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片想いのmusic(第4話)


24 祭りの跡

長い一夜が明け、四人が再び会ったのは、翌日の14時過ぎ。
文化祭翌日は、全日片付け日となっている。生徒は10時に登校してくる。
クラスの片づけを終え、軽音楽部の面々が部室に集合したのがその時間だった。
その1時間前。1年2組の一角。

「お疲れ。」

一通りの片づけを終え、一人窓際に立って空を見ていた健吾に、美沙子が声をかける。

「おう。」

窓の外から美沙子の方へ体を回転させる。

「昨日はあれからどうしたの?」

上目使いでイヤらしく健吾の顔をのぞく。

「タコ。それは俺のセリフじゃねぇのか?」
「あたしが先に聞いたんだから、あんたが先に答えなさいよ。」
「俺が何を答えるってんだ。」

再び空を見る健吾。

「どーせ熱くなっちゃったりしたんでしょ?昔みたいに…」
「もういっぺん言ったらキレるぞ、って前に言わなかったか?」

目線は空のまま、目付きだけ鋭くなる。

「…はいはい。すいませんね。」

窓に背をつけ、体重をあずける美沙子。

「まぁ…俺らは何も変わっちゃいねぇよ。」

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