いくつになっても塾の味
電車の待ち時間があまりにも長いので、ファミリーマートでファミチキを買った。
昔はファミマを見つけるたびに買うくらい好きだった油でギトギトのそれは
いつしか私の胃にふさわしくなくなった。
本当はハッシュドポテトが食べたいと思っていたのだけど、残念ながらリニューアルされたファミマのハッシュドポテトは妙にあっさりしていて好きじゃなかったのでファミチキにした。
久しぶりに食べると美味しいやないか。
そう思いながら食べ進めると喉が渇く。
飲み物も一緒に買おうか悩んだが、普段からあまり水分を摂らないのでいつも余らせてしまうし、と躊躇して買わなかった。
食べ終わってもまだ電車が来るまで時間があるぞ。
と結局買ったのだけど。
また違う売店(ファミマ)で紅茶花伝のロイヤルミルクティを買った。
これを飲むといつも思い出すことがある。
高校受験を控えた、冬の塾
15歳になったばかりの私は、なんとなく決めた公立の志望校と、なんとなく決めた滑り止めの私立の受験を控えていた。
といっても、特別賢い学校を目指していたわけではないし、私自身も賢い方ではなかった。
兄が行っていたからという理由で塾へ通い、友達が受験勉強を塾でするから、という理由で私もノコノコとついて行った。
友達はもちろん賢い学校を受験するし、賢い。
私はよくわからない受験勉強をよくわからないままやっていた。
今考えても、受験勉強をした記憶がない。
それでも一丁前に塾へ通い夜まで友達と受験勉強をした。
その時に飲んでいたのが塾の前の自動販売機で売っていた紅茶花伝のロイヤルミルクティだった。
紅茶といえばレモンティーでしょ!!な私が、
塾の講師から奢ってもらったり自分で買ったりしながら飲んだ紅茶花伝。
レモンティーが売ってなかったんだっけ?
友達とお揃いがよかったんだっけ?
どうしてそれを選んでいたのか今ではさっぱり忘れてしまったけれど、ミルクティーをあまり買わない私が今でも唯一買うのは紅茶花伝のロイヤルミルクティ。
そして思い出すのは、初めての受験を控えた中学3年生の冬。
もう何年も会っていない友達、当時の塾の講師
どれもが曖昧な記憶なのに、紅茶花伝の美味しさわ変わらないし、輪郭のない記憶のはずなのに妙にはっきりと頭に浮かぶ。
きっとこれからも。
そんなことを思いながら、ファミチキも紅茶花伝もTポイントで買えたもんだからラッキーだなぁと懐かしい記憶の隙間に思っている。