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本の断捨離

今月、本の断捨離をした。
今回の断捨離が今までの単なる物の整理とちょっとだけ体験として異なっていたので記録しておきたい。正直こんなに自分の心が言語化される体験だとは思わなかったし、スッキリしたので、気になる人へシェアしたい。

断捨離をしようと思ったきっかけ

9月をもって今お世話になっているシェアハウスを卒業(退去)することに決めた。引越しに伴って、手元に残したい限られた本以外を手放したかったため、本の断捨離に至った。

断捨離がハードモード

捨てる本の選定を始めたはいいものも、なんせ量が多かったので物理的に疲労する作業だった。断捨離する本がどの程度あるか、はもう数えなかった。たぶん本棚3個分だったと思う。入りきってはないけど。
私は、1年前から、読書をするようになった。もともと活字に苦手意識はない方だったが、仕事を始めて長らくは仕事の課題を解決してくれるような読書の仕方が分からなくて本を読むことから離れていた。
それが、昨年お世話になった上司から1on1で勧められる本が、まさに今の仕事や状況を改善させられる内容だったので、本を薦められるたび読んでいたら読書自体にハマり、気づけば月10冊程度の頻度で読書をするようになった。数読むうちにデジタルも検討したが、結局アナログ本が自分にしっくりくることもあって、日を重ねるごとに本棚から本が溢れていった。

量が多かったので運ぶのも選定も大変だ。ただ、それ以上に精神的に疲労が溜まった。正直捨てれない。選べない。残しておこっかな、な本が多すぎる。捨てようと思ったのに、本棚に戻してしまう。なんか、こう、本を触れば触るほど力が出なくなるような、心が全然スッキリしない。これはまだ読むかな、これはあの時に頑張って手に取った本だったな、と色々想像を巡らせているうちに精神的に疲労してしまった。こんなことでは断捨離が全く進まない。

困ったので、お世話になった人にお片付けマスターがいたことを思い出し、その人に連絡を取った。彼女はこんまりのメソッドについて学んでおり、空間を通して自分と繋がることを大切にしているような人だ。まさに断捨離についての相談相手に適任といったところ。

「本の断捨離をしてるんだけど、捨てるか迷う本がたくさんあって、精査すると疲れちゃうのよ、、なんかうまく選別できるマインドセットってないかな」

相談した2日後に会うことになった。私は待ち遠しい気持ちで、本を触ったり棚に戻したり、やっぱりどうにもならねーな(疲労)と思いながら2日間を過ごした。

こんまり当日

お片付けマスターは「簡易的な形だけど、」と言ってこんまりメソッドに基づいた方法を話してくれた。
まずは「どんな過ごし方が理想?」と聞かれた。ゴールを決めようということらしい。答えるのが難しかった。長期的な理想の生活と、短期的な理想の生活が違ったから。ひとまず、今の状態をどう捉えていて、何が課題で、それに対して自分の空間がどうなっていたらいいのかについて語った。

実際に本を選定する前にまずは部屋に挨拶を。
彼女は合掌し、目を閉じて私の部屋に挨拶をしてくれた。

「なんかちょっとさみしそう。意外だね。」
私の部屋はちょっと寂しそうらしい。そんなこと思ってたのかよ可愛いやつ。

その後に選ぶ基準となる“体感”を得てみよう、ということでまずは洋服を数着取り出して、この子は残したい、この子は手放していい、をやってみた。

数着手に取っては、その服との思い出と今後の私に及ぼしうる影響を感じて見たところ、私にとって残しておいて良い服は「自分らしさにフィットしている服」ということが分かった。逆に手放してもいい服は「世間的なぽさを演出できる服」だった。

なるほど、体感とはこんなものかなという経験値が得られたのでいざ本の選定へと進んだ。本棚全部は大変なので自分の近くにあった本で、近くから10冊を選定してみることにした。

本を手に取る、手放す

まず手に取ったのは、colorfulという画集だった。これはそもそも手放したくないと決めていた本だった。この本は数ヶ月前に麻布台ヒルズの本屋で出会った。なんとなく手に取った画集だったが、作風にものすごく気持ちが持っていかれた、いい意味で。友達ができたような気持ちになったし、自分を肯定させてくれる作品ばかりが詰まっていて、たまらなく嬉しくなった。手にとって数分でファンになり買うことを決めた。

嬉々としてお片付けマスターへこの本のイラストを見せたら「うわあああああ、ああああ、あああ」とちいかわの登場キャラの如く戸惑っていた。見る人によって感想が全く違うみたいだ。
「この画集については理解できなかったけど、あなたにとっては大事な本みたいだね」と言われた。気持ちがあったかくなった。

2冊目はゲッターズ飯田の占い本。私がゲッターズ飯田さんを好きになったのは、彼が「人間なんてだいたい一緒ですからね」と占い師が言ったらあかんやろワードNo1を言い放った日からだった。ゲッターズ飯田さん(公式)は知らないうちにLINEのお友達になってたしね。私は1年の運気が記されている占い本を本棚に忍ばせては心の支えにしていた。
ただ、もう私は自分で自分の心を支えられるし、占い本という甘い罠によってダメな言い訳をしたくない、逆にいうと、ダメな自分のままでもよい口実したことがあるのに気づいていた。「この本はあなたにとってどんな本?」と聞かれたとき、もうお別れしても大丈夫だということを自覚することができた。なんだか自分が少し自分に力を取り戻した気がした。

3冊目は起業の準備という本だった。この本を手に取る前に本棚を眺めて気づいたことがあった。なんだか本棚が「うるせぇ」。あーしろ、こーしろ、と語りかけてくる感じがする。これかもしれないこの疲労感。その感じがまさにこの本からも滲み出ていた。自分の名前でビジネスをしたいと夢を掲げたのは5年前、その夢も2年前にあっけなく叶った。ただ、満足はしなかった、むしろ疲弊した。今振り返ればやり方が間違っていたのだがどうにかこうにか健闘した過程でこの本に出会い、実践し切らずに本棚に眠らせた。手に取ると手放したくなる。手放そうと決めると「本当にいいの?」という言葉が頭をよぎる。

「本当にいいの?ってどういう事だろう」

なんか、自分の好きなことがビジネスになったらいいな思っていた気持ちが、気がついたらビジネスできている状態でないとだめ、になっていたんだな、きっと。私は起業自体がやりたかったことじゃなかった、手段でしかないことが目的にすり替わろうと大きく前に乗り出してきてしまった。それにNOと言えなくなってしまっていた。

「もう1回この本を本屋さんで見つけたら手に取る?」
答えは一瞬で出た。もう手放してOK、と分かった。大丈夫だ、ちゃんと自分の軸がある。また必要になったら買えばいい。

「おもしろいね。」最初の1冊は本当に熱量高く紹介したのに、手放すときめた本たちは、別れることを決めているものの別れの言葉がちょっと怖くてうまく出てこない、みたいな感覚で、それぞれ感じたことが全く違った。

私にとって必要な感覚だけを手元に。その選別ができる自信がついた。

もう数冊手に取って、手放して、を繰り返して疲れないうちに終わりにした。

心の断捨離

今回はたくさんの手元の本たちを手放したくて始めた断捨離だったが、かつて抱いた大事な感情や考えたちと未来に進むために正式に別れることができた、というような体験になった。

本は特に情報の塊だから、手放せば手放すほど肩の荷が下りるような感じがする。
スッキリした気持ちで転居と新たな生活に向かっていきたいと思う。

スペシャルサンクス、お片付けマスター。

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