「一瞬の風になれ」
一瞬の風になれ
という青春小説の傑作があります。光栄にも舞台化を手掛けさせていただくことになり、現在、絶賛稽古中です。
原作の舞台である「春野台高校」が、僕の出身校である「麻溝台高校」をモチーフとしたものだと知ったのは、十年ほど前。まさか舞台にできるとはその頃は露も思いませんでした。
ただ、原作を読んででてくる地名や、漫画の背景がどれも見知ったもので、人知れず、「いつか舞台化」したいと思っていたものでした。
取材と称して、この夏、母校を訪れました。
驚いたのは、その変わってなさ。耐震工事でメインの校舎を改修中でしたが、面影は全然残っておりました。
正門も体育館の下の空間も、バトン部が踊っていた中庭も、そして部室・・・渡り廊下・・・記憶にあるものと同じ。
懐かしいを通り越して、いまだにあの頃のみんなが出てきそうなフラッシュバックに襲われました。
ただ、高校時代の僕は全然陸上部でもなく、なぜか応援団に入り、夏には声を張り上げて、野球部を応援しておりました。真夏に学ランを着て、重い旗持って・・・なんだったんだろうか、あれは・・・。
いまだになぜ、応援団にはいろうと思ったのかは謎。
ただ覚えているのは、入学式の日、体育館での部活紹介で、太鼓を鳴らし、大声を張り上げた応援団の先輩の姿に、15歳の私はビカーンと来たのでした。生徒はみんな笑ってたけど・・・。
何か変わりたかったんだろうな・・・と思います。なんでもいいから、やってみたかった。
「一瞬の風のなれ」の主人公、神谷新二と重なる部分があったりして、そういった意味でも、僕にとってエモい作品です。
高校の頃を振り返りつつ、今の自分を省みたりして、ちょうど51歳目前の今、この作品に携われることにとても感謝しています。
体現してくれる役者達がまた頼りになります。
稽古そのものが青春の1ページです。
来週には本番。
無事に迎えられるますように。
千秋楽を迎えられますように。