新型コロナウィルスを可視化しているサイトをまとめてレビューしてみた
なぜこの記事をまとめたのか
最近、毎日テレビやネットニュースで「新規感染者数がxxxに」「過去最高」など不安を煽るような報道が目立つように感じてきました。
そんな今、現在都内に普通に出社している身としては、感染拡大する前よりは人数は少ないものの、相変わらず電車は満員に近い状況であるように感じるし、飲み会が好きな私は飲み会をしていいのか悪いのか、この状況に対してどのように向き合えばいいのか、どのような感情でいればいいのかわからなくなってきました。
そこで改めて各社が提供している数値類を見てみることで、この状況の理解を深めて、今後の行動の参考になるようなことができればと考えました。
様々なダッシュボードについて
一般社団法人 コード・フォー・ジャパン が提供。
昨今各所から多く提供されているグラフがバーッと見える可視化からすると情報量が足りないような印象を受けると思いますが、情報量が多いから良いというわけではありません。受け手が得たい目的に対して、最小限の情報量で伝えられるものが優秀なダッシュボードです。
その観点でいうと、県別の病床数と利用率がわかることで、
もし感染したときにちゃんと自分の地域で受け入れてくれるんだっけ、
つまりかかったとしても死なずにいれる可能性が高いのか、という生きている上で一番知りたい情報を得るための目的においてとても有効な可視化だと思います。
追加で知りたいとすると、各県の病床数の推移などがわかると、ちゃんと県が病床を確保するのに動いているのか、というのがわかると安心できそうですね。
色味が見やすく感じます。
グラフ推移は直近1週間のみ表示で期間が指定できないので、近視眼的にならないような注意が必要です。
県別のxx者数を出すときは、県毎の人口や検査数などを出さないと判断が難しいところがあります。
面白いのは、人流の減少率です。
全国の主要の駅等で、短期(前日)・中期(宣言前)・長期(感染拡大以前)と適切な比較軸で減少率が見えますので、各地域の動きの概要が把握できます。
このように、県レベルでなく身近な地域レベルでの状況が見えると、急に起こっている事象が自分事に考えられるようになるのではないでしょうか。
また、お出かけ時の参考にもなりそうですね。
東京都が提供。
モニタリング項目を定め、各モニタリング項目を重ねずにそれぞれを見やすく提供されています。
最新の値、比較数値、日別/累計、過去の推移、注意書き、更新日付、データテーブル表示、同じフォーマットで各指標がまとめられているのでリズムよく各数値が確認できます。
強いて言うなら、グラフ推移は2ヶ月分くらい表示されているですが、過去に遡れるのが一見わからなかったのがもったいないなと思いました。
東洋経済オンラインが提供。
東京都が提供しているものにテイストが似ていて私好みです。
東京都が提供しているものと出している数値が違い、私は、「実効再生産数」というのが気になりました。これが1以上だと収束に向かわないんだろうな(1人が1人に感染させてたら収束しないなという小並感)という意味でとてもわかりやすい。
各県ごとも深掘りできるので、うちの住んでる県はどうかなと見ていて積極的になれるダッシュボードでした。
また、よくある質問もまとめてあるのが素晴らしく、見ていると確かにそうだね、という質問に対し誠実な回答が書かれています。
これだけシンプルにまとめてあったとしても、わからないところがでてくるのが可視化の難しさであり面白いところであります。
お問い合わせフォームもあり安心でき信頼できます。
ドーモ株式会社 が提供。
さすが、ダッシュボードを提供している会社という印象です。
特徴的なのは、各指標の関連が明示されているところでしょうか。
これにより、今まで見えていた指標がどういう関係性なのかの理解が一層深まりました。これを見た上で各指標を確認すると、「陽性反応率、要入院率が上がってるけど、死亡率が下がってるのはなんで?」「陽性者や要入院数の年代が過去と違うのでは?」「最近は若者の感染率が多いからか(これは他ダッシュボードからの情報)」等、このダッシュボードを起点とし、深掘りしての数値取得をアクティブにしようという気持ちになれました。
また、「確認事項」に対しての可視化がされており、目的に応じての明確な可視化がされているので、ただ数値が可視化されているダッシュボードとは違い、ダッシュボードの見方がわからない人でも読み違い等が起こらないようなところも素晴らしいと思います。
またデータ更新終了日が明示されているところも、提供している数値/可視化に対しての責任感を感じます。メンテナンスされていないダッシュボードも今後出てくると思いますが、そうすると今まで信頼されていた数値も信頼できない数値に見えてきてしまうので、このような配慮はとても親切に感じます。
Criteoが提供。
業種ごとの取引データから各業界の状況がわかります。
ファッションカテゴリでは、パジャマ、ヘッドウェア(家でしてるやつ?マスク?)が増えており、お家での生活が優先されていて、最近は落ち着き気味なのか
家電カテゴリでは、コンピューターが増えており在宅ワークの環境整え?最近は携帯アクセサリーが増えててなんでだろう?
食料品・雑貨カテゴリでは、ビネガードリンク流行ってるんだ
スポーツ用品では、キャンピング&ハイキング、ゴルフ等アウトドアはやっぱ流行るよね
などなど、データ自体が面白いので見ていて楽しいダッシュボードですが、実生活の今後のアクションに繋がりにくいですね。
(お仕事内容によっては超重要で有益な情報)
Tableauが提供。
TableauというBIツールを使っている人が作ったViz(ダッシュボード)を公開しているまとめのページです。
個別にはそこまで見てはいませんが、海外のものが多く上がっており、国の規模によって可視化方法が全然変わることが確認できます。キレイなダッシュボードは見ていて気持ちが良いです(が、注意は後述)。
他のダッシュボードについて
他にもたくさーーーん、のダッシュボードがありますが、疲れてきてしまったのでいくつかのリンクを記載して割愛します。
国内
海外
優秀なダッシュボードとは
私が考える優秀なダッシュボードとは、
1. 少ない情報量で現状を正確に把握でき、
2. 今後どうなるのか将来像をイメージでき、
3. それらに基づき正しい判断を高速化できる
ものだと考えます。
そのため、いくら見た目がとてもきれいでも、情報が間違っていたり、情報量が多すぎたり、カッコイイのだけど結局なにが言いたいのかわからなかったりするものは、優秀なダッシュボードではないと考えます。
これも可視化の目的によるとは思いますが(代理店がクライアント案件を獲得する時には、見た目重視でカッコよいのがいいとか)、間違った判断をさせないことは必須の要件だと考えます。
共通していること
ダッシュボードをみていて共通して行われていることがありました。
どれも当たり前、と思うかもしれませんが、意外と見ている側は気にしていなかったりするな、と思い改めて注意しようと思いました。
データソースを明らかにすること
いいビジュアライズができていたとしても、可視化されている数値や説明が間違っていたら意味がありません。
そのため、信頼しているデータを使用していることを明らかにしないと、信頼される可視化とはなりません。
注意書きをすること
本データに対して可視化をするときに加工や集計をしている場合があったり、データ定義を途中で変更していることがあります。
そういう場合にはその旨を記載しておくこと、データの読み解きのミスを防ぐことができます。ただあまりに多く書かれていると見る側は読み飛ばすことが多くなりがちなので、難しいところです。
データの更新日付を明らかにすること
データの更新日付がないといつの最新情報なのか、ちゃんと更新されていて信頼できるものなのかどうかがわかりません。
作成者を明らかにすること
これも当たり前ではありますが。
これを記載することで、問い合わせを受けることができ、ダッシュボード自体のブラッシュアップも可能になります。
ダッシュボードは一度作成して終わりではなく、見た側からの「更にこういうのが見たい」「これはどういうこと?」という意見を受けて改善をしていくことでどんどん利用されるダッシュボードになります。
まとめ
本取り組みを通じて、以下のようなものが得られました。
・各指標の関係性を構造的に理解できた
・どういうダッシュボードがいいのか、私なりの基準ができた
・私の地域でもし感染した場合、受け入れてくれないということは現状なさそう
・「陽性率」「実効再生産数」等、あまり報じられていない指標に対しても理解を深めた上で注視してみよう
・お出かけするときに各駅の減少率を確認してから行ってみよう
これらを今後活かして、新型コロナウィルスと向き合って活動していきたいと思います。もちろん、注意をしていてやりすぎということはないと考えています。感染なんて誰もしたくありません。ただ、ではいつまでも家にこもっていられるかというとそうではないので、現状を正しく理解し正しい予防策をとった上で、日常を取り戻し経済活動をしていく、という方針で生きていければなと思います。
みなさまも、国からの基準や自身の基準を改めて整理し理解をすることで、漠然とした不安を抱えがちな昨今の状況から少しでも脱する事ができればと思い、こちらの記事がその参考になれば幸いです。
また、私でも見えていない情報や観点があると思いますので、教えていただけると大変嬉しいです。
ありがとうございました。