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競艇デートの甘酸っぱい思い出

2年ほど前、夫に連れられて初めて競艇場に行った
競馬デートは聞くが競艇デートはレアな感じがした
私は競艇場にダークなイメージを持っていた
ワクワクと怖いものみたさ半々の心持ちで競艇場に向かった

競艇場を往復する専用バスに乗ることになった
ポツポツとどこからともなくバス停に集まり始めるおじさん達
イメージ通りのおじさん達だ
(ネズミ色のジャンパー&キャップ率高め)
近くにいたおじさん二人が年金がどうのこうのと二言三言会話を交わしていた
おのおの単独参加のようだが、ギャンブラー同士の一体感がすでにあった
バス停は独特の空気感に包まれていた
この度バス停は競艇場の第一の入口だと思った

巡回バスが来た
意外にもきれいで最新のバスだった
おんぼろバスをイメージしていたからちょっと安心した(失礼だろ)
しかしバスに乗り込んだ瞬間、安心が吹っ飛んだ
なんとも言えないツンとしたにおいが鼻をついた
おじさん集団のあらゆるものが混ざった酸っぱいにおいだ
目には見えないにおい圧
こ、これが競艇場なのか…!
バスが第二の入口だと思った

私達は一番後ろの席に座り、おじさん達を無言で眺めていた
車内は比較的静かで落ち着いた雰囲気
(いい大人ですもの)
これから遠足じゃなくて競艇場に行くんだよ
遊びじゃねぇんだ
静けさの中にヒリヒリした殺気を感じた
このバスの中で私だけが新参者であることは明白であった
居心地が悪くそわそわするし
なにより一刻も早くこのにおいから脱出したい気持ちだった
ちょっと息をとめたりしたけど意味はなかった

5分ほどで競艇場に着いた
いざ入場(やっと第三の入口)
場内は全体的に暗い
ダークなイメージ通りだ
女性が見当たらない
女性(仲間)を探す
かろうじておばさま数人いた
2.30代の女性はほぼ皆無
なんか逆に楽しくなってきた

夫に教えてもらいながら、馬券ならぬ舟券に予想を書きこむ
馬券と書き方は似ていた
夫は何度か来ていて勝ち方を心得ているらしく、競艇はクソゲーだと言っていた
(だからといって毎回勝っているわけではない)
私は当てずっぽうで番号を選んでいるのでかすりもしなかった
ボートがしぶきをあげる姿は迫力があり、まぁまぁ楽しめた

場内には無機質な無料ドリンクコーナーがあった
なんかまずそう これ飲んで良いのかな
(失礼だろ)
温かい麦茶を一口飲んで驚いた
甘い
甘すぎる
砂糖でも入ってんのかな
麦茶って甘いドリンクですか
甘いなぁと笑いながら夫と飲んだ

初めて行った競艇場の思い出

バスの中の酸っぱいにおいと麦茶の甘い味
甘酸っぱい思い出ってこういうことなのかな
(違うか)

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