【日記】私の人生観を変えてくれた人
才能がないことを嘆いたり
上には上がいる現実を突きつけられたり…
結果、夢を諦めたりしたことがありますか?
大なり小なり、誰にでもあることかもしれない。
私には突出して苦手な教科はあったものの、突出した得意教科はなかった。
しかもその苦手な教科は、私の好きな教科ばかり…。
苦手を克服しようと、その教科の宿題にも授業にも真面目に取り組んでいたつもりなのだが、成績が上がることはなかった。
好きなのにテストではことごとく点が取れず、進学には選べないほどで、色々な夢を諦めてきた。
その中でも、私が一番悲しかったのは、『現代文』(要は国語)の点が取れなかったことだ。
『現代文』のテストで点が取れないということはつまり、作者の意図が理解出来ていないということ。
それは『ことば』を扱う職業では致命的な欠点にしかならない。
密かにぼんやりと頭にあった『作家』になるという夢は、ハッキリと夢として認識される前に、濃く深い霧の中へ消えてしまった…。
『要点を理解出来るかどうかは、読書経験の多さに比例する』と聞いたことがあるが、その読書量を増やそうにも、私は読書が大の苦手だった。
漢字が読めないわけでも、紙をめくるのが面倒くさいなんて性格なわけでもない。
物語を読んでいる途中のワクワク感も、読み終えた爽快感やほっこりした気持ちも好きだし、
もっと言えば、本やインクの香りが大好きで、図書館を当てもなく何時間でも歩き回っていられるほど大好きだ。
それなのに読書の何が苦手だというのか…。
それはズバリ『読むこと』だ。
私は人より読書スピードが遅い。
読む速度もまた、読む回数や経験によって速くなっていくものだとは思うが、私が本を読むのが遅い理由は『単に文章を読む速度』とは少し違う。
誰もがそうだと思うが、物語を読む時にその場面を想像しながら読む。
私はその想像が読むスピードに追いつかないと読むのを止めたり、同じところを何度も読んで想像を膨らませてから先に進むということをしていた。だから読み終わるまでに時間がかかってしまうのだ。
この要因による遅れは、そう簡単に読書スピードを上げることはできなかった。
そんなこんなで、読解力の無さと読書ペースの遅さを気にしながらも、自分のペースで読書はするものの、「この作品は〇〇について書かれている」と答えが出そうな歴史的な作品は避け、好きなものだけを少し読むだけだったので、読書量も読解力もなかなから上がらないまま、
誰にでも代わりが務まるような職業に就き、ただただ日々を消費していた。
そんなある日、私はある二人の芸能人の発言に大きな衝撃を受けることとなった。
一人目は、星野源さん。
俳優さんでもあり、歌手でもある星野さんが、さらに本を出したとニュースになっていた。
そのニュースで流れた星野さんのインタビューのコメントにハッとさせられた。
星野さんは初めから、演技も、歌も、本を書くこともやりたいと思っていたそうだ。
その中で揺れ動いていたある時、その内のどれかに絞る必要はない、一人が二つ以上のことをやっても良いんだということに気付いたいう。
「どれかに絞る必要はない」
「二つ以上のことをやっても良い」
この言葉は私の心を大変軽くした。
色々なことを諦め、ただただ消費するように日々を過ごしていた私だが、それらをどこかで諦めきれずにいたようだった。
これらの言葉で、私の心に、細いけれど確かな一筋の光が差しこんだような気がした。
二人目は、ピースの又吉直樹さん。
お笑い芸人にして小説家先生。
この時点で、星野さんのように一人が二つのことを…を実現されている私の理想の人物である。
そんな又吉さんから学んだのは「本は自分なりの解釈をして良い」ということ。
私は又吉さんのyoutubeをよく観ていた。又吉さんの頭の中を垣間見られるような面白い企画がたくさんで、大変面白かった。
その数あるコンテンツの中のどれかで、又吉さんが「本は自分なりの解釈をして良い」と仰ったのだ。
私が一番苦手意識を持っていた『読解力』について、これ以上ないポジティブで私を肯定してくれるようなありがたい言葉だった。
「良いの…?」「そっか…良いんだ」
この二人の言葉は、運命的にほぼ同時期に私の中に入ってきた。
そこから、私の人生は動いたと思っている。
ただただ消費するような日々から、主体的に考え動いて過ごす日々へと。
しかし一気に変われたわけではない。
今もまだゆっくりゆっくり、小さなことを一つ一つ変えていっている状態だ。
読解力がない作家なんて聞いたことがない。
それを埋める努力はこれから最大限する。
しかし、他の人と違う自分の感覚というものも大事にしながら、出来ることはあるはず。
私にしか出来ないこと、私だから出来ること…
そんなものがあるのか ないのかすらも分からない。
しかし、あると信じてそれが何なのかを考えてみること、探してみることはとても面白そうだ。そうやって生きる人生の方がはるかに楽しそうだ。
諦めていた時間も、下を向いて過ごしていた時間も、そのどれもが、これからの私にとって必要な時間だったのだと信じて、私なりのペースで夢を追いかけてみたいと思う。
そんな人生を私は選びたい。
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