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なりきりチャットに人生を捧げていた大人の思い出話11
さて、ここまで読んできた方はお気づきだろうがこの「なりきりチャットに人生を捧げていた大人の思い出話」シリーズの登場人物はほぼ女性である。
というのも当時からBLが好きな男性、通称「腐男子」と呼ばれる人たちはいたが、私は「プレイヤーは女性のみ登録可」というサイトにしか登録してこなかったからである。
理由としては単純に、「恋愛ごっこ」をする過程で男性と「男女の仲」的なトラブルがあったら面倒臭いなと思っただけだからなのだが……
そんな訳で今後「男性」とはっきり明記していない登場人物の性別は全員女性だと思っていただければ嬉しい。
話を戻そう。
ラインハルトと、プライベートチャットに籠もりきりになってから少し経ったあと、なりきりとは別方面の友人からとあるオンラインゲームを一緒にやらないかという誘いがあった。
当時このオンラインゲームは爆発的に流行っていて、のめり込んでしまう人が多いためちょっとした社会問題にもなっていたほどだった。
実はこのオンラインゲーム、色んな人から誘われていたのだが、もともとゲーマー気質というのもあり「のめり込みすぎちゃったらちょっと怖いな」という理由からなかなか手が出せないでいた。
今回誘ってくれたのは最初の頃少し登場した高校の同級生だったYちゃん。
私にインターネットの存在を教えてくれた人だ。
そしてYちゃんが通っているチャットルームの人たち。
このチャットルームにはYちゃんの誘いもあって、私もたまに顔を出していたのだ。
Yちゃんや、その周りの人たちの猛烈なプッシュもあって、また「オンラインでYちゃんたちと遊んでみたいな」という気持ちもあり、とうとうこのオンラインゲームを始めることにした。
始めてみると予想通りあっという間にハマり、寝る間も惜しんでプレイするようになった。
なりきりチャットにも顔は出していたが、以前より頻度はぐっと下がったように思う。
しばらく経って、ラインハルトから
「最近あまりチャットで見かけないけど、学校が忙しいかな?」
というメールが届いた。
私はこれに「オンラインゲームにはまっている」という返信をした。
「もし良かったら一緒にやらない?」という一言を添えて。
ラインハルトもゲーマーだったが、オンラインゲームはやったことがなく最初は戸惑いを見せた。
しかし、私が
「実はなりきりチャットで使っているキャラクターの名前でやっている」
と言うと驚いたようだった。
なんとなく自分に似せてキャラクターを作るのは抵抗があったし、それならばと思いなりきりのキャラに似せて作ったが、ラインハルトがオンラインゲームを始めるにはこれが決定打となったようだった。
数日後、オンラインゲームにはラインハルトそっくりのキャラクターが誕生した。
「あれっ、女の子で作ったんだ?」
私が言うと、男性キャラクターのパーツでラインハルトに似ているものがなかったとのことだった。
当時のオンラインゲームはキャラクタークリエイトの幅が極端に狭かったので思うようなキャラクターが作れないのは「あるある」だった。
幸い、自分は理想のパーツがあり、男性キャラクターで作ることができたため
「これじゃ男女カップルになっちゃうね〜」
なんて呑気な会話をしたものだ。
ラインハルトとはその後オンラインゲームでも、なりきりチャット上でも頻繁に遊ぶようになった。
私のオンラインゲームのアバターを見て、何度も
「かっこいい」
と褒めてくれたのがとても嬉しかった。
リアルで付き合いのないオンラインゲーム上の人は、私の性別を男性と思っていたし、ラインハルトとは仲の良いカップルと認識されていた。
私たちはそれを肯定することも、否定することもなく、詳しい話は濁しつつもオンラインゲームを楽しんでいた。