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なりきりチャットに人生を捧げていた大人の思い出話5

私はレイカの演じる受キャラクターと関係を持ってしまった。
というのも語弊がある。
レイカの演じる受キャラクターと「エロいチャットをしてしまった」が正しい。

レイカの演じる受キャラクターは、子供っぽくワガママで、セクシーだ。
落ち着いた雰囲気のいのりさんが演じるものとは正反対の魅力があった。

「とんでもないことをしてしまった」とその時は思った。

「ごめん、こういうのはこれっきりにしよう」
私が告げるとレイカは怒り、悲しんだ。

「いっちまで私を捨てるのか」

怒るのは最もだ。
落ち込んでいる彼女を、身勝手な同情心で更に傷つけてしまった。

「ごめん、ごめんね」
私は何度も謝った。

しかし、その後もレイカから何度も「なりきりしよう」という誘いがあった。
この「なりきりしよう」は「エロいチャットをしよう」と同義だ。

レイカとの友情を壊したくない気持ちと、レイカの演じる受キャラクターに魅力を感じていた気持ちが、その言葉を後押しした。
いのりさんに悪いと思いつつも、私はその後何度もレイカの演じる受キャラクターと関係を持った

そして、レイカに
「いのりさんの受キャラクターと別れてほしい」
と言われるまでそう時間はかからなかった。

レイカとは同じ都内在住ということもありリアルでも遊んでいた。
食事をしたり、ショッピングをしたり、受験の相談に乗ってもらったり………

一方、いのりさんとの楽しい思い出も沢山ある。
お互い住んでる場所が遠いから、リアルでは一度しか会ったことがなかったけれど。
私がインターネットを初めて、一番最初に仲良くなったのもいのりさんだ。
お互い好きな漫画を紹介し合って、いのりさんが勧めてくれた漫画にどっぷりハマった。
これは今でも、おそらく生涯好きな作品になったと言っても間違いはない。

しかし

ここでレイカを選ばなかったら、もう一緒にリアルで遊んだりすることもなくなるのだろう。


それは嫌だな………

「わかった、いのりさんとは別れるよ。」

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