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鳥類弁護士の事件簿 感想

一時期話題になっていたゲームがまた話題になっていたのでDLしてみた。コレはそれだけの話。

値段にしては内容が短いとは聞いていてDLしたけれど、確かに短い。けれどこれだけ短くてもマルチエンドはどれもビターで高級ショコラのような味がするので、結果的に音と絵の付いたハードカバーを買ったとでも思うのが良さそうだ。正月休みが終わる直前にDLしたけれど、結果として一週間ほどで全エンドを見ることが出来た。プレイ時間としては6時間あったかなかったか程度だ。
細かい選択肢の違いは読み切れてないだろうが、あらかた選択しては居る。この選択肢を選んだらどうなるんだろうというヒリヒリした緊張感と、気の抜けるスワロウソンのズレた話っぷりがとても良いスパイスだった。

バックログ機能やスキップ機能がないのは惜しい気もしたが、バックログについては「主人公たちにとってこれはやり直しのできない物語」であるし、スキップ機能については「これは物語である」という芯があるのではなかろうか。しらんけど。

ネタバレに気をつけて欲しい。

1話に出てくるアントニャン・モフロワ氏のネーミングに付いて丸一日考えてしまったくらいにはこの名前が好きだ。モフロワ。最高のもじりだと思う。次点でスワロウソン。
文字尻を取るネタが多いので、これを翻訳するのは大変だったろうなとも思う。
この結末に対して「一匹殺獣して首括りとは妥当である」という気持ちと「一匹殺獣して首括りとは重すぎる」という気持ちが天秤に掛けられるとは思わなかった。罰は当然なのだけれど、冤罪であると知った我々には重たくみえる。けれど――と答えの出ない問いかけを繰り返して仕舞う。

2話の出だしでジェイジェイファルコンが飲んだくれてくだをまいているのがどうにも人間らしくて良い。何が正義なのか、正義とは何なのか、を酔っ払いに説かれる日がくるとは。あのビターなエンドを2話や3話ではなく1話にもってくるところがニクい構成だなとも思う。

3話で証拠探しをミスしたままENDCに突っ込んだときはもう救いがあまりに無くて笑ってしまった。自由とは何だ 正義とは何だ、友愛ってなんだったんだ!
あそこで狼を取り逃がしたから流れる血が一層増えたのだなと思うとしんみりとしてしまう。けれど、実際に革命とはこういうモノなのでは無いだろうか。彼らが目指した無血革命とは綱渡りの先にあるものなのだ。
ENDAはジェイジェイが町中を火に染める。1話の犯獣が出て来たのも良いスパイスだった。必ず報いは受けるのだ、という姿勢がENDAは徹底されている。

そうして迎えたENDBの爽やかさ。順番として、Bを最後に遺して良かったなと思った。爽やかな中にもビターな味があって、こちらのENDでは、誰もかれも罪を背負ったまま。それが主人公達の選んだ道だったのだから。

ボリュームがもう少しあってもよかったという気持ちと、このくらいだからプレイし終えられたという気持ちが行ったり来たりの良いゲームだった。インディーズだったそうだけれど、カメラワークは確かに少々酔った。

あとはスワロウソンの立ち絵の手がちょっと怖い。好きなのだけれど。


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