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DTM部屋のお手軽「防音」のはなし。【前編】遮音編

音楽をやっていると、ついつい「大きな音」を出したくなりますよね。
自分的には「素敵な音楽」を奏でているつもりでも、家族やご近所さんには、「ただの騒音」である可能性もあります。
そこで今回は、他人に気兼ねなく音楽や演奏を楽しむための「お手軽防音の知識」について書きたいと思います。

「楽器や音響機器はある程度こだわって、ちょっと良い物で揃えたい!
でも、『防音対策』は、興味あるけどあまりピンと来ないし、お金を掛けたくない!」そんな人に向けた記事になっています。

「防音に必要な知識や、低価格で実践できる「防音術」を【前編】【後編】と2つの記事に分けて紹介していきます。

前編では、「遮音」と言って「外に音を漏らさない」または「外からの音を遮断」することを目的とした防音方法について。

後編では、「吸音」という防音方法について。こちらは「不要な響きを抑える」目的で使われる防音対策です。
例えば、部屋で鳴っているオーディオの音や、演奏している楽器の音などを「より魅力的な音」に聴かせる目的で使用されます。

⇩【後編】はこちら⇩

長くなりますが、ご興味のある方はどうぞお付き合いください


「それでは、前編として【遮音】について紹介していきます」

外に音を「漏らさない」方法。

DTMでのレコーディングや楽器の演奏をしている方にとって、音楽スタジオの様な「防音」設備が整った環境は夢の様な空間ですよね。
中にはご自宅の一室を「防音室」にしている方や、ご自分の部屋に「防音カプセル」を導入している方も一定数いるのではないでしょうか?

しかし本格的な「防音室」や「防音カプセル」は高価で大掛かりなため、誰もが気軽に購入できる代物ではありませんよね。

そこで比較的に安価で「防音」できる方法を、今まで私が実践してきた中で効果的だったものに絞ってご紹介します。

100均でも買える!「戸当たりテープ」を使おう!

今回紹介する中で「効果的」で一番コスパに優れた方法です。
100円ショップでも購入する事ができる「戸当たりテープ」を使う方法です。もちろんホームセンターなどでも手に入りますので簡単に好みの物を入手しやすいのでお勧めです。

「音」とは「空気の振動」です。
ですので空気が漏れやすい場所は「音も漏れやすい」のです。
具体的には部屋のドア、窓なんかも「音」が漏れやすい場所の一つです。

戸当たりテープとして売られている物は、長細く加工したスポンジに両面テープが貼られた状態で販売されています。
これを「ドアの縁」や「ドア枠」に貼り付けて空気が漏れない様に縁取ります。隙間が空いてしまうと、そこから「音」が漏れてしまうので、綺麗に「密閉」出来る様に貼るのがポイントです。

これをする事によって部屋の外の空気を直接「振動」させてしまう事を避けられるので「効果的」に防音対策できるのです。
費用対効果は抜群ですので、興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。

窓からの「音漏れ」対策。

先ほども言った様に「窓」も音漏れしやすい場所の一つです。
「窓」と言っても「ガラス」の部分は比重が重いので比較的に「音漏れ」しにくいのですが、「サッシ」の部分は音漏れし易い構造の物が多く注意が必要です。
最近のサッシは換気を目的とした通気口を搭載したモデルもあるので、そこから音が漏れてしまっているケースもあります。
ちなみに「ペアガラス」や「2重サッシ」の方が防音効果が高い傾向にあると言われているので、予算を掛けられる方はそういった「防音窓」に変えてしまうのも良い手だと思います。

手軽に出来る「窓」対策① 遮音カーテンに変えよう。

今お使いのカーテンを「遮音カーテン」に変えるだけの、お手軽対策です。
安価な物であれば、数千円で購入できるのでトライし易いと思います。

構造的にはカーテン生地の裏側に「樹脂コーティング」している物が多いと思います。このコーティングが音を「反射」させる事によって防音効果を高める仕組みです。

どちらかと言うと外からの騒音を低減させる目的で使われる事が多いです。
ご近所さんの話声や、ペットの鳴き声、車の通行音などが気になっている方にお勧めです。
デメリットとしては効果が弱めな事と、部屋の中の音も「反射」してしまうため「部屋の響き」が変わってしまう事です。その場合は音を吸収する効果のある「吸音カーテン」を部屋の内側に使い「遮音カーテン」と組み合わせてみるのが良いかも知れません。

手軽に出来る「窓」対策② 効果抜群!エアコン・パテ!

次にお伝えする方法は「効果抜群!」なのですが、デメリットも大きいため、先に欠点をお伝えするのですが…「窓が開けられなくなります!」
ですので、開ける必要性のない窓や、開けなくても大丈夫な窓で実践してみて下さい。

これもホームセンターなどで入手できるのですが「エアコン・パテ」という物を使います。
本来の目的は、エアコンの工事の時に使う物なのですが、窓サッシの防音対策にもピッタリなのでご紹介します。

価格も安く、数百円で購入できると思います。
使い方は、いたって簡単。エアコン・パテを粘土の様に長細く伸ばし、窓サッシの隙間を埋める様に盛っていくだけです。
これもサッシの隙間から空気が漏れない様に、綺麗に満遍なく隙間を塞ぐことがポイントです。
注意点としては、エアコン・パテはかなり粘着質なので使い捨てのビニール手袋なんかを着用して作業する事をおすすめします。

手軽に出来る「窓」対策③ シンプルにシャッターを閉めよう。

私もそうなのですがDTMに夢中になっていると、レコーディングの時に窓のシャッターを閉めずに録音してしまう場合が多いです。
もちろん、いつも閉めている必要は無いので、少し大きな音を出す時や、レコーディングなどで外からの音が入ってしまうと困る時だけ、シャッターや雨戸を閉めると、それだけで防音効果を高められるのでお勧めです。

漏れやすいのは「低音域」?…のはなし。

結論から書いてしまうのですが音漏れし易いのは「低音域」なんです。
低音は波長も長く、エネルギーも大きい為、壁なども通り抜けてしまいますし、より遠くまで届きやすいのです。

音は「空気の振動」です。

高音域の波長は短いので、空気の振動も細かくなります。そのため、空気の摩擦や抵抗を受けやすく、減衰も早くなります。
反対に、低音域は波長が長く、空気の振動もゆっくりでパワーがあるため、なかなか減衰しません。

例えば、野外フェスなどのイベントに行った経験のある方なら体感していると思うのですが、遠くから鳴っているステージほど、ベースやバスドラムの「低音」しか聴こえない現象が起きていると思います。
これは逆に言うと低音はパワーがあるので遠くまで届いてしまうと言う事です。

この「空気の振動」を止める為には空気を囲って「密閉」する必要がある事は、ここまで記事を読んだ方は理解して頂いていると思います。
しかしながら厄介なのは音量によって「囲っている部分」も一緒に「振動」してしまう事なのです。

重量の「軽い物」は振動するエネルギーを受け止めきれないため、その物自体も一緒に振動してしまいます。
ですので「壁」自体が振動してしまえば、その外にある空気も振動してしまう為、音漏れを防ぐ事が出来ません。
効果的な対策は「壁を重くする」事なのです。

遮音シートを使ってみよう!

個人でやるのは少し大変なのですが「DIY」が得意な方なら割と簡単に出来る防音対策をご紹介します。
「遮音シート」という物をご存じでしょうか?合成樹脂に鉄の粉なんかを混ぜて作られているシート状の物です。
ホームセンターやネット通販でも購入する事が出来ます。ロール状で販売されている安い物であれば、メーター1,000円以下で手に入ると思います。
商品によって厚みや重さが選べるのですが、当然「厚くて重い」ものほど防音効果が高いのでお勧めです。壁を重くした分だけ遮音性能を上げられるのです。

使用方法は、単純に部屋の壁に貼り付けて使います。
シートに鉄の粉を混ぜていると書きましたが、ハサミやカッターで簡単に切る事ができるので、部屋の壁のサイズに合わせて加工する事も容易です。

重量が結構あるので両面テープなんかで貼るとすぐ剥がれてしまう可能性があります。脚の長い画鋲や、虫ピンなんかで固定するのが簡単で良いかと思います。(固定する箇所が少ないと重さで外れてしまうので注意してください)
防音効果を高める為に、遮音シート同士が少し重なる様に貼り付けていくのがポイントです。
更に、遮音シートの重なっている部分をコーキング材などで接着すると、かなり防音効果が高くなるのでお勧めです。

ホームセンターで買える「石膏ボード」の効果とは?

こちらも個人でやるには結構大変で、ちょっとハードルが高いですが、比較的安価に防音効果を高める事が出来るのでご紹介します。
「石膏ボード」とは石膏を板状に固めて表面に厚紙を貼ってある物で、一般家庭の壁に使われる建材です。
こちらもホームセンターなどで簡単に入手する事ができます。
安いところなら1枚500円くらいで購入できると思います。

基本的にサイズが大きいので購入する時はワゴン車などの荷物が積める車で買いに行くか、通販で業者に運んで貰うのが良いと思います。
(一般的なサイズは、910mm×1820mmです)
だいたい2種類の厚みの物が売っていると思います。
一般的には、9.5mm厚の物と、12.5mm厚の物がありますが、どちらも重量が重いので注意して下さい。(薄い9.5mm厚でも1枚、11㎏くらいあります)

使用方法は、簡単で部屋の壁に増し貼りして使います。
ご自宅の壁の中には当然、柱の入った場所がありますので、そこを狙って長めのビスで固定していくのが簡単で良いと思います。
柱の無い場所にビスを打っても石膏ボードに穴が開くだけになり固定出来ないので注意して下さい。
こちらも石膏ボードの継ぎ目を充填する様にコーキング材で埋めると防音効果が高くなります。

ちなみに私の部屋は、壁と石膏ボードの間に「ウレタンフォーム」というスポンジの様な物を挟んで防音効果を高めています。
また、壁と石膏ボードの間に少し空間(空気の層)を作っても防音効果をアップさせる事ができます。

「石膏ボード」増し貼り防音にトライしてみようという発想の方はきっと「DIY」が得意な方だと思いますので色々なアイディアで施工してみて下さい。

可能なら「低音」を出さないという選択肢。

上記でも書いている通り、防音に於いて「低音域」は厄介な問題なのです。
簡単に防音できないのなら「低音を出さない方法」を模索することも一つの方法かも知れません。

DTMで低音を確認する時はヘッドフォンを使い、モニタースピーカーはあえてスピーカー口径が小さめの物をチョイスする事で、音漏れの原因となってしまう余分な「低音域」を抑える方法や、ある程度音量を出しても大丈夫な日中はサブウーハーと併用しながら作業し、夜はサブウーハーのみOFFにして運営できるシステム構成をするのもお勧めです。

あとがき

さて今回の、DTM部屋のお手軽「防音」のはなし【前編】は如何でしたでしょうか? 
作業的にあまり「お手軽」でない内容も含まれていましたが「防音室」や「防音カプセル」を導入する事を考えると、コスト的には大幅に「お手軽」だったと思います。
特に「戸当たりテープ」を使った防音対策は作業難易度も低く効果も高いので是非チャレンジしてみて下さい。

次回の【後編】は「吸音」をテーマに書いてみようと思います。
どうぞお楽しみに。

【後編へ続く】~吸音とは~


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