……俺のゲームと全然違う……(笑)
ふたりの仲の良さが伝わってくる、楽しいインタビューでした!
菜花と春、そしてバンコウが、物語のなかでどんなキャラクターとして現れるのか、ぜひ劇場で確認してくださいね。
vol.2のインタビューはこちら↓
『九十九 -つくも-』はチケット好評発売中です。
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*チケット販売サイトはこちら:http://confetti-web.com/@/99_tsukumo
【公演概要】
text&photo by Yuki Fukai