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貴重なタイル職人 岡崎さんのお話し。

イチエ建匠の家づくりにかかせない職人さんたち。
その中でも、最高齢で現役バリバリのタイル職人さんがおられます。
今日はそんなタイル職人さん「岡崎さん」のお話し。

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岡崎さん、御年80歳。

2階の外壁3面にタイルを張る工事のとき、
私「足場の上り下り大変じゃないですか?」と聞くと
普通なら「ほんとねぇ、足場は上りにくいし、幅も狭いし、足腰がしんどくてねぇ。」と少しくらいの愚痴がこぼれてしまいそうなもんですが、
岡崎さんは違います。

「いや、それが毎日何度も上り下りしてるとね、
足が丈夫になってきまして、かえって調子がいいんですよぉ」

あぁ、私が80歳になった時、こんなことが言えるのだろうか。と
岡崎さんへの返事も忘れて空を見上げてしまいました。
この「圧倒的ポジテイブ」こそタイル職人の岡崎さん。
みんなに敬われる岡崎さんのお人柄です。

そんな岡崎さんは人柄だけでなく、技術的にも貴重な職人さんでして
某有名ハウスメーカー数社を取引先に持つ、大阪のタイル屋さんのM社長が
うちの現場を見学に行ったときのこと。
見学を終えたM社長から電話が・・・
M社長「全国いろんなタイル施工を見てきましたが、岡崎さんの張り方はとても貴重ですよ!すばらしい!!
このことを記事にしてたくさんの人に伝えてあげてください」
と興奮気味のM社長。

どうやら、私たちがよく目にしていた岡崎さんのタイル張りは
全国的に見ても貴重な張り方だったらしい。
では具体的にどんな方法なのか?

それを説明する前に、まずは一般的なタイルの張り方をおさらい↓

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壁にのり(写真だとグレーの部分)を、くしのようなギザギザのコテで伸ばし
その上からタイルをズラズラと置いていきます。

【メリット】
・一度に広い面積の施工ができる
・一人で作業ができるので効率がいい
【デメリット】
・のりの乾き具合に注意をしていないとどんどん乾いていく。時間がたつと(特に夏場は)接着が弱くなりタイルがはがれる原因になるのでスピードが求められる。

続いて貴重な張り方がこちら↓

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壁につけるはずののりを、タイルに直接ベチャッ。
のりをたっぷり厚めにつけるのがポイントです。

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そしてそのタイルを壁に張り付けていく・・・↓

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この工法を「改良圧着張り」(かいりょうあっちゃくばり)と言います。
のりがムニッとはみ出ているのが特徴です

のりもタイルも同じ材料ですが、
壁にのりをつけるのか。タイルにのりをつけるのか。
その小さい違いがじつはとても大きな違いなのです!

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大きく違うところは、のりをタイルにつけてすぐに張るので、
・接着力が強いまま張ることができる
・張る箇所によって接着のムラができない
さらに、乾き具合を気にしなくていいので
時間を気にせず1枚1枚をじっくり色味など考えながら張れる。
という点も大きなメリット。
メリットは他にも、タイルのすきまにいれる目地とよばれる材料がくっつきやすいなどがあります。

まとめると、
岡崎さんは効率がいい方法ではなく、あえて手間と時間のかかる
改良圧着張りでタイルを張っているということです。

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それはナゼナノカ・・・

1つ目は、特に上の写真にようにタイルの面積が多い現場は、
面積が多いからこそ、焦ってはいいものはできない。
という考えから。

2つ目は、M社長が見学に行ったタイル工事のタイミングが
真夏だったということ。
冬に比べて夏はのりが乾く時間が早いので、乾く時間をさほど気にしなくていい改良圧着張りを選んだということです。

そしてここが一番のポイント!!
改良圧着張りはのりをつける人とタイルを張っていく人の、最低でも2人
必要なんですが、なんと!
この作業をご夫婦で行っているのです!

タイルにのりをつける奥さん↓

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そのタイルを受け取り、張っていくご主人↓

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このお二人の共同作業なくして、イチエの改良圧着張りはあり得ないのです。

M社長「昔はみんな改良圧着張りが当たり前だったんだけど、ここ10年でこの張り方をしてる人は見なくなりました。早く安く効率よくが求められる今の時代に、岡崎さんご夫婦はとても貴重な職人さんです。
このことをたくさんの人に伝えてあげてください。」


とのM社長の真剣なお言葉に、これは絶対に記事にしなければ!
岡崎さんの仕事を、後世に伝えなければ!
と、強く思いました。

奥様も明るくいつも笑ってて、笑顔の絶えないお二人の空気感に
まわりの人もつられて笑顔になる。そんな現場が私は大好きです。

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イチエ建匠の住宅は職人さんの「手」によって創られている。

ということをあらためて実感し、これからもそのことをたくさんの人に伝えていけるようがんばります。ご清聴ありがとうございました。

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