采配
みごとに二週間坊主になっているいちである。我が輩は猫である以上に揺るがない事実だ。
ゴールデンウィークに何かしていたというわけでもなく。ただいつもと違う生活にいろいろ完全に乱されてしまった。
五月病とは職業柄縁が無かったけれど、こんな風に長期の休みがあってやることがないなんてことになれば、そりゃ、体調もガタガタに崩れちゃうよな。判る気がした。
さて、実は学生時代以来のプー太郎生活が始まってしまっている。強制的に休まされていたのだが、ずるずると休み続ける羽目になりそうだった。
だったらスパッとやめてしまうほうが、断然自分の性格に合っているのは知っていて、しがみつくのを辞めてみた。
信頼できる上司は信頼できる上司のまま終われたのは良いことだったと思っている。その信頼できる上司のさらに上に目をつけられてしまったのが、まあ、運の尽きだったのだ。
仕事は善悪で語られるべきではない。とすると、私は悪ではないし、かといって善でもなかろう。ただ私は、もう二桁この仕事を同じ場所で続けてきたあげく、私よりもずっと年若く、仕事を覚える気のないスタッフの肩を持つ上司の上司のことを許せなかっただけなのだ。
ともあれ、強制的に休ませたくせに、今回の退職は私がルール違反をしたと言い張ってくる。どうなってるんだ。大企業に就職した人間が自慢してくることが良くある国ではあるが、まあ、判る。
大企業なら少なくともこのへんはキチンとしているだろうからだ。
個人の采配で物事を図るなと怒られたのは私だ。それなのに私は、その他人の采配で振り回されている。
恨み節ばかりになってしまいそうなのだが「あなたどうせ辞める気ないでしょ」と言い放つ上司の鼻柱を「辞表」をたたきつけて折ってきた。これはただそういう話なのだった。